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とんかつカンティーヌの、これから⑮

(つづき)

実際に、『あらゆる市民生活』に関わるかもしれません


ここまで私は、飲食業界における「食材高騰」のお話をしてきました。

しかし、ことは「食材」の話だけではないのです。おそらくありとあらゆる分野に関わります。原価ビジネスではない、サービス業にだって影響が出そうです。そうなったら、消費者はどのように考え、どのように行動するか。

生活に関わるものすべてが、気づけば高くなっている。これはさすがに、今までとは違うぞ。

そう本当に感じるときが来たら、みんな、おそらく、考えなおすはずだと思うのです。
お金の、使い先を。
何に、どのように、お金を使うか。今までなんとなく出来上がっていた家計の支出バランスを、多少なりとも、見直すときが来ると思うのです。

たぶん、日本の多くの一般家庭においては、この物価上昇によって窮地に追い込まれる、ということは、起こらないのではないかと思っています。そうはならないくらいに、やはり日本はまだまだ、総中流社会の形を保っていると思います。

それに、ここまでこれだけ言っておきながらなんですが、この物価上昇は、消費者市場においては、本当に危機的なレベルにまでは、至らない気がします。天井があるように思うのです。それは過去20年にわたるデフレ社会の生活感覚と、低迷する日本経済の状況が醸し出す、「さすがにこれ以上は…」という空気感が作り出す、天井です。

しかしどちらにしても、賢明な多くの市民は、これからのお金の使い方について、大なり小なり、考え直すはずです。それも、コロナ禍の2年間によって変容した意識や価値観に、基づいて。本当に意味あるお金の使い方って、なんなんだっけ。と。

ある人は、飲み会代を減らして、家族で遊園地に行くことを選ぶかもしれない。
ある人は、遠出の旅行を減らして、近場にピクニックにでもいく回数を増やすかもしれない。
ある人は、衣類を買うことを減らして、家族でおいしい食事にいくことを優先させるかもしれない。
ある人は、外食や食料品費を減らして、その分衣類を買うかもしれないし、ディズニーランドに行くかもしれないし、教育費に充てるかもしれない。貯蓄にまわすかもしれない。

どれかを減らして、どれか別の、自分にとってもっと価値があると思えるものに、お金をまわす。価値観と、お金の使い先の、選別淘汰です。

つまり、あらゆる業種、あらゆるビジネスが、あらゆる業種、あらゆるビジネスに対して、大なり小なりの「競合」となるかもしれない、という時代が来る可能性があると、考えているのです。

(つづく)


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