流産しました @備忘録(7/7)(終)
備忘録6の続き
・妊娠発覚から切迫流産に(→備忘録1)
・大学病院へ(→備忘録2)
・手術当日(→備忘録3)
・いざ手術室へ ※閲覧注意 (→備忘録4)
・手術後、尿意との戦い(→備忘録5)
・術後の経過は人ぞれぞれ(→備忘録6)
◆術後10日目
最初にかかっていた掛かりつけの婦人科に、10日後くらいに再受診するように言われていたのを思い出して予約を入れた。
前回の診察から11日の間に何があったのか、病院ではアクリルパネル越しに看護師も医師も防護服にマスクとフェイスシールドまで付けていた。
手術を受けた旨と、手術翌日の血液検査の結果を報告したのだが、一通り話終えた後で医師が「で、今日はなんで?」と言った。
は?10日後に来い言うたやんけ、と口から出かかったが、小心者なので近頃の不調(熱が1日のうちに何度も上がったり下がったりする)を相談することにした。
熱が、と言った瞬間に険しい顔をされて診察室の空気がピリついてさらにムカついたが、このご時世ではしょうがないだろう。
「咳もないし、熱といっても37.2℃くらいまでしかあがらないのでコロナではないと思います」と言うと若干柔和な態度に戻ったが、いつもの診察に比べてなんだか雑というか、あしらわれるような扱いだった。
自律神経の乱れだろうとのことで、漢方薬を処方された。
「妊婦さんにも出すし、不妊にも効く薬だし次のステップだと思って」と軽く言われた。不妊。そんなサラッと言うんだ。
1ヶ月分も出された漢方薬は、結局半分くらいしか飲めなかった。
副作用なのか、飲むたびにひどくお腹を壊した。
薬局でもらった薬の説明書に「お腹を壊しやすい人は注意」というようなことが書かれていた。私は過敏性腸症候群でお腹を壊しやすいと以前から医師にも伝えてあったしお薬手帳にも書いているのに、そのあたりは全く考慮されなかったらしい。
さらっと「不妊」と言われたこともショックで、この病院に行くのはもうやめようと思う。
◆1か月後の検診
大学病院での検診の日。一人で電車に乗り向かう。
朝一番の予約だったが、それよりも一時間早く行って採血を済ませておいたので、何時間も待たされることはなかった。
血液検査の結果も良好。hCG値は一桁になっていて、問題なし。
今後の検診もいらないとのことだった。
手術から一ヵ月経っていたがまだ生理は再開していなかった。
不正出血が三日ほどあったことを伝えると、医師からはそれを生理とみてもいいかもしれない(つまり妊活再開OK)とも言われたが、二ヶ月後にかかりつけ医の方で診察を受けるように言われる。
それと、今後の注意として
・今がちょうど出産の平均年齢(三十歳)だけど、
子供が欲しいなら早いほうがいい
(コロナを考慮して妊活を控えるようにとは言われなかった)
・虫歯があれば今のうちに絶対治すこと(早産リスクがあるため)
・葉酸サプリは妊娠の一ヵ月前から絶対に飲むこと
そして【絶対にこれ以上体重を増やさないこと】を厳重注意された。
結婚してから仕事で体調を崩して引きこもった結果、標準体重を二キロほどオーバーしていたのだが、最低でも標準体重に戻すようにと言われた(白目)
あと、かかりつけの病院で軽い感じで不妊って言われたことをずっと気に病んでいたので、大学病院でも聞いてみた。
「結婚して3年、妊活を始めて1年半くらい(基礎体温つけてなくて生理日予測のアプリだけでやってるゆるい妊活)」と伝えると一般的には妊活を初めて1年経っても妊娠しなければ不妊ってことになる、と言われた。
ただ今回妊娠しているし、不妊と断定もできないし、奇跡の妊娠だった可能性もあるので何とも言えない、とりあえず生理が再開したら基礎体温をつけてみて様子を見て、不妊外来のある病院にいくのもいいかも、と言われた。
奇跡の妊娠だった場合、私はその奇跡を逃したのだろうか。
◆術後2か月、そしてその後
術後約2か月経って本格的に生理が再開した。
これまで経験した生理痛の中でもトップレベルの激しい痛みで病院に行くべきか迷ったが、麻酔なしの手術に比べたら耐えれたし、その状態は1日だけでその後はいつもと変わらなかった。出血量も少なくはないけどめちゃくちゃ多いわけでもない。
というか、生理が約4ヶ月ぶり?なのでこれまでどうだったのか忘れている。この十数年、ほぼ毎月付き合ってやった生理をたった4ヶ月で忘れるなんて……それくらい、生理がないことが快適だった(快適とは言っても生理と引き換えに腹痛と吐き気があったんだけど)。
そして現在の状態だが、生理はほぼ通常運転(生理不順も含めて通常運転)、妊活を再開させたがうんともすんとも(流産直後は妊娠しやすいってのは都市伝説)で、体重は標準まで減ったけど生理前には超える(つらい)。
歯医者に通ったり、図書館で妊活本を借りてタイミングの取り方の修正が必要だとわかったりとなんだかんだ気持ちは忙しい。
手術をした日のことを思い出すと心が苦しくなって、どこかで読んだ気持ちを整理する方法の1つを実践して数ヶ月は手術と同じ日に花を買って部屋に飾ったりした。いなくなった子供の供養と心を癒すための形に見えるこの方法は私には合っていたらしく落ち着けた。夏の間は切り花はすぐに痛むので、ベランダにプランターを置いて花を育てたのも気分転換になった。
このnoteを夏から少しづつ書き溜めていたのだが、結局こうして公開するのに時間がかかってしまった。(書き始めたのが2020年9月、公開が2021年3月。半年もかかった)
最近やっと手術を思い出して泣いたり、TVやCMの妊娠・出産シーンの演出に心を乱されることも少なくなってきた。(シレッとチャンネルを変えれるようになった)
ただ、出産予定日だった12月5日は心穏やかではいられなかったので、近所の花屋で白いバラを買って部屋に飾った。
奇しくも流産を経験をした夫の同僚が12月初旬に無事出産したと連絡があったそうだ。
私たちもあきらめずに妊活に励むか、一旦医療の手を借りようか悩んでいたが、コロナの影響や不妊治療の保険適用の政策が出たりと状況が変わってきたため、とりあえずはこれまで通りの生活を送ることにした。
今思い返してみて思うのは、やっぱり「おめでとう」と誰にも言ってもらえなかったのがつらかった。それと、最初に病院にかかってから数ヶ月、思うように家事ができず夫に不便をかけたことに申し訳なさを感じていたけれど「流産に手術にショックと不安でパニック状態が続いてるのに旦那の飯のことなんか考えらんねぇよな当たり前だわ」って今では思うので、こういう時にお手伝い感覚じゃなくて出来る限り自主的に動いて支えてくれる夫の存在は貴重だなと思った。
この記事に興味を持って読んでくださった方がどのような経緯でこの記事にたどりついたのかはわかりませんが、もし私と同じように手術をするのであれば、どうか自分を責めないでください。同じ経験をした女性は声を上げないだけで思っているより多くいます。そして、妊娠初期の流産の原因の多くは染色体異常であり、受精の瞬間に流産するかしないかが決まります。どれだけ気をつけて生活していても、これはどうすることも出来ないことです。
(参考:日本産科婦人科学会HP>流産・切迫早産)
もし家族が流産を経験したのであれば、余計なことは言わずにただ寄り添ってあげてください。流産の捉え方は人それぞれです。前向きに次に進める人もいれば、悲しみのどん底に突き落とされる人もいます。どんなに気丈に振舞っていたとしても、大きく傷ついているかもしれません。回復には個人差があるので、その人のペースに合わせてサポートをしてください。
ああしておけば、とか、貴女がこうだから、なんてたらればを語るのは言語道断です。そんなこと言う人には3日に1度箪笥の角に小指をぶつける呪いをかけておきます。
◆さいごに
最後になりましたが、長くなってしまった備忘録をまとめておきます
◇妊娠発覚~術後までに大変だったこと
・家事
絶対安静だと家事は絶対に無理。ひどい時はトイレとベッドの往復もつらいんだから、買い物も洗濯も料理も掃除機も無理。
不安過ぎてネットにかじりつく恐れがあるので気分転換になるものを用意しとくと◎
私の場合、あつ森がなかったらたぶん鬱になってた。
◇妊娠発覚~術後までに必要だと思ったこと
・保険の手続き
加入してる医療保険の保障対象であれば、手術が決まった時に即保険会社に連絡して申請に必要な書類を送ってもらっとくとスムーズ。診断書(保険会社の書式等)は病院に依頼してから受け取るまでに1ヵ月かかるので、術後の検診のついでに受け取れるようにしとくと楽です。
・お薬手帳
持っている人は入院する時に必ず提出するように言われます。持ってる人はお薬手帳に既往症や食品・薬のアレルギーなんかをちゃんと書いておくこと!
急な入院手術でパニックになってるときに「なんかまえに薬飲んでアレルギー出たけど、名前なんだっけ……」ってなります。私はパニックになって「ロキソニン」なんて何百回も連呼してる薬の名前すら出てこなくて焦った。
お薬手帳を持っていない人は調剤薬局に行くタイミングで作るか、アプリもあるので入れておくといいと思います。
・時間をつぶせるもの
病院の診察の待ち時間はエグいので、モバイルバッテリーや本、音楽プレーヤー(イヤホン)などの時間を潰せる物を持っていくのをおススメします。(まさか5時間も待つとは思わんやん……?)
単純に時間を潰すだけでなく、気分を紛らわすためにも必要でした。
・その他
私は昔から麻酔が効きにくい体質らしく、この手術でも術中に覚醒して地獄でした。
いつもなら「麻酔が効きにくい体質です」って言うのに、この時は緊張しすぎて忘れてて言えなかった。だからお薬手帳に書くことにしました。
◇その他周囲に気をつけてほしいこと
・心身ともにつらい時に言われたこと、やられたことは一生忘れないなと思ったので、支える家族は間違っても軽口を叩くな。辛いのは本人(母親)だと言うことを肝に銘じろ、まずは支える側に徹しろ。個人差はあれど流産のショックと手術(または自然排出)の不安でパニックになって正常ではいられないのでとにかく支えろ。
個人的には「若いんだから次があるよ」と夫に言われたことに腹が立ちました。待ちに待った我が子を他のものにすり替えるとこは出来ないし、2人でちゃんと検査したわけでもないのに不妊の原因は私1人にあると断定するような当事者意識のなさにも腹が立ったので(当時メンタルがズタズタだったせいもあります)、ほんとうに余計なことは言わないでほしい……
(ちなみに検査をしない以上、不妊の原因は男性5:女性5ではないでしょうか。実際に検査をした場合、原因の割合は男性4:女性6になるそうです)
・それと(ないとは思うけど)もし医療関係者でこのnote読んだ方は、突然の診断にパニックになって状況をちゃんと理解できていない患者も多いのを念頭に置いておいてほしいです。
疑いのある病名を言うだけ言って大学病院に回す(患者パニック)→大学病院で同じ診断・入院・手術の指示(最初の病院と同じ診断なので医師からの説明なし)(入院!?手術!?で患者パニック、初めて聞く病名だけど矢継ぎ早に言われる指示に医者に質問する余裕なし)→家に帰ってググりまくる、さらにパニックって最悪の状態、って感じでした私は。(せめて「この病名知ってますか?/聞きましたか?」って確認してくれ……)
それに、ちょっとした医者や看護師の一言で傷ついてずっと気に病んでしまう患者もいるってのを忘れないでほしいです(最初の病院で笑いながらサラッと不妊って言われてしんどかった)
・個人的な事ですが、今回のことを機に、私や私の大切な人(夫)を傷つける相手とは距離を置くことにしました。
具体的に言うと、顔を合わせるたびに「子供はまだ?」と言ってくる下世話な友人とは縁を切りました。そういうデリカシーのない言葉で心臓をえぐられるほど傷つく人もいるのだと、この記事を読んで方には理解していただけると思います。
”医療機関で確認された妊娠の15%前後が流産になります。また、妊娠した女性の約40%が流産しているとの報告もあり、多くの女性が経験する疾患です。妊娠12週未満の早い時期での流産が8割以上でありほとんどを占めます。”(引用:日本産科婦人科学会HP>流産・切迫早産)
一時的な感情で、積極的に誰かと縁切りしろということではありません。
ご自身と大切な人を大事にして、心安らかに次の選択をできることを祈っています。
以上、私の2020年の振り返り(とお節介も含めた)記事でした。
ここまでお読みいただきありがとうございました。