023 描く② 四角と矢印
前回は企画書・提案書をつくる際の準備について、詳しくご紹介しました。今回は、最適なページレイアウトを作るための基礎的な考え方と、そのテクニックをご紹介します。
「Zの法則」で導く
企画書・提案書に限らず、すべての文書デザインの基本となるのが「Zの法則」です。まずは下の図をご覧ください。
横書きレイアウトの場合、人は目を「左→右」に動かし、次に「上→下」(もっと正確に言うなら「右斜め上→左斜め下」)に動かして次の行に移動し、再度「左→右」に動かして文章を読み進めます。これが目の基本動作となるため、この動きに沿って段落や写真をレイアウトすると、とてもスムーズに読ませることができます(ストレスを感じさせません)。
反対にこれを無視したり、逆らったりすると、言葉にならないストレスを与えることになります(下から上に読ませる「戻る」レイアウトや、広告画像が間に入るなどして「飛ぶ」レイアウトなど)。ただしこの「Zの法則」は、あくまでも基本にすぎないので、意図をもって違反するのであれば問題ありません。実際、レイアウト固定で内容だけが変更されるニュースサイトでは、ヘッドラインだけを読ませて次のブロックへと移動させる「Fの法則」に基づきレイアウトされています。
四角と矢印をつかう
こと企画書や提案書においては、一目でわかってもらえるよう工夫する必要があります。それには、四角と矢印を用いるのが最も簡単かもしれません。なぜなら四角と矢印には、次のような働きがあるからです。
四角の働き … 強調、グループ化
矢印の働き … プロセスや位置づけの可視化、要素の注目支援
時間の経過や因果関係を示したり(プロセス)、対比や分岐を示したり(位置づけ)、見て欲しい箇所を指し示したり(要素の注目支援)と、非常に利用しやすいのが矢印の特長です。この特長を活かし、四角を使って文章をグループ化した上、それを矢印でつないで文章の構造を図として表現すれば、内容を読まずとも「一目でわかってもらえる」状態が実現されます。
応用すれば、上図のように四角を取り除いてしまっても問題ありませんし(強調したくない場合など)、矢印を四角と一体化させても、それをさらに進化させて “吹き出し” にしても良いでしょう(上図右下の「アレンジする」参照)。
また、四角を角丸にして表現を和らげる(その場合は角丸の半径を統一しないとアンバランスになります)など、細かなテクニックは無数にありますので、ぜひ探して自分のものとしてください。
デジタル化する
前回「丁寧なアナログ作業(手書き作業)の手間を惜しまないことが、効果的であると同時に効率的」とお伝えしました。ですので、ここまででご紹介した内容(四角と矢印でレイアウトをつくる作業まで)はすべて、実はアナログ作業となります。── 以下に、まとめます。
1. ニーズを把握する
2. 伝える “内容” を決める(概要?詳細?など)
3. 伝える “手段” を決める(口頭?パワポ?など)
4. 伝える “順序” を決める(台割りをつくるなど)
5. レイアウトを描く
このアナログ作業を経てはじめて、パワーポイントやイラストレータなどを使ったデジタル化に移るのが、遠回りのようですが実は近道となります。属人的に「思い付いた順で作業する」という考えかたではなく、「ステップに分け、それぞれのステップを着実に片付ける方が、何度も行きつ戻りつするより結果的に早くなる」という考えかたの方が、より安全側ですし、上記2.〜5.の各ステップが終わったタイミングで上長や先輩の確認(承認)を挟めば、さらに安全に進められることでしょう。
わかりやすく描く。これは企画書・提案書に限らず、すべてのビジネス文書における “必要条件” です。これが出来てはじめて、次の「美しく」や「カッコよく」が意味を持ちますので、基本を馬鹿にすることなく(アナログ作業も馬鹿にすることなく)、より短時間で伝わる “わかりやすい資料” づくりにチャレンジしてみてください。
[参考]これまで&これからの記事
法人/個人を問わず、論理思考やコミュニケーションスキル、メンタルスキルなど各種ビジネススキルを、基礎の基礎から分かりやすくお伝えいたします。 (株)トンパニ https://tongpanyi.co.jp/