寺田和代「本と歩く アラ還ヨーロッパひとり旅」 第1回 アイルランド篇 ――(6)
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アイルランド篇――
(6)タイタニック最後の寄港地を歩く
翌朝、窓を打つ強い雨音で目が覚める。
どこを歩こうかと地図をつらつら眺めるうちに、海岸沿いのコーヴという街に目が留まる。かつてこの国から欧州各地や北米に移民した人々の国内最大の出航地で、タイタニック号の最後の寄港地としても知られるとある。ここにしよう。
昨日降りたバスターミナルからバス約30分。
コーヴ中心街には直接降り立てず、最も近いバス停から海に向かって