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千夜千術

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どんな仕事に就こうとも、AIに仕事を奪われることからは逃れられない時代。ならば、奪われても奪われても、また次の仕事にありつける「スキルセット」を身に付けてしまえばいい。 そんな…
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#ビジネス

027 論理③ 切り口

前々回は「分ければ分かる」ことを、前回はそのコツとして「MECEっぽく分ける」こと…をご紹介しました。今回はその続きとして、MECEっぽく分けるにはどうすればよいのか、何が必要か?を見ていきます。 切り口とは?まず最初に、次の図をご覧ください。 左に「なんだかよく分からないもの」があり、それを上下に分けたり、左右に分けたりしています。上下に分けた人がこの「なんだかよく分からないもの」を他人に説明する場合、「上下を合わせたもの」と言うでしょうし、左右に分けた人なら「左右を合

026 論理② MECE

今回は「少し考えただけで『分かる』ようになる考え方」、つまり「分解のやり方」がテーマです。 うまく分けるコツ前回「私たちが何かに対して『分からない』と言うときは、上手く『分けられなかった』だけ」とご説明しました。では、うまく分けるには何が必要でしょう。中には「才能」や「センス」が必要と考えるかもしれませんが、それは難易度の高い対象に限定される話で、多くは才能やセンスなしに対応が可能です。たとえば「AランチとBランチ、どっちが得だろう?」という疑問を解消するのに、そのふたつは

025 論理① 考える

仕事がら「ずっと悩んでるんだけど、どうすればいいか分からなくて」という言葉をよく耳にします。ここでいう「悩む」とは「苦痛を感じる」という意味ですが、「悩む時間=苦痛を感じてる時間を使って、とっとと解決策を考えたら?」と無慈悲な発言をするわけにもいかず、こちらも「それは困りましたね…」と同調発言をする羽目になります。 もしその悩み(=痛み)が肉体的なものなら、病院に行って診てもらうか、「心頭滅却すれば火もまた涼し」という人間に備わった基本機能(下行性疼痛抑制系)を駆使すればよ

024 描く③ 四つのルール

〝デザイン〟というと多くの方が口にするのは「センスがない」の一言ですが、プロのデザイナになるのでなければ「センスは不要」と言っても過言ではありません。センスを求められるのはもっと高いレベルの話で、それまではルールを知り、守るだけで十分だからです。 ── 今回はそのセンス以前の “ルール” について、簡単にご紹介します。 近接 最初のルールは「近接」です。これは上記のように、似たもの同士を近付け、違うもの同士を離す(その違いの分だけ距離を空ける)のがルールです。クロネコもシ

023 描く② 四角と矢印

前回は企画書・提案書をつくる際の準備について、詳しくご紹介しました。今回は、最適なページレイアウトを作るための基礎的な考え方と、そのテクニックをご紹介します。 「Zの法則」で導く企画書・提案書に限らず、すべての文書デザインの基本となるのが「Zの法則」です。まずは下の図をご覧ください。 横書きレイアウトの場合、人は目を「左→右」に動かし、次に「上→下」(もっと正確に言うなら「右斜め上→左斜め下」)に動かして次の行に移動し、再度「左→右」に動かして文章を読み進めます。これが目

022 描く① 準備する

皆さんは、お仕事で企画書や提案書をよく書く方でしょうか? 中には毎日のように書く人もいるでしょうし、中には見たことすらない…という人もいるかもしれません。今回からの3回は、そのどちらでもない “つくり慣れてない人” に向けた「企画書・提案書の描き方」についての連載です。 ニーズを把握する企画や提案の多くは、相手のニーズを聴くところから始まります。相手が自身のニーズを伝えるための時間を用意してくれることも多く、その時間を「オリエンテーション」(通称:オリエン)と呼びます。

021 書く③ 文章の量

書くスキルの3回目として、今回は “文章量” を取り上げます。前々回ご紹介した通り、伝えたいことをにシンプルに伝えられると必然的に文章量は少なくなる筈です。ですが「シンプルに伝える」ことそれ自体にもスキルが必要ですので、ここでは真似やすい、ちょっとしたコツを幾つかご紹介します。 一文を短くするまず一番簡単なのは、文章をわけて一文を短くするテクニックです(例文は前回同様、 阿部紘久『シンプルに書く!』より引用/一部改訂)。 主語・述語の数だけ文章を分ける 悪例: 私は、後ろ

020 書く② 文章の質

“悪文” という日本語はあるのに反対の “良文” という日本語がないのは、もしかすると文章は「良くて当たり前」と思われているからなのかもしれません。── というわけで(?) 、前回に引き続き、今回は「良い文章」の書き方をご紹介していきましょう。 正しく書くまずは、当然のことながら “正しい日本語” で書く必要があります。推敲や校正の段階で直せばよい話ではありますが、ごく簡単によくある間違い例をご紹介し、その確認にかえたいと思います。 ※例文はいずれも 阿部紘久『シンプルに書

019 書く① シンプルに

文章の書き方を説明する書籍もブログも既にたくさんあります。さらに文章を使わなければ文章の書き方を説明できない、というジレンマもあります。しかし、まとめる効果、整理しておく効果もあると信じて、無謀にも(?) 今回から3回にわたって文章の書き方をご紹介します。 何を書くか?そもそも「何を書くか?」ですが、端的にいうと「論点を書く」という一言に尽きます。ただここで注意が必要なのが、論点とは自分が「論じたい点」ではないということです。そうではなく「論じて欲しいと相手が考えている点」

018 読む③ ポーズ

前回の「本」、前々回の「ニュース」は読む対象として一般的でしたが、今回の「ポーズ」が読む対象だというイメージをもつ人は少ないかもしれません。ですが「口ほどにものを言う」といわれる “目” よりも、ポーズから読み取れる情報の方が圧倒的に多いので、知っておくに超したことはありません。 顔色や目よりもポーズここでいうポーズとは「仕草・姿勢」のことを指します。たとえば上の写真では女性が自分のあごを触っていますが、これがポーズです。この女性は無意識にあごを触っているのですが、何の意味

017 読む② 本

スキルというより態度や姿勢が重要だった前回「読む① ニュース」に比べ、もっと具体的なスキルが必要とされるのが、本/書籍の読み方です。 速読はコスパが悪い?「本を読む時間がない」という悩みを持つ人は、案外多いのではないでしょうか。読書好きの人なら、その時間を優先して確保するため問題とはならないかもしれません。しかし多くのビジネスパーソンにとって読書は「好きというより必要」が本音のため( たとえ時間があったとしても他の用事に時間を割いてしまい )、いつまでも「本を読む時間がない

016 読む① ニュース

今回から3回に分けて “読む” スキルをご紹介します。まずは、最も読む機会の多いニュースとの付き合い方から話を始めます。 情報大爆発ニュースを取りまく私たちの環境はこの数十年で大きく様変わりしました。総務省がその事実を端的に示したのが2007年の「情報流通センサス」で、それによると私たちが選択可能な情報量は(それまでの)10年間で410倍に爆増した…とのことでした。 ただし、今となってはそれすら10年以上も昔の話で、現在の情報量はさらに増加し、発表以降の10年で40倍にな

015 話す③ アイメッセージ

早いもので、今回で “話す” スキルも3回目です。 話すのは2〜3割に世には話好きの人がたくさんいます。だからという訳でもないのでしょうが、人と話す際には、自分が話すのは会話量全体の2〜3割に留めた方がよいとされます。つまりは相手に7〜8割を話してもらい、自分は主に聞き手にまわる方がよい…ということです。勿論これは状況によっても変化しますし、時と場合によっては1割にまで減らす必要がある場面もあるかもしれません。簡単に言うと「5対5 (fifty-fifty) ではない 」と

014 話す② 確認

前回は、ミスコミュニケーションがどのようにして起こるのかを詳しく見ましたので、今回はその対策「確認」についてご紹介します。 復唱が役立たないとき新社会人として就職した際、「電話を取ったり、指示を受けたときには必ず復唱しなさい」と教わった方がいらっしゃるかもしれません。勿論それは正しい教えですし、社会人1年生には必要な学びなのですが、ここでは敢えてそれに異を唱えてみたいと思います。というのも、復唱が役立たない場面の方がむしろ多いからです(復唱を頼りにすることはあっても、すがら