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私信 あなたがあなたである限り

意識に繋がる無意識は
時には些細な凪になって
時にはすべてを呑み込んで
生きては
別人格の意識となってのみ現れて
死んでは
他者となって現れる
 
あなたの無意識の領域には
積もった灰のような記憶を持つ
現れてはならないあなたが居るから
意識は無意識を語らない
あなたがあなたである限り
無意識は意識に現れない
 
海がなくなるように海水が干上がり
山がなくなるように稜線が崩落し
記憶となったあなたが
意識とともに消えて
果ててしまうから
 
けれども
燻る灰が一塵でもふわりと舞えば
意識は不安に包まれる

あなたは
「自尊他卑」する自意識を
具現化すれば世間の非難を浴びると知っているから
「自尊他尊」で在ろうと装うけれど
そう在り得ない在り方が
不安となってあなたを苛む
そうして
あなたは
無いことにしたい自意識を
無意識の領域に在るとして
無意識を意識に引き上げて
無意識を客観視することで
不安が緩和されると語り
「無意識の不安」を意識することの難しさを語る

あなたが
無いことにしたい自意識は
何時の頃からか無視することが常態化しただけの
意識の領域の無自覚にすぎなくて
それでも
あなたをあなた為(た)らしめているから
あなたは「自尊他卑」を謳歌して
あなたより優れている他者を認めることを許さない

あなたは
あなたである限り
世間が肯首したがるような
あなたを維持する理由を探して
無自覚を無意識と思い込み
「潜在化する無意識を顕在化する」と語り
無自覚に自己に「陶酔」しながら
無自覚に「賢者なる我」を顕示する
 
あなたがあなたである限り
意識して顕在化できる無意識は
元々無意識なんかじゃないよ

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