見出し画像

[No.90]山根治ブログより転載

[No.89]で『ロレンスになれなかった男』に触れ、それが空手の岡本秀樹の伝記で、カイロが詐欺ビジネスの舞台だのに、小池一家の挙動については、ほとんど触れていないので、どうにも奇妙なことだと思った。著者が毎日のカイロ支局長で、NYやロンドンでも支局長をやり、外信部長や論説委員を歴任した人だのに、石油の現場の中東に駐在して、こんな手抜き仕事をするとは驚きだ。

 何しろ石油情報の中心近くにいて、国際石油政治に触れずに、如何わしいフィクサーについて、伝記を纏める気になるとは、呆れた国際感覚だと思い、この空手使いのチンケな武勇伝を読破した。中東におけるカイロの役割は、石油政治の問題だけでも、火薬庫であるアラブ世界において、極めて重要な存在だのに、そう言ったことに触れず、岡本の足跡だけを追いかけている。

 大量の税金が開発援助の形で、ODAを通じて投入され、裏金作りに悪用されており、汚職のお花畑になっているが、そういった状況への関心は、ほとんど無いに等しい状態だ。学歴詐称で問題を起こし、2020年から取り沙汰された、小池百合子に関しては、「カイロ大学」に留学してから、都知事の小池百合子が、ハーテムに面倒を見て貰っていた」と、僅か二行の記事しか見当たらない。

 カイロで小池百合子の両親が、日本料理の「なにわ」を営み、その出資者が朝堂院大覚で、生活の面倒を見て貰ったことも、小池百合子が岡本秀樹と一緒に、空手雑誌を出した話の片鱗もない。ただ、岡本が女癖が非常に悪く、妻にしたフダの元夫に恨まれ、国外退去処分の危機に瀕したり、ロシア人のマフィアと組んで、ソ連から武器密輸に失敗して、カネに困窮していた話はある。

 しかも、カイロ大の裏口編入を手配した、エジプト政府の副首相のハーテムは、文化・情報相を兼任していて、軍部と秘密警察を掌握し、中曽根と1954年以来親しく、CIA人脈のコネクションだった。このハーテムの家に住み込み、毎月12ポンドの手当てを貰い、それを奨学金と称した小池は、ハーテムを「私のエジプトの父」と呼び、子供同然に可愛がって貰っていた。

 しかも、カイロ大に学んだ浅川芳裕は、『カイロ大学』の著者であり、2004年の「アハーラム」紙の記事にハーテムが、「日本の首相からの要請で、当時14歳だった小池百合子という、日本人の女の子を養女にした」と書いたと指摘。だから、「小池はエージェント枠で、1970年にエジプト政府に採用された」と推察するが、彼の記事は浅川芳裕で検索すれば、「NOTE」のブログにあるし、私の記事も藤原肇で探せば読める。

 なお、私の五十年前の調査では、多くの新興宗教の教祖は、妾を養女だとしていたから、百合子がハーテムの愛人で、同じ家に住んだ可能性もあり、空手雑誌を一緒に出していた、岡本も別口のパートナ―かも知れない。それはコメントメール(87)で、私は小池と竹村の関係に関して、緊密さ以上のものを感知し、朝堂院大覚のU-Tube発言で、その書き出し記事を見れば、次の通り愛人発言が頻発する。

 <・・・そして、テレビに出て衆議院にも出て、その時に細川護熙と組んで愛人になった。次には小沢一郎と組み愛人になり、小泉純一郎とも組み愛人になっている。そして、愛人を踏み台にしてのし上がった女帝である。・・・>

 子供を60人以上も作って、女性に精通した朝堂院大覚が、愛人関係と断言した以上は、下司の勘繰りは無用であり、彼の直感力を信じて良いし、特に小泉との場合は露骨だった。弁当作りや刺客になって、身も心も捧げていた状態は、週刊誌やタブロイドを賑わせ、環境相、特命担当相に就任したし、小泉の腰巾着の安倍晋三に、首相補佐官や防衛相にして貰っている。

*****

 『ゾンビ政治とポンジ経済の劇場』に書いたが、18世紀のフランスの歴史は、絶頂からどん底への激動を体験し、王政から共和政へと激変して、革命を含む血塗られた時代だった。

 <・・・戦争に明け暮れて財政破綻に陥ったために、ルイ王朝が詐欺師として知られた、ジョン・ロウの奇策に従い、通貨の大量増発を伴うミシシッピ計画を推進した。

 そのために大インフレが起き、通貨が信頼性を喪失したが、僅か五歳で国王になったルイ15世は、オルレアン公が摂政を務め、ロココ様式の贅沢を謳歌し、国家の財政は破綻に瀕していた。

 その混乱の成れの果てが、フランスの大革命になり、フランス王国は潰れてしまうが、表面的には好況に見えても、英米の経済も似た状況で、1989年は大革命の二百年目である。フランスの国内においては、ロココ文化に続く革命騒ぎで、世界史的な事件が起きていたし、オーストリア継承戦争や七年戦争により、周辺諸国が荒廃したように、二百年後の世界情勢も似ていた。

 世界的規模で地殻変動が起き、ソ連のアフガニスタン撤退に続いて、中国では天安門事件が発生し、ベルリンの壁の崩壊により、共産圏は行き詰りを露呈し、冷戦構造の終焉に繋がった>

 今から二百五十年ほど前は、ルイ十五世が統治した時代で、ロココ文化が花盛りだが、インフレで国家財政は破綻し、ボンバドール夫人が公妾として、ペチコート外交を展開していた。彼女の死後に王妾になって、ルイ十五世を背後から操り、フランス王国の運命を狂わせたせいで、大革命を招来させたのが、下層階級出身のMadame du Barryであり、男性遍歴の苦労の果てに、公妾になり社交界で活躍した。

 特に、マリー・アントワネットに嫌われ、王女たちが嫌悪したために、宮廷にお家騒動の種を蒔いたので、王家滅亡の原因を作って、最後に追放同然になっても、宰相や大法官に取り入ったが処刑された。このデュバリー夫人の生涯は、小池百合子の生き様に似ており、そこに奇妙な類似性を発見し、私は奇妙な巡り合わせや、女としてのサガを感じさせるが、この歴史の相似性は興味深い。

 自民党が示す断末魔を始め、時代を覆う腐敗と享楽性は、噴火口上のダンス騒ぎであり、踊っている者たちは楽しく、愉快であるかも知れないが、迫り来る悲惨な状況に対し、誰が狼藉の後始末をするのか。首相以下全閣僚が噓をつき、裏ガネつくりに熱中して、「今だけ」「ここだけ」「自分だけ」で、政治家が国民の幸福を忘れ、私欲に汲々としているならば、亡国の運命は免れ得ない。

 法務大臣が選挙違反を犯し、監獄にぶち込まれていたり、首相や衆議院議長までが、外国の邪教の手先になって、売国奴になるような国に、信頼や尊敬は成り立たないから、ご破算にして出直すしかない。内閣を構成する顔ぶれが、ゴロツキ以下だというのは、その発言力や顔つきだけで、一目瞭然だという事実からも、国力の低下は明白であり、お粗末さ加減は『さらば暴政』の記述通りだ。

 <・・・小池補佐官の経歴は安全保障とは無縁であり、せいぜい英語とアラビア語が喋れるというだけで、通訳のセンス程度しか持ち合わせないことは、彼女の過去と能力を知る私が迷わずに断言する。彼女の父親は勝共連合の支援で衆院選に出たが、落選後に借金でカイロに夜逃げして、日本料理屋をやる傍ら、石油利権のブローカーとしても悪名が高く、その関係で彼女がカイロ大文学部に学んだことは、『日本の病理(KZP)の中に書いておいた。

 竹村健一の「世相ナントカ」というテレビ番組に招かれて、二十五年ほど昔の私は帰国の度に何回か出演したが、小池百合子は番組のホステス役をしており、番組前のコーヒーの接待を受けて何度も雑談をした。アズハリ大学はイスラム神学の最高学府であり、話のついでに「小池さんはアズハリ大学に行ったそうですね」とカマをかけたら、「藤原さんは何で中東のことにお詳しいのですか」と唖然としていたのを思い出す。

 だが、アラブ世界においては情報に疎ければ、石油コンサルタントとしての仕事はできないし、冴えたインテリジェンス能力が唯一の財産だ。また、人間の情報感覚は若い頃の修業と訓練が決め手であり、洞察力や情報力は一朝一夕に身につかないし、地位や肩書きなどは全く無関係なのである。

 小池百合子に初めて会ったのは四半世紀も前だが、その後タレント議員から大臣に出世しても、彼女の才能はアラビア語と英語を喋る程度で、『朝鮮日報』が喝破した通り「人寄せバンダ」に過ぎない。また、レバノン人やスイス人なら数力国語を操るが、外国語と接待役が上手だというメリットだけで、一国の首相補佐官が務まると彼らが聞けば、目を丸くして「それなら自分も」と思うのではないか。

 日本での首相補佐官の人選が実にいい加減なのは、政党の選挙対策部長か官邸の広報官レベルだのに、新人議員の世耕弘成がNTTの報道課長だったので、広報担当の首相補佐官に任命されてお笑い草である。補佐官の乱発は小泉政権時代にも問題になっており、落選中の山崎拓議員の失業救済のために、鉄面皮にも首相補佐官に任命されている。セックス・スキャンダルで選挙民の信任を喪失したために、国会議員の資格がないと判定された男が、小泉のヒキで首相補佐官に抜擢されたということは、日本の憲政史にとっての一大汚点であった。

 ・・・首相補佐官の制度は細川首相が一九九六年の時点で、アメリカの大統領補佐官を真似て導入したが、事務次官と同じ給与の特別公務員であるのに、人材難で大部分が国会議員や幹部官僚が就任した。しかも、組織として有能なスタッフも揃えていないし、実力競争を通じた指導性を問われることもなく、職務権限や責任がないヌエ的な存在として、議会制度に不整合のまま権力の周辺にいるだけで、日本の補佐官制度はお粗末の極みである。

 特別補佐官の真の役割は何かを検討すると、米国の安全保障問題担当大統領補佐官が担当している職務と責任は 安全保障と外交政策の立案と実施に関与して、大統領直属の国家安全保障会議(NSC)を主宰している。しかも、この諮問会議に参加する正式メンバーの顔ぶれは、正・副大統領、国務長官、国防長官、安全保障担当補佐官(NSC議長)であり、CIA長官も必要に応じて参加するほどの権威を持つ。しかも、NSC事務局長の下には百二十人の専門スタッフがいて、調査と分析のプロとして仕事を担当するが、日本の補佐官は法的権限や責任は何も持っておらず、首相の茶飲み相手に毛が生えた存在である。

 韓国における大統領補佐官の場合は、大統領が議長を務める国家安全保障会議(NSC)の下に、 国務総理、青瓦台秘書室長、国家安全保障補佐官(NSC事務部長)がいて、トップに位置する三人の幹部の一人である。また、彼の下には外交補佐官、国防補佐官、NSC事務次長がいるという具合に、組織系統が機能するようになっているし、外国人から尊敬されるだけの人材を配置している。

 おそらく、パキスタンをはじめ北朝鮮やエジプトの場合でも、大統領や首相の補佐官の実力と役割は、日本よりもはるかに充実しているはずであり、国策遂行の機能を果たしていると思われる。「日本のNSCの確立」を標榜して賑やかに登場した安倍自身が、大臣の経験もない状態で人気だけで首相に選ばれたために、その指導性に関して大いに疑問視された。更に、構想力は地位についてから習得するものではないが、日本の場合は補佐官の役割分担が曖味だし、「適材適所」の原則が踏みにじられているうえに、忠誠度による好き嫌いに支配されているのである。

 しかも、首相補佐官の肩書きは名目だけであり、首相や閣僚の代理メッセンジャーとして、外国に出張する程度で閣議には出られない。だから、首相補佐官という肩書きと職制だけはいかめしいが、「親衛隊ならぬ突撃隊」のレベルの顔見世として、首相の気紛れに国策が弄ばれてしまうことにより、補佐官制度が日本ではサブカルチャー化したのである。

 補佐官人事は人気取りを目指した人選であり、顔と名前をよく知られた議員を集めて、メディアと大衆の関心を引くためだった。第一次安倍内閣の布陣がお粗末だったのは、首相の安倍が政治家として余りにも未熟で、「カニは甲羅に似せて穴を掘る」というように、安倍は自分のサイズに合わせた内閣だから、未熟な考え方や力量の人間が閣僚に選ばれた。>

*****

 これが小泉から安倍にかけて、首相周辺の補佐官人事だったが、口先番長の小池百合子が防衛相になり、出鱈目の限りを尽くしたことは、恥晒しの典型だったから、歴史の証言として同書から記録を残しておく。しかも、この本を執筆した時期は、今から二十年近くの昔のことであり、その時から無能政治が続き、政治家の質の低下は絶望的で、政治家よりもやくざや暴力団員が、能力的に優れていたりする。

 稲川会員の浜田幸一が衆議院の予算委員長で、国政を動かす珍事を始め、小泉や安倍のようなサイコパスが首相になり、狂った政治を推進しても、国民はその異常性に気付かない。学歴詐称を押し通した虚言癖の小池百合子に騙され、防衛大臣や都知事に選んで恥に思わないことにより、社会は食い荒らされてしまい、日本は亡国の淵に立たされている。

 <・・・リーダーとしての見識も洞察力もない久間防衛大臣が、原爆投下問題で愚劣な失言をして辞任した後任として、見識はおろか知識もない小池百合子に、防衛大臣の指名をした安倍の不見識とノーテンキぶりは、人事権を持つ指導者としての失格を証明した。政界の渡り鳥を渡世とするマダム小池に、安全保障担当補佐官を任命したことにより、安倍は国家の安全の問題が理解できておらず、人を見る目のなさを明白に露呈していた。真のリーダーになる人は若い時代から苦労を積み、実際に指導性を発揮した経験を持つもので、それが重い責任に堪える能力の証明になるが、甘やかされた世襲代議士にはそれが欠けている。だから、リーダーシップや高い見識がないまま、お座なりな形で防衛大臣を決める人事のあり方は、制度的に悲惨な結果を生み出す元凶である。

 ・・・安倍首相は国家の安全保障への無知を曝け出し、小池百合子を安全保障担当補佐官に任命しただけでなく、防衛大臣にする過ちを犯したが、判断力はおろか知識も経験もない素人に、国家の重要な仕事を丸投げした愚かさは、国家の安全を根底から損なうものだ。

 ・・・昔から「訓練されたプロの直観は輝くが、素人のカンの多くは山カン」と言うが、リ―ダーとしての資質に欠けた安倍晋三は、人気稼ぎを狙い小池百合子を防衛相にした。だが、タレント議員の小池は「刺客第一号」を演じたが、実力のなさでは安倍内閣の無能閣僚の仲間であり、小池大臣の顔見世訪米での軽率な振る舞い、それを二〇〇七年八月十日の『毎日新聞』は次のように書く。「… 小池氏 は会談後のワシントン市内での講演では、”私を『日本のライス』と呼ぶ人もいる。私はライス長官を尊敬しており、彼女と同じ道を歩みたい。『私を私をマダム・スシ(ライス=コメ』)と呼んでもらえますか」とライス氏を持ち上げた。

 自民党が惨敗した参院選後初の臨時国会を欠席しての訪米には、『当を得ない行動』(山崎拓自民党前副総裁)などの批判もあるが、会談の最後ではライス氏に、『今度は一緒にゴルフに行きましょう』と誘い、そんな批判はどこ吹く風だった。

 …アメリカはイラクに派兵して戦争を行い、毎日のように米国の青年が死んでおり、安全保障の問題は極めて真剣な課題であるが、日本の防衛相は遊び半分にそれを扱ったので、こんなレベルの人物が防衛相だとアメリカ人は呆れ果てた。いくら陸将や空将の上に大臣として女将が君臨しても、お調子者は米軍では軽蔑の対象であり、国家としての日本の評価は大暴落したのに、国家主義者たちはこの悲劇に気づかないのである。・・・>

 こんなお粗末な失敗談を持つ、「ノー天気で無責任」な小池百合子は、カイロ大主席卒の学歴詐称を使い、出鱈目な都政を八年も続け、東京を滅茶苦茶にしたのに、責任を一切取らず平然としている。こんな悪辣な莫連女に、都政を任せた都民の不甲斐無さは、大阪を利権の巣窟にしている、大阪市民と「同じ穴のムジナ」で、その民度の酷さは絶望的であり、ゾンビ政治が荒れ狂っている。

藤原肇博士の新刊



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?