見出し画像

 ポートランドの起業家に学ぶ、「力まない起業」の始め方。本日から早速、起業家の方の起業ストーリーを紹介していきます!

 記念すべきお一人目は、タイニー・ディグス・ホテルオーナーのパム・ウェストラさん(写真中央の女性)。パムさんのお話を伺っていて、大変印象的だったのが、”プロセスの1つ1つを楽しみながら進めている様子”。大変なことも含めて、タイニー・ディグス・ホテルについて話しているパムさんは、何だか少女のように可憐でとても楽しそう

突然ですが、タイニーハウスって聞いたことありますか?

タイニーハウスって何?

画像1

上記は、あくまで、タイニーハウスの1つのイメージです。(出典はこちらのサイト:https://www.ana-white.com/woodworking-projects/quartz-tiny-house-free-tiny-house-plans)家の下に車輪が付いていて、移動可能になっているタイプもあります。

 タイニーハウスに関して、明確な定義はありません。アメリカでは、2008年のリーマンショックによる経済停滞と住宅不足の課題が重なり、タイニーハウスムーブメントが益々勢いを増しました。タイニーハウスムーブメントを一言で説明すると、「小さな家で無駄のないシンプルな暮らしを!」という価値観・動きでしょうか。アメリカの若い人を中心にこのタイニーハウス、タイニーハウスムーブメントに賛同する人が増えているそう。マイホームは欲しいけれど、そのために30年のローンを背負うのは嫌だな・・・と

タイニーハウスとポートランドに恋をして・・・♡

 パムさんは、タイニーハウスのホテルをポートランドで営む経営者。タイニーハウスを作りたかった、と言うよりは、タイニーハウスを通じて、コミュニティーをつくることを大切にしたいとお話されていました。現在、事務所も含めると8棟のタイニーハウスがあり、7棟が宿泊可能となっています。宿泊者は、アメリカは勿論、オーストラリアやニュージーランド、日本などをはじめ世界中から来ているそうです。週末は特に人気が高く、予約が早くから埋まりがちのようです。宿泊者は、ホテルとしてタイニーハウスを利用しているというよりも、タイニーハウスに住む経験がしたいという動機で本ホテルを選ぶ人の方が多いとのことでした。タイニーハウスでの生活に憧れ、「やってみたい!」という気持ちを持つものの、実際本当に暮らしていけるのか、理想と現実のギャップはないのか、いきなりミニマルな暮らしに移行するのではなく、まずは実態を知りたい、ということで、本ホテルで、「タイニーハウスの暮らし」を経験しに来る訳です。パムさんのタイニーハウスホテルは、1棟当たり約18.6平米。棟毎に宿泊可能人数も異なるそうですが、1棟当たり2-4人宿泊可能となっています。これは筆者の推測ですが…ポートランドの人々のサステナビリティーを大切にする文化やゴミをなるべく出さないようにという心掛けと、「物は必要最小限で、シンプルな暮らしを!」というタイニー・ディグス・ホテルのコンセプトの親和性があることも、パムさんのビジネスを後押ししているのかもしれません。

 パムさんは元々、アメリカのミシガン州で夫のサロンの事務を担当していました。夫の引退を機に、身の周りの物を減らして、キャンピングカー1台で夫婦で旅に出ます。息子がポートランドへ移住したので、何度か遊びに行くうちに、すっかりポートランドの街が好きになってしまったとのこと。そして、ポートランドへの移住を決意。パムさんと息子さんがタイニーハウスに惚れ込んでしまって、旅先などでタイニーハウスを見つけるとお互いに写真を送り合ったり、アイディア交換をしていたそうです。ポートランドに移住後、更に8ヶ月のリサーチを経て、タイニー・ディグス・ホテルの起業に踏み切ります。

 パムさんの経営するタイニー・ディグス・ホテルのタイニーハウスは、現在、8棟あるのですが、1棟ずつ別々のテーマがあります。パムさん自身のお気に入りは、アジア、オリエンタルをイメージして建てたバンブーハウス。その他、まるで鉄道に乗っているかのようなアーサーハウス、ビクトリア調のアンティークをテーマにしたコテージタイニーハウスなど、とにかく1つ1つのタイニーハウスがとてもユニークな存在です。残念ながら、まだ実際に宿泊したことはないのですが、ホームページを見るだけでも、パムさんのこだわりが伝わってきます。1棟のタイニーハウスを完成させるのに、2年かけてアンティークの小物や家具集めをされた、と言うエピソードも伺いました。パムさんが手塩にかけたタイニーハウスホテルが設置されているエリアからは何だか、ミニチュアの世界に足を踏み入れたような、独特の世界観が漂います。夕暮れ時のライトアップされた写真もまた、一際風情があります。パムさんは、タイニーハウスホテル1棟1棟のコンセプト作りとホスピタリティーをとても大切にホテルの経営をされています。

 驚くべきことに、これらのタイニーハウス、一棟一棟パムさんとご家族、パートナーの手でデザインから全て手作りで建てたそうです。でも、パムさん、別にインテリアデザイナーや建築士の経験がある訳ではありません。ただ、ホリデーシーズンに家のデコレーションをするのが好きで、Pinterestなどのサイトを見て、色々とアイディアを膨らませるのが好きだったそう。内装のデザイン、実際にパソコンを使ってのデザイン起こし、建築を家族も含めて、パートナーと役割分担しながら0から進めていったそうです。パソコンでのデザインを担ってくれたパートナーの方は、元々パソコンを使っての内装デザインは未経験。オンラインコースで自学自習して、出来るようになったとのことでした。実際にタイニーハウスを建てる部分は、夫と息子がメインで担当。完成したタイニーハウスの外見を写真で見ると、とても素人が創ったものには見えないのですが…ビジネスを始めるに当たって最も苦労したことは、タイニーハウスを建てることではなかったとのこと。

 パムさんが何に最も苦労したか、検討つきますか?

答えは、ゾーンング。タイニーハウスを設置する土地の利用許可を取ることです。土地利用に関する法律は頻繁に改正や変更が頻繁にあることもあって、建てたタイニーハウスの設置場所の確保に一番手こずったと仰っていました。最終的に、13棟のタイニーハウスの設置許可を取得済みで、現在は、事務所も含めて、8棟既に建設済みの状況、その内1棟は事務所として利用しています。ポートランドの起業家は、「やったことがないから出来ない」と口にする人が少ないように感じます。「まずはやってみる。駄目だったらその時考える」とか、「手当たり次第とにかくやってみた。どうしたら出来るかを考えるようにしてる。」と言った言葉を何度も聞きました。こういうマインドセットがどうやって育まれたものなのか、もう少し突っ込んで質問出来たらと思っています。また、挑戦することに対する心理的ハードルが低いのは何故なのか、という点についても伺ってみたいなと思っています。

もう一つ、私が驚いたことがあります。何とパムさん、ポートランド在住ですが、家がありません!家探しに手間暇掛けていられない、とキャンビングカー(レクリエイショナル・ビークル)で暮らしています。2018年時点で、物を最小限しか持たない生活をご自身で実践して、もう9年経ったそう。

タイニーハウスホテルのこれから

 実は、私がパムさんと、クーリエ・ジャポンのスタディーツアーを通して出会った、2019年6月時点で、パムさんは、とある決断をされていました。その決断というのは、タイニー・ディグス・ホテルの経営を他の人に任せて、ビジネスの第一線は退くこと。息子さんがご結婚され、ポートランドから引っ越すため、パムさん夫婦も息子家族の近くに引っ越すことにしたため、とのことからです。わが子のように愛情を注いで育ててきたタイニーディグス・ホテルを他人に渡すという決断は、決して簡単ではなかったと思いますが、決断したことを教えてくれたパムさんの言葉には、既に、新しい未来の可能性を楽しんでいる前向きさを感じました。「もう今の土地に、タイニーハウスを13棟まで建てて良いという許可を取ってあるの。と言うことは、残り5棟まだ建てられるってこと。私と同じくらいの想いでこのタイニーハウスホテルを引き継いでくれる後継者が残ったら、その5棟にはその人らしさを出して、このタイニーハウスホテルに新しい風邪を吹かせてくれると思っているわ。」と仰っていました。「これからはどうするんですか?」と言う質問に対しては、「そうね、もう何棟もタイニーハウスを建てることはしないけれど、格別で特別にユニークなタイニーハウスを1棟だけ建てて、1棟だけのタイニーハウスホテルはやるかもしれないわね。まだはっきりしたことは何も決めてないんだけど」と答えてくれました。

参考情報

タイニーハウスやタイニーハウスムーブメントについて詳しく知りたい方は、こちら:

パムさんのホテルを見てみたい方は、下記ホームページの”The Tiny Houses"から:

https://www.youtube.com/watch?v=y5Xnjemx8xU&feature=youtu.be&fbclid=IwAR35vbaUM7wDuWOURA5-C39l1ne6TIPR5FeYM5fzwSA6fS-SJrPXRmEoYSk

もし出版するなら追加でパムさんに聞いてみたいこと

 グループセッションで時間も限られていたので、まだまだパムさんに聞いてみたいことが沢山!こちらは筆者の備忘録的に記録をしています。

1.ゾーニングのルールが厳しくなかなか土地の利用許可が降りない中、今の土地と出会うまでにどんな苦労があったのか。突破口はどうやって見つけたのか。

2. 今までやったことのないことに挑戦する時に不安や恐怖はないのか。経験がなくてもやってみよう!と思えたのはどうしてか。これから未経験のことに挑戦する人に、何かアドバイスや伝えたいことは?



サポートそしていつも読んで下さり、ありがとうございます!頂いたサポートは、note記事を書くカフェでの飲み物代、日々の生活に彩りをくれるお花代、noteでのアウトプットのネタを仕入れる書籍代、noteビギナーさんへの支援に使わせて頂きます。