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スピッツ「若葉」 つなぐ糸の細さに気づかぬままで

アルバム「とげまる」の12曲目。「若葉」は静かなトーンで耳には心地よいのだけど、明確に「別れ」を歌った曲ですね。

最後の歌詞は「少しでも近づくよ バカげた夢に 今 君の知らない道を歩き始める」で、前向きに感じられますが、必死に強がっている上なので、物悲しさが漂います。

途中にある

「ずっと続くんだと思い込んでいたけど 指のすき間からこぼれていった」
「涼しい風 鳥の歌声 並んで感じていた つなぐ糸の細さに気づかぬままで」
「いつもと違う マジメな君の『怖い』ってつぶやきがわかんなかった」

これでもかというくらい、きれいな言葉で「2人は結局は別れたんだよ」って押し込んでくる。曲は、最後に向かって、盛り上げていく。

「なぜ別れた?」という答えもいくつか用意してくれています。

「暖めるための火を絶やさないように 大事なものまで燃やすところだった」
「裸足になって駆けだす痛み それさえも心地よく 一人よがりの意味も知らないフリして」

この別れは、バンドという夢にあこがれて必死で頑張る青年と、それを応援したいけど、やっぱり不安に耐えきれなかった女性というイメージが湧きおこってきませんか?

「思い出せる すみずみまで
若葉の茂るころに 予測できない雨に 戸惑ってた
泣きたいほど懐かしいけど ひとまずカギをかけて
少しでも近づくよ バカげた夢に
いま 君の知らない道を歩き始める」

青年は自分の信じる道を歩き始めたという形で終わっている。

草野さん自身に疑似体験があったのでしょうか。

でもなあ、それにしては、このストーリーはきれい過ぎるなあ。毒がない。完全なる創作と見た!

でも、とっても好きな曲です。

2022年8月9日 トラジロウ


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