スピッツ「初恋クレイジー」 表の意味を超えてやる それだけで
この曲には、前奏が流れてきた瞬間から、心をすべて持っていかれてしまう。
アルバム「インディゴ地平線」(1996年10月23日リリース)の2曲目。アルバムのイントロ的な「花泥棒」から、一気にスピッツに昇華したような世界に連れていってくれる。
このアルバムの最後には「チェリー」というスピッツの名声を高めた曲が控えているんだけど、スピッツファンの中には「チェリー」以上に「初恋クレイジー」推しが多いとか・・・。
猫ちぐらの夕べのアンコール1曲目にも使われていたなあ。
ああ、あの場にいたかったなあ・・・。
「初恋」「クレイジー」と草野さんがわざわざ命名しているのだから、初恋に陥ったときの異常なハッピー加減をつづっているのだという前提で、歌詞を読み解いていきたい。
初恋の力だろうね。
普段、見慣れている街が「ド派手」に見えてくる。
ああ、なんとなく分かるなあ。好きだった子に「付き合おう」って告白して、「いいよ」っていう返事をもらったときのこと。
それまで、何者でもなかった自分が認められたような、この世界に生きていてもいいんだと言ってもらったような・・・。そんな感覚。
「苦し紛れ独り言」ってどんな言葉なんだろう?
素直になれない自分の強がりみたいなものかしら?
初恋のおかげで、そんなバカげた自分の卑屈とか闇とかそんなものは、いとも簡単に形なく溶け去った、と。
サビの前半部分は正確に意味を解釈するのは、難しいね。「おかしな秘密の場所へ」って、何か性的な意味?
後半部分は、「好き」とは言い出せないけど、行動で伝えようとするってことかなあ。
その行動で、言葉の持つ「表の意味」を超えてやるという強い決意かなあ。たとえば、勇気を出して手を握るとか、ギュッと抱きしめるとか。
なんだか少し空回りしているような感じもするけど、恋の喜びに満ちているさまはほほえましい。
ベーゼは、フランス語でキスのことらしい。
なるほどねえ。
「違う四季はあっという間に過ぎて」って、どういうこと?
もうこのへんになると、初恋の頂点からは過ぎて、倦怠期的な場面を表現しているのだろうね。まあ、そうだよね、優しくなれないときもあるし、優しくしてもらえないときもあるよねえ。
初恋を超えて、現実に戻ってくると、いろいろ見えてくるよね。
そんな現実を、この最も大切なところで、歌っているように感じます。
もしかしたら、ここは「もう僕の中では初恋は終わった」って意味?
「泣き虫になる君」「嘘つきになる君」「星に願ってる君」
僕はもう君を好きに戻ることはないのだとしても・・・。
うわっ、怖っ!?
好きじゃなくても、「おかしな秘密の場所へ」は行く。
ここでの「言葉にできない気持ち」は「好き」じゃなくて、「別れたい」?
それは言えないから、ひたすら、邪険にしちゃう、とか。
なんだか、私の妄想が膨らみ過ぎて、「初恋の喜び」から「冷た過ぎる別れ」に吹き飛んでしまった。全然違う意味なのかもしれませんが・・・。
ただ、全く同じ言葉が並んだ歌詞で、正反対の意味を表現しているのだとしたら・・・。草野さん、怖すぎます。
私の妄想が行き過ぎていたら、ごめんなさい。
ただ、どちらの意味だとしても、とてもとても大好きな曲なのです。
2022年11月12日 トラジロウ
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