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アート映画を堪能してきました。

 先週末、東京都写真美術館で公開してたマシュー・バーニー作品を見てきました。DVDや配信もないので彼の作品を観るとしたらこういった回顧展(しかも特集上映!)じゃない限り見られないので念願かなっての鑑賞でした。上映場所なのか作家のファン層なのかは分かりませんが、SNSでの投稿を見てみると映画関係というよりアートやファッション、出版関係者と思しき人達が多い印象でした。

 で、作品を見た雑感を語ってみたいなと。クレマスターサイクルは1~5のシリーズものなので全編を通した感想です。

【クレマスターサイクル】
全編を通してセリフは殆どなくほぼサイレントの映画。タイトルとなっているクレマスターは英語で睾丸を支える筋肉部分の呼称らしく、比喩的な印象のある映像もいくつか見受けられた。シリーズを通して何となくの共通点はある。フェティッシュ的な性的な描写もある。ビジュアルの面白さだけでも観られる作品でした。3が集大成的な作品になっていたけど個人的には1と4のポップさが好みでした。



【拘束のドローイング】
 捕鯨船、裏千家、溶剤、日本がモチーフとなっているアート映画(といった方が説明が早いか)。ストーリーを追うと困惑するけどファッションフィルム的なビジュアルの美しさがあるのでそういう見方をすると意外と面白く観られる。捕鯨船といっても実際に鯨を獲っているシーンはなく代わりに大きな造形物を船員が制作している。これがねっとりしてて気持ち悪さを感じさせる。作品で描かれている日本的なモチーフはマシュー・バーニーが考えるアレンジでこれはこれで面白かった。




【リダウト】
 銅版画家と自然と共存する人達との対立(のようなもの)が描かれている作品。ネイチャー系アート映画といった感じ。これまでの作品と比べてケレン味が少なめですが、日蝕のタイムラプスや分子シミュレーションのようなCGを使ったタイトルデザイン(マシュー・バーニー作品はタイトルデザインで使われているCGがオシャレ)など、ちゃんと見どころはあってやっぱり"らしい"作品になってました。

 う~ん、書いてみると何だか抽象的な書き方になってしまった…😅
 明確なストーリーもなくテーマも見えにくいので説明が難しいのだけど絵画的な映像美は面白くてそれだけで見てられるので何故か語りたくなるという。通常の映画ではあまり使われないズームを多用するのも特徴的でした。
 殆どの作品が人工的な粘質のある溶剤が作品内で随所に使われててそのグロテスク感と色彩感覚が魅力なのかなとも感じました。

 という訳でマシュー・バーニーの特集上映でした。

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