見出し画像

漫画学とドラマ理論第8回

第8回「ネタはどこにあるのか?」

  結論から言うとどこにでもネタはある。ただ連載中と、連載を始めるときとは違います。
① 「連載から始まってから」
 これは毎回ネタを出すことになるでしょう。大枠いわゆる作品のコンセプトはいいのですから苦しむかもしれませんが、何とか出せます。出せなくなった時は、それはその作品の寿命と思ったほうがいい。ヒット作でもだいたい25巻から30巻で終わっているものが多いです。理由があります。5,6年で漫画家も編集者もへとへとになるからです。また5,6年漫画家と編集者がやり取りしていると、別の漫画の企画が浮かんでくることもあり、それをやりたくなる場合もあります。
 野球漫画なら当然野球関係のあらゆる資料を読み込むでしょう。そこにネタがあればいいのですが、そうでなければ自分の経験、はたまた他人の経験まで使うことになると思います。昔、高校時代の友人の恥ずかしいネタを使ったら「俺の話をネタにするな!」と電話で怒られたことがあります。
 「Mr.味っ子」という漫画があります。あれは私の上司が担当だったのですが、ある時カレー勝負がありました。最後主人公はカレーに微妙な渋みを出したことで勝つ話がありました。カレーの中にインスタントコーヒーを入れていたというオチです。たぶん渋みが出るものと周りを見回して苦しまぎれにコーヒーを思いついたのだと思います。「これ、うまいの?」「うまいわけねえじゃねえか」と言っていました。それから数か月後テレビの料理番組を観ていたら、料理の先生がカレーにインスタントコーヒーを入れていた。「はい、これで隠し味になりました」なんて言っていました。瓢箪から駒で、本当においしくなるそうです。
 アイディアを出すときというのはそんなものです。基本苦しまぎれが多いです。年がら年中湧き上がるように出てくるわけがないのです。

② 「超せこい方法――TSUTAYAディスカスを探せ!」
 もう2005年ぐらいからTSUTAYAでは名監督ごとに作品を並べなくなりました。それ以前は監督コーナーがあったわけです。「黒澤明」「岡本喜八」「ジョン・フォード」「スピルバーグ」とかです。また名作シリーズのような棚もありました。今はありません。回転率ばかり気にして最新の作品や韓国ドラマを大量に仕入れて並べています。「七人の侍」がないのには驚いた。店員に黒澤はどこに行ったのか訊いたら、「ああ、TSUTAYAディスカスですね」と言われるのです。
 その時、待てよと思いました。今の40歳以下は名作映画なんか知りやしない。そうだとしたら名作からアイディアをパクったってわかりやしないと思ったのです。それならば今のうちに観てしまってネタにしたほうがいい。やっと最近、ネットフリックスやアマゾンでも古い名作が出始めましたが超少ないでしょう。ネットフリックスのオリジナルは最新かもしれませんがみんな観ている。しかし古い名作は若ければ若いほど知らないのです。
 よって超せこいけれど、TSUTAYAディスカスで名作を観ましょう。直接ネタにならなくてもハリウッドだって日本映画を研究していたのですから役に立たないことはない。特に新連載を起こすときに役立つと思います。だいたい2時間にドラマが凝縮されているわけですから。「進撃の巨人」の諌山さんだって「ジェラシックパーク」でインスパイア―されたわけです。

③ 貸しビデオ屋のおかげでできた漫画の具体例です

 これは「running」というマイケル・ダグラスの映画から閃きました。日本名になっていないということは失敗作でしょう。たまたま見つけて観ました。面白くなりそうで、面白くない。何でだろうとジッと考えて、欠点に気が付きました。それを修正してさらに親子の情愛を強くしました。下記の「チャンプ」も参考にしました。お暇な方はどうぞ読んでみてください。

ついでに下の映画からヒント得たのが「名門!多古西応援団」です。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?