雨の降る日に

5月最後の金曜日、この日は献血の予約をしていた。仕事は午前で切り上げて、アンニュイな午後を血を抜いて過ごす、完璧な計画。
例によって通勤は、片道6ｋｍほどの道をてくてく歩いているわけだが、行きに歩けばほとんど当然のように帰りも歩くことになる（帰りは公共交通機関で、という脳みそがない、困ったことに）。

確か、行きは雨が降っていなかった気がする。そうだ、多分降っていなかった。傘の隙間からこぼれる雨に濡れて、惨めな気持ちで仕事に臨んだ記憶がないから、多分正しい。
悲しいことに、昼からざぶざぶと降り出した雨、そしてやや強めに吹き殴ってくる風。なんでさっぽろって、風が強いんだろうね。

雨の中を献血センターに向かって歩くと、なんだかおなかが減ってきた。時計は12時半を指している、いい時間だ。
ちょうど、前から気になっていたカレー屋さんの前を通りかかる。とてもカレー屋には思えない店名、黒板にチョークでかいたような感じのメニウ。「コトコト煮込んだチキンカレー」なんて、すてきな殺し文句じゃないか。換気扇から流れてくるスパイスの効いた、いい匂い。入ってみようかな、いや、今日はおかずを作り置きしていた、といつも暖簾をくぐることなく通り過ぎていたお店。

でも、気になったその時が、きっと入るときなんだ。
初めての店に入るときはいつもちょっとだけ緊張する。

なんとなくチーズが食べたい気分だったので、チーズチキンカレーをセレクト。辛さも選べるらしいけど、初めてだったのでスタンダードなものをチョイス（たしか１辛）。
スープカレーとルウカレーの中間のようなさらっとしたボデー。ひと掬いすると、胡椒が鼻を抜けて目が覚める。上にとろけるチーズも、よく伸びておいしい。

食べ終わるころ、三人連れがやってきたので撤退。今度はキーマカレーにしてみようかしら。
ペンギンさん、ご馳走様でした。

ちなみに、
献血センターまでは当然にずぶぬれになり、そこから家までも再びずぶぬれになりました。勘弁していただきたい。