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漫画学とドラマ理論第10回

第10回
「編集者の見分け方」

①  「大物を担当していたと威張る編集者には気をつけよう」
競馬の話で申し訳ありませんが、競馬界では「騎手3分、馬7分」という言葉があります。要は勝ったとき騎手の力が3割で、馬の実力は7割というわけです。もちろん誰が乗っていても強い馬は勝てます。編集者と漫画家の関係も似ています。漫画家が凄ければ編集者なんてバカでもできますから。
 先週漫画編集者ばかりインタヴューした不思議な本を読みました。驚いたことがあります。「あしたのジョー」を担当していた人を尊敬している人が複数いるのです。その尊敬されている人の顔がすぐ浮かびました。ハッキリ言って私は尊敬していません。事情を知っている人は私と同じでしょう。たぶん「俺がやった」などと自慢したのでしょう。若いと真に受けてしまう。「あしたのジョー」の担当ってたくさんいるのです。どうして尊敬するのか理解できません。「あしたのジョー」が始まった時入社もしていない人を普通尊敬はしないでしょう。
 「あしたのジョー」だの「巨人の星」を作ったと言い張るオッサンが複数いました。ウソに決まっているじゃありませんか。漫画家と原作者が凄いんだからあり得ない話ですよ。当時の話を聞くと恐ろしいほど編集者のレベルが低いのです。何とか創作していたのはジャンプぐらいでしょう。
 しかし漫画家さんは大物や巨匠の名前を出されると弱いようです。森川ジョージさんや弘兼憲史さんなどを担当していたと威張っている人がいたら、「他に何やったんですか?」と訊きましょう。そこに新人の名前が出てこなければ、おかしいのです。
 よく考えてみてください。例えば漫画家XとYがいたとします。Xは大物、Yは新人だとします。そこに編集者AとBがいて、Aが優秀で、Bが新入社員だとしましょう。皆さんが編集長だったらどういう組み合わせにしますか?合理的に考えるとXとB、YとAとなるでしょう。何しろXさんは大物ですから編集者なんかいなくてもできちゃう。
 よって大物、巨匠ばかり担当している人はそんなに優秀な人はいないのです。新人を大物にした人は偉い。そう思いませんか。

② 「大物漫画家が特定の編集者を手放さない例はある」

 こういう事例はまれにあります。大物漫画家が講談社と他社の両方に描いている時、他社の編集者がいまいちの場合、講談社の担当編集者が優秀ならば、その他社の作品の打ち合わせをしていたことはあります。そうしないと講談社の漫画が落ちてしまうから仕方がない。またその漫画家さんも他社の編集者を当てにできないから、これまた仕方がないのです。私の友人は5,6年そんなことを密かにやっていました。漫画家、特に大物に頼まれては断れないのです。私もそういう経験はしました。
 不思議なのは、その他社の編集者が気が付かないことです。何もしなくても原稿ができるものだと思っている。そんなわけはないのです。大物だって絵コンテなどで悩むものです。何も気が付かないというのは相当鈍いのですが、幸せな編集者ですねえ。
 そうやって他社の仕事までやっちゃう編集者は同時に新人も育てているものです。そういう人は他人に言わないので目立たないだけです。よく観察するとわかります。漫画家さんが、編集者に向かって「今まで何を担当していたのか、リスト見せてよ」と訊いてもいい時代だと思いますよ。もちろん入社2,3年目あたりに訊くのは酷ですが、10年もやってヒット作がないのはかなりマズい人ですから。

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