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004 水平思考

今そこにある水平思考

前回の論理思考に続いて、今回は水平思考を取り上げます。別名を「ラテラルシンキング」といいますが、論理思考(ロジカルシンキング)に比べると知名度は今ひとつです。その理由は複数考えられますが、最も大きな理由はその存在が「気付かれてないから」でしょう。「ラテラルシンキング」といいますが、論理思考(ロジカルシンキング)に比べると知名度は今ひとつです。その理由は複数考えられますが、最も大きな理由はその存在が「気付かれてないから」でしょう。

ところで「トップ画像の瓶の中には何が入っているでしょう?」というクイズ問題を出されたとき、皆さんならどう答えるでしょうか?

もし「何も入ってない」と答える人がいた場合、その人が気付いていないのは “空気” の存在です(もちろん中が真空の可能性もありますが…)。

今回ご紹介する水平思考は、まるで空気のようにいつでもどこにでも存在していながら、ほぼ「気付かれていない」という可哀想な存在です。勘の良い方は既に気付かれたかもしれませんが、私たちが日常の殆どの場面で使っている頭の使い方、それが実は水平思考の正体です。

実際、今日のランチは何にするか、どの店に入るか、どのメニューのどの部分から箸をつけるかを考える際に、過去に遡って「何を食べたか、どう食べたか」を振り返り、論理的に考え(論理思考を使い)、それに基づいて行動しようとする人はまずいないと思われます。

論理思考か水平思考か?

では、論理的に考えないのなら、私たちは普段どのようにして「考える」という行為をしているのでしょうか?

前回「考える」の定義を「予測・判断・決意する/しようとすること、思い付くこと」としましたが、その中の「思い付くこと」という部分は、論理思考では不可能です。論理は前回お伝えした通り「妥当性ある考えの筋道」であり、平たく言うと「○○だから□□」というカタチを取らざるを得ないからです。つまり、「□□」に「○○」が必要なことからも分かるように、そこに “思い付き” は無いのです(「○○はさておき、ただただ□□」が水平思考の世界です)。

そしてこの「思い付くこと」がまさに水平思考の本質となります。言い換えれば、私たちは普段 “思い付き” という考え方で、殆どの状況に対応しているのです。ただ、こう言うと中には「私は常日頃から論理的に考えている!だから論理的に考えている場合の方が多い筈だ!」と非論理的なことを言う方も出てきますので、簡単なクイズによって実験をしてみたいと思います。


2つのグラスを用意し、グラスAには赤い液体aを、グラスBには透明な液体bを、それぞれ100mlずつ入れます。次に同じスプーン2本を用意します。そして両方のグラスからそれぞれの液体を5mlずつ同時にすくい、反対のグラスに注ぎ、よくかき混ぜます。さらにその動作をあと2回繰り返したところで、クイズです。── グラスAに残った赤い液体aと、グラスBに残った透明な液体bでは、どちらの方が多いでしょうか?

正解はもちろん「両方とも同じ」です。

「両方のグラスとも同じタイミングで同じ動作をしたのだから、同じ量が残ったに決まっている」と判断した方は、水平思考を使った人です。一方、グラスAに残った液体aを計算し、その結果が86.45mlと判明させてからグラスBに残った液体bにも同様の計算を行い、驚くなかれ 小数点第2位までピッタリ一致したのを確認し、「両方とも同じ」と判断した方は論理思考を使った人です。

さて、本当に常日頃から論理思考を使っている人なら「水平思考を使って解く方がよい」と論理的に判断したのではないでしょうか?

垂直と水平

先ほどのクイズで見たように、論理思考にはデメリットがあります。即ち「手間暇がかかる」というデメリットです。「確実性が高い」というメリットがあるためビジネスでは非常に重要視される論理思考ですが、そのスピードにおいては水平思考に適いません。一方、水平思考には「確実性が低い」というデメリットがありますので、論理思考と組み合わさねば実用に耐えません。どちらが良い/悪いという話ではなく、両方を使えるようになることが必要だという話です。

ところで、論理思考は水平思考と比較して「垂直思考」と呼ばれることがあります。論理思考は納得するまで掘り下げるため「垂直」、水平思考は納得するまで考えを拡げる(思い付き続ける)ため「水平」と呼ばれるようです。
※ 念のため、下記にイメージを挙げておきます

この垂直と水平のふたつの思考を使って、ぜひ望む “納得” を手に入れてください。

[参考]これまで&これからの記事

法人/個人を問わず、論理思考やコミュニケーションスキル、メンタルスキルなど各種ビジネススキルを、基礎の基礎から分かりやすくお伝えいたします。   (株)トンパニ https://tongpanyi.co.jp/