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豪雨が止まない

哲学も思想も信条も
持たないことを前提に
市井の人が
渡された白紙の台本に

握手と
笑顔と
お手振りと
お辞儀と
必死の形相と
質素な装いと

演出家の「口立て」を走り書きして
「名前」と「お願いします」を連呼する
ただそれだけのワゴン車が
何処かへ行った

都会では
アイドルの総選挙のような
信者と
マニアと
お金が頼りの
筋書き通りの「票乞い行脚」が
幕を閉じ

たいして「票」にならない土地では
当たり前の生活が
独裁国家のスローガンのように
薄ら笑って届くだけの「宣伝」が
ゴミになった

評論家らしい人たちは
保身のマニュアルを握りしめ
投票姿勢を問うほどに
「未来だ
「平和だ
「環境だ
「文化だ
「安心だ
「実現だ
と、叫ぶ言葉に導く具体策を
問わない演出を
問うたりしない

議事堂では
烏合の衆に「議員」という名の恩を売る
序番が終演(おわ)り
烏合の衆を引き連れて
厚顔無恥な本番が始まった

問われることのない顛末と
諸共沈んでゆくような
豪雨が止まない

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