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018 読む③ ポーズ

前回の「本」、前々回の「ニュース」は読む対象として一般的でしたが、今回の「ポーズ」が読む対象だというイメージをもつ人は少ないかもしれません。ですが「口ほどにものを言う」といわれる “目” よりも、ポーズから読み取れる情報の方が圧倒的に多いので、知っておくに超したことはありません。

顔色や目よりもポーズ

ここでいうポーズとは「仕草・姿勢」のことを指します。たとえば上の写真では女性が自分のあごを触っていますが、これがポーズです。この女性は無意識にあごを触っているのですが、何の意味もなく触っているわけではありません(あとでご紹介する「なだめ行動」のひとつです)。たとえば交渉の場面で、このような相手のポーズにすかさず気付き、その気持ちを察する(忖度する)ことができれば、より有利に交渉を進められることでしょう。

一般には「顔色うかがい」や「嘘を言ってる目には思えない」などと言って、顔色で心を読み取ろうとしますが、実際にはそれはかなり難しい所業です。ドラマ「サイレント・ヴォイス」(テレビ東京)の主人公・楯岡絵麻なら、0.2秒だけ現れるマイクロジェスチャ(微表情)を見逃さず相手の心理を読み解けるのでしょうが、なんの訓練もしていない私たちがそれを見抜けるわけでもありません。

ならば目よりも大きくて分かりやすく、その持続時間も長いポーズから読み取るのが最善と言えるのではないでしょうか。少なくとも「しっかりメイク」の下に潜む顔色を窺うよりは楽なはずです…。

ポーズを読むメリット

人がとるポーズにはたくさんの種類がありますが、個別に紹介するよりも、まずは次のシルエットを見ていただくのが理解しやすいかもしれません。

左側の人が落ち着いて握手しているのに比べ、右側の人は早くこの場を離れたがっているようです。言えない何かがあるのか、次の予定が迫っているのかは分かりませんが、少なくともこの場に留まることを望んではいないようです。ですので左側の人は(もしまだ右側の人が笑顔で話を聞いてくれていたとしても)これ以上、引き留めるべきではないでしょう。

このようにして、相手の言葉の裏付けを取れるのもポーズを読むメリットといえます。

様々なポーズ

ポーズの中で最もよく見かけるのが前述の「なだめ行動」と呼ばれるものです。手を使って行うことが多く、以下のようなものがこれにあたります。

両手をこすり合わせる/あご・喉・首などを触る/髪や襟、ネクタイやアクセサリに触れる/ペンを廻すなどして、もて遊ぶ など

同様に子どもの “指しゃぶり” は分かりやすい「なだめ行動」ですし、手を使わない例に “唇をなめる” などがあります。

これらはいずれも不安やストレスを強く感じたときに見られる行動です。無意識にそれらを解消しようとして、末梢神経が集まっている部分に触り、その刺激によって落ち着こうとしている訳です。

もちろん、上記以外にも様々なポーズがあります。たとえば会議でよく見られるのが、次のふたつです。

しかしこれらのポーズをしたからと言って、必ずしも上記のように感じているとまでは言えません。人には誰しも “癖” があり、これらのポーズもその人にとっては “ただの癖” かもしれないからです。

ポーズを読む際の注意点
・くつろいでいる時との違いや変化を見る
・複数のポーズから総合的に判断する
・ポーズから得た判断を過信しない

ぜひこれらの注意点を守り、相手の真意を探り、交渉などをうまく進めていただければと思います。

[参考]これまで&これからの記事

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