![マガジンのカバー画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/110054951/88b1e2169f18c7d69270413c38e4bc4d.png?width=800)
- 運営しているクリエイター
#イラスト
【八人のアダム】 1-15 決断
対象が完全に沈黙したことを確認したラムダは、ピップのモルゴンのそばに歩み寄った。
「ピップ、無事ですか?」
ラムダは変わらぬあどけない表情で尋ねた。
「ラムダ……きみは……」
モルゴンのハッチを開き、ピップは顔を出した。
「ぴーーーーーっっぷ!!」
そんなピップの声を遮るように、ギャランの声が第三格納庫に響き渡った。
ギャランはメタルギャランのハッチを開けて、ピップとラムダの方に向かって来ようとし
【八人のアダム】 1-14 <回想>
ギャラン=ドゥはそのときの様子を、のちにこう語った。
「あの時、でかいスターズの主砲から発射されたのはぶっといレーザー砲だったわね。それは、あのちびガキとピップのモルゴンを容赦なく焼き切るだろうと思ったわ」
ギャランは手に持ったワイングラスをかろやかに横回転させた。
赤ワインの芳醇な香りがあたりに漂う。
「でもあのちびガキ……いいえ、ラムダと呼ぶわ。ラムダにレーザーが当たると思われた瞬間、レーザ
【八人のアダム】 1-12 どうしよう!?
ラムダがスターズであると聞き、ピップは驚愕した。
驚愕したが、同時に、
(じいちゃんなら可能かもしれない)
とも思った。
アダム博士の会社、アダムカンパニーは、主に医療用のスターズを製作している世界的な大企業であった。
その商品群の中には、人間や動物に近い動作をするものもあったし、医療メーカーである以上は、人間の構造についても十分すぎるほどの研究がされていただろう。
そのアダムカンパニーの技術を
【八人のアダム】 1-11 はじめまして
「はじめまして。ぼくの名前はラムダです」
その子どもは満面の笑顔でピップに挨拶をした。
その挨拶があまりに明るく屈託ないため、はじめ、ピップは自分が部屋を間違えて入ってしまったのかと思った。だが、この寝室は間違いなくピップの寝室だった。
そもそも、このアパートの部屋にはカードキーのロックがかかっていて、他人の部屋に入れるわけがないのだ。
「えーと、その、ラムダくんといったかな? きみは、なんで