知識不要!誰でも美術館を1億万倍楽しむ方法
はじめに書いておくが、この記事を美大生や美術の専門家、プロが読んだら怒るかもしれない。「作品への冒涜だ」と言うかもしれない。
しかし、謝るつもりはないので、美術に疎い人や心の広い人にだけ読んでもらいたい。
こんな人に読んでほしい
・美術館巡りが趣味なんてオシャレと思う人
・ピカソや現代アートを見ても何が良いのか分からないという人
・美術作品を語れることをカッコ良いと思う人
・絵画を見てもよく分からないと思う人
誰がどう語ろうが良いじゃあないか
私は美術館が好きだ。生の作品には、画集や写真で見るのとはまったく違う迫力がある。想像よりも遥かに大きいキャンバスに描かれていたり、額縁も綺麗だったり、油絵具の筆致まで見えたり、美術館でしか味わえない良さがある。
と語りつつも、私は美術に関する教養が全然ない。一般常識的に有名な作品や作家を知っていて、少しそれらにまつわる豆知識を持っているくらい。好きな画家はモンドリアン、ミュシャ、ダリ。理由は、カッコ良いとか、綺麗とかそんなもん。ダリが好きな理由にいたっては、変な作品だから見ていて妙な気持ちになるから。加えて、ダリは女性にコンプレックスがあって自慰行為が好きだったと聞いたから。酷い。
さておき、そんな私でも美術館に行くのが、美術作品を見るのが好きなのだ。好きな気持ちに貴賤はない。胸を張れ。
この記事を読んでいるあなたも、読み終わった後にはきっと美術館に行きたくなるし、行って楽しんだ後は堂々と「美術鑑賞が趣味です」と言えるようになっているはずだ。
前置きが長くなったが、"さむかわ流 誰でも美術館を1億万倍楽しむ方法"について書いていく。
説明は一切見るな!
作品の横には、タイトル、制作された年代、使用された道具、素材などの情報が書かれている。展示によっては、作品の背景や当時の情勢、さらには見どころまで記載されていたりする。
しかし、これは一切見ないでほしい。
情報は一切入れずに、まずは自分がどう感じたかを頭の中で整理するのだ。まるで意味の分からない現代アートのようなものでも、まずは言語化してみよう。
明るい/暗い、楽しい/悲しい、神々しい/庶民的、そんな抽象的なもので良い。本当に訳が分からなければ"訳が分からない"や"何だか変"も立派な感想だ。そのうえで、訳が分からないながらも、カッコ良い/気持ち悪い、好き/嫌い、くらいの感想を出せたらベター。その後、"なぜそう感じたのか"を考えてみると面白い。
作品には制作者者の意図というものがあるが、そんなのは気にしなくて良い。意図が伝わらないのは制作者の力不足か、あなたの感受性が弱いかのどちらかだ。間違っても"知識不足だから読み取れない"なんて思う必要はないし、感受性なんてのは培っていけば良いのだから気にすることはない。
知識は、あくまで「知っていたら別の見方ができる」、「知っていたらより楽しめる」というものだと割り切ってしまおう。知識を踏まえての考察なんていう高尚なことは専門家に任せて、後から読んで「へぇ~」と言えば良いのだ。
さあ、まずはこの記事のトップにある絵を見て、感想を整理してみよう。
タイトルを付けろ!
感想を整理した後にやることは、作品にタイトルを付けることだ。これはどんなタイトルかを想像することではない。作品にぴったりなタイトルを勝手に付けてやるのだ。
暗い絵に『人生』なんて付けても良いし、明るい絵に『衝動』とか付けても良い。『雨の日の頭の中』とか『ポンデリング食べたい』とか、複数の単語を組み合わせても文章にしても良い。作者のことを勝手に想像して付けても良いし、自分事として考えても良い。とにかく自由に付けてみるべし。
そうすると、あなたにとって『人生』とはどんなものか、あなたが作者のどんな『衝動』を感じ取って付けたものなのか、ということが少し浮かびあってくる。そこにある美術作品が、他人事ではなく身近なものに感じられてこないだろうか。
ここまでやった後に、初めて作品名や解説を見て答え合わせをする。仰々しく付けたタイトルは本当は『或る女』みたいな簡素なものだったり、『無題』だったりするかもしれない。そんなギャップもまた一興だ。
自分の部屋に飾りたい作品を決めよう
今までは一つの作品を鑑賞する方法を伝えたが、ここからは美術館全体を通して楽しむ方法について書いていく。
漫画『ブルーピリオド』で、「美術商になったつもりで1点だけ買うとしたらどの作品にするか考えながら鑑賞する」というような話がある。それに似ているが、"マイベスト"の絵を1枚だけ探しながら美術館を回ると、これがまあ楽しい。『ブルーピリオド』方式の美術商というのは少し現実味がないし、需要や販売価格、顧客ターゲットなど諸々考える必要があって難しいので、単純にマイベストを決めるのだ。
マイベストの基準としてオススメなのが"自分の部屋に飾りたいかどうか"ということ。毎日見ても良い、部屋に飾ってあったら気分が上がる、オシャレに見える、そんなことを考えながら選ぶのだ。
また、それとは別に"最も心が動かされたもの"も選ぶと面白い。これは涙が出るような感動でも良いが、凄く不安になった、恐怖を感じた、とかでも良い。部屋に飾りたい絵とはまた別の見方ができる。
感想を共有しよう
美術館にはぜひ友達を連れて二人以上で行ってほしい。ゆっくりと立ち止まって喋ることが許される環境なら、一作品ごとに勝手に付けたタイトル、なぜそう感じたかを話し合うと、その人の意外な物の見方や価値観が分かってくるかもしれない。館内をすべて回り切ったら近くの喫茶店に入って、パンフレットを見ながら話しても良い。これが最高に楽しいのだ。
オススメの美術館
私がオススメしたい美術館は、神奈川県川崎市にある岡本太郎美術館だ。大阪万博の『太陽の塔』や、渋谷駅にある巨大な『明日の神話』、「芸術は爆発だ」の言葉で有名な岡本太郎の作品が常時展示してある。
絵画のほか椅子のような立体作品もあって飽きさせない。 また、書も多く展示してあり、筆跡から何と書いてあるか当てるのも面白い。
都心から離れていること、駅から少し離れていること、さらには岡本太郎に絞った展示であることから、恐らく他の美術館と比べると混み合うことも少なそうだ。私は数年前のド平日に行ったが、ゆっくりと鑑賞できた。
さあ、美術館に行こう!
名前を知っている画家の企画展示をしているところでも、近場のところでも、どこでも良い。楽しもうという心構えさえできていれば、美術館はどんな展示だって楽しめるのだ。
さあ、美術館に行こうじゃあないか。
最後に、私の好きな作品2点と、それぞれに感じたことを貼っておく。有料だ。読んでくれ。
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