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ミュージカル 作品紹介vol.22/マリー・アントワネット

毎週火曜更新のつもりだったんだけど、一回ペースが乱れるともう戻せないものですね…(遠い目)

12月の最終営業日、私の部署は私とリーダー以外お休みだったこともあり、「2月は沢山休む」ことを公言し、その第一弾が本日となります。お陰さまで4連休です。(とはいえ結局家に帰って気になっちゃって1時間くらい仕事をしてしまった)

「今年もミュージカルあんまり観に行けないだろうな…」なんて前回のnoteか何かで言ってたけど、機会を頂いたので今日『マリー・アントワネット』を観てきました。

正直「フランス革命!」「貴族!市民!貧困!」みたいなミュージカルってそこまで好きではなくて、どちらかと言うと敬遠していたのだけれど、今回のマリー・アントワネット、想像の数倍良かったから観劇ホヤホヤの状態で書いていきたいと思います。

本作は『エリザベート』『モーツァルト!』で有名なミヒャエル・クンツェとシルヴェスター・リーヴァイがそれぞれ脚本、音楽を担当。日本発のオリジナルミュージカル。

ストーリーは以下のとおり。

18世紀、フランス。国王ルイ16世(原田優一)統治の下、飢えと貧困に苦しむ民衆を尻目に王妃のマリー・アントワネット(花總まり/笹本玲奈)を筆頭とする上流階級の貴族たちは豪奢な生活を満喫していた。
パレ・ロワイヤルで開催された豪華な舞踏会で、圧倒的な美しさを誇るマリーは愛人のスウェーデン貴族・フェルセン伯爵(田代万里生/甲斐翔真)とつかの間の逢瀬を楽しむ。夢のような舞踏会の途中、突然飛び出した貧しい娘・マルグリット・アルノー(ソニン/昆 夏美)は民衆の悲惨な暮らしについて訴え、救いの手を求めるが、返ってきたのは嘲笑だけだった。マルグリットは貧しい人々に目もむけず、自分たちのことしか考えない貴族たちに憤りを覚え、やがて貧困と恐怖のない自由な世界を求め、フランス革命への道を歩み始める。
マリーはヘアドレッサーのレオナール(駒田 一)、衣裳デザイナーのローズ・ベルタン(彩吹真央)を抱え込み、最先端のファッションの追及に余念がない。が、宝石商のべメールから無数のダイヤモンドが散りばめられた高価な首飾りを売り込まれるも、国家予算が逼迫する中、さすがにその申し出は断らざるを得なかった。
同じ頃、国王夫妻を失脚させようと企むオルレアン公(上原理生/小野田龍之介)は王妃に関する嘘のスキャンダルを流す。マリーがべメールの持っている首飾りを欲しがっていたことに目をつけたオルレアン公の権謀術数によって、かの有名な「首飾り事件」が起こり、その波紋は広がり続け王室に対する民衆の怒りと憎しみは頂点に達するが、国王夫妻には、革命への警告も耳に届かなかった。やがて革命の波はベルサイユにまで押し寄せ、国王一家は囚われの身となる。マルグリットは王妃を監視するため王妃の身の回りの世話をすることになる。敵対関係にあったマリーとマルグリットだったが、やがてお互いの真実の姿を見出してゆく。フェルセンは愛するマリーと国王一家を救うために脱出計画を立てるものの失敗し、一家はパリに幽閉されてしまう。
やがてルイ16世はギロチンで処刑され、最後まで王妃の傍にいた友人・ランバル公爵夫人(彩乃かなみ)も暴徒に襲われて命を落とす。マリーは公正さに欠ける公開裁判にかけられ、刑場の露と消える。今まで王妃に対する憎しみを原動力にしてきたマルグリットは、地位も、夫も、子供も、全てを奪われ、必要以上に痛めつけられている等身大の王妃を間近で見て、真の正義とは何か、この世界を変えるために必要なものは何か、自分に問いかけるのであった…。
(公式HPより引用 https://www.tohostage.com/ma/story.html)

…と、公式HPが思い掛けず大幅なネタバレをしてしまっているため、補足することも特に無いのだけれど、私が感じたこの作品の魅力をお伝えします。

①豪華な舞台美術

革命前のフランス、しかも貴族側を舞台で描くとなるとそれなりのレベルの豪華絢爛さが求められる。「マリー・アントワネット」という名前を聞くだけでも、相当な派手さを想像する人が多いだろうから、少しでもチープな部分があるととても浮いてしまって興ざめしてしまうところ。しかし今回の舞台は文句を言わせない。むしろ苦しむ民衆側の舞台装置、衣装、小道具まで手を抜いていないように見えた。

まさにロココ様式!というゴールド、繊細、それでいてゴージャスな舞台が繰り広げられると気持ち的にも非現実の世界に飛び込ませてもらえる。

舞台に回転装置が備わっているのも見どころ。内・外の場面転換を回転で行うことで演劇としてとても見やすかった。にしても、この回転舞台の角度が結構キツかったので、役者さんたちはバランスを崩さないようにする努力も必要だろうな…大変だろうな…と思わず思いを馳せてしまった。

あとは何より衣装!「キラキラ!ドレス!」っていう作品の衣装費ってどのくらい掛かっているんだろう……

アメリカの独立を祝ってアメリカを模したドレスが出てきたときには「これは世界観として正解なのだろうか…?」とも思ってしまったけれど、それだけ貴族は浮かれポンチであったという意味合いを伝えるには大正解っていう感じだった。

あとカツラはアデランスが協力してるらしい…なるほど……(?)

②本当の正義とは

この作品には二人のMAが登場する。タイトルの通り貴族のマリー・アントワネット、そして貧しい娘マルグリット・アルノー。この二人が貴族と貧民として対比されて描かれていく。

「マリー・アントワネット」という名前を聞いて、深い知識が無ければ「世界史で習ったな」「かなりの贅沢もの」くらいのイメージがあるのではないか?「パンが無ければお菓子を食べればいいじゃない」という言葉が浮かぶ人も居ると思う。実際にこの言葉はこの作中の序盤に出てくる(マリーアントワネットの発言ではないけれど)。

正直私も彼女の印象として持っていたのは先述したくらいで(オーストリアから嫁いだとかそういう歴史的な部分を除いて)、そこから派生して彼女について考えようとも思わなかった。

この作品の中でもマリー・アントワネットの浪費癖や奔放さはそれなりに描かれていて、だからこそ観客の心はどちらかと言うと貧しい暮らしの中で生きているマルグリットに共感して観てしまうように構成されていると思う。

しかし、先述のあらすじには書かれていないとある出来事をきっかけにしてマリー・アントワネットへの視線に変化が起きる。それはマルグリットの心の変化と連動するように観客の心も変化していくようになっていると感じた。

すべてのネタバレをしないようにするために、なるべく具体的な表現をしないで私なりにまとめると、「物事はひとつの方向から見ただけでは真実を知ることは出来ない。違う角度から物事を見るとこれまで知り得なかった事実が発見できるかもしれない」「人々の自由・権利を勝ち取るには一時の争いが必要かもしれない。けれど、方法・手段は複数ある。一方から見ただけの自由や権利は本当に正義なのだろうか?」っていうメッセージを受け取った。


…はい、というわけで長々と書いてしまいましたがここからはキャストさん達への感想。本日の昼公演のキャストさんは以下のとおりです。

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マリー役の花總まりさん。すべての舞台において初見。エリザベートを観ていないからお初にお目に掛かったわけです。正直エリザベートとかの評判的にそこまで期待していなくて、お年もお年だしどうなのだろう…と思っていたのだけれど、モーマンタイでした。歌も演技もお上手でした。あれかな、分からないけどマリー・アントワネット役がハマり役なのかもしれない。奔放なところも繊細なところも同じ役でありながら見事に演じ分けていて素敵でした。

そしてマルグリット役、大好きソニンさん。いやーーーーー、ソニンさんの本気を見た!って感じ。1幕終盤の民衆による歌なんて震えたよ。ソニンさんが演じてる役って本当にどれも好きなんだけど、今回は特に好き。ロキホラとかみたいなコメディも出来てこんな革命の最前線の強い女性まで演じられていて、いくつお顔があるの!って感じです。最高。

フェルセン伯爵役の甲斐翔真さん、はじめまして。デスミュは村井さんで見ていたので、ライト役だったことは今調べて知りました…。役どころもあって、とっても優しい人なのだろうな…と感じました。きっと万里生さんとWキャストってかなりプレッシャーだと思う(万里生さんのフェルセン伯爵たぶんものっすごいハマり役だと思う)けど、優しくも強い芯を持った男性という感じがして素敵でした。

そしてオルレアン公、上原理生さん!!!あなた!!!めちゃくちゃ良かったよ!!!!!一番良かった、一番。たぶん体格やお顔も相まってなんだろうけど、悪どい策士の役がピッタリ過ぎて…ビジュアル的にも最高なんですけど、理生さんの歌声が一番映える曲だった気がします。ソロ曲。タイトル分からないけど、、この歌でCD出したら買っちゃうと思う……オルレアン公という役のことはあまり好きになれないけど、オルレアン公を演じている理生さんは本当に本当に最高でした…好き……

(オタクみたいになっちゃったな今日のnote……)

平日の昼の割には席埋まってました(2階や3階は分からんけど…)が、まだチケットも余っているらしいのでシアターオーブに是非足をお運びください!2月21日まで!チェケラ!

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