流産しました @備忘録(3/7)

備忘録2の続き。

◆手術当日

当日の朝は6時半以降は絶飲だったので、念のため6時に起きて30分かけてチビチビと白湯を飲んだ。
普段水を飲む量が少ないので、きっと病院で緊張と相まってのどが渇くだろうと思ってのことだったが、このコップ2杯の白湯でこの後大変なことになった。


朝9時に入院となっていたので早めに家を出た。
本当は自宅から最寄り駅までバスで行く予定だったが、バスが遅れていて待っているのも落ち着かなかったので歩いて駅まで向かった。
自宅から駅まで徒歩15分くらいの距離が子宮の痛みでつらい。
コロナのせいでマスクも必要で、息が上がる。夫の腕を支えになんとか歩いた。

病院に30分前に到着したので、院内のコンビニで手術後の食事と飲み物、生理用ショーツを買った。
術後に必要なものとして生理用ショーツを持ってくるよう指定されていたのだが、昔から親に「病院に行くときは綺麗な下着で行きなさい」と言われていたこともあってか、手持ちのショーツを持っていくのは恥ずかしかったので購入することにした。

少し早かったが、8時45分くらいに窓口で入院手続きをする。
簡単な説明の後、病棟の方の入院準備ができているかの確認が済みいざ病棟へ。
地図を頼りに迷路のような病棟を進み、何度もエレベーターを乗り継いでたどり着いたのは「周産期センター」だった。

ここで「あれ?」と気がつく。
周産期ってどういう意味だっけ?妊娠の期間のことを言うんじゃ……?
フロア入り口のセキュリティードアが開いた途端、悪い予感が当たる。
フロア中に新生児の鳴き声が響き渡っていた。


担当はとても若い看護師さんだった。
前日の入院説明の時に大部屋を希望していたのだが、通されたのは個室だった。
大部屋に空きがなかったので、と言われて夫とラッキーだったねと笑ったが、実際には感染症対策と私の精神的な負担を配慮してだったと思う。
この頃、病院では面会や付き添いが禁止されていたし、当然立ち合い出産など出来ないようになっていた。日帰り手術の患者とその付き添い家族を隔離するための個室だったのだろう。(とはいえフロア真ん中の普通の個室だった)

スケジュールの説明と簡単な問診を受ける。具合は?と聞かれ、相変わらず吐き気(つわり)が強いのと、子宮の痛みがあることを伝える。
それが終わると入院着に着替え、トイレを済ませた。
廊下ですれ違う入院患者はみんなすっぴんで大きなおなかをしていた。
見えるもの、聞こえるものの全てがメンタルを削ったが、ここで落ち込んだり泣いたりすると惨めな気がしたし、そんな私を見て夫が泣き出しでもしたら面倒だと思った。
自分が泣きたいときに相手に泣かれると、それ以上泣けなくなったり泣かせたことへの罪悪感を感じたり、私の方がつらいのにと腹が立ったりするのが安易に予想出来て、結局病院では泣けなかった。

手術の前に点滴が始まった。
腕の甲側(外側)にある静脈に針を刺すとのことだったが、私の腕には全く血管が見えず、数人の看護師さんと医師が右に左にベッドの周りを移動しながら悪戦苦闘した結果、左手の甲でルートを取ることになった。
(人生であんなに腕をさすられることってないと思う。腕毛の処理をしておいて本当に良かった……)

脱水防止?でブドウ糖の点滴がやっと開始し、その直後に抗生剤の点滴が始まった。過去に抗生物質(錠剤)を飲んで湿疹ができたこと事前に申告していたので、もし息苦しさを感じたらすぐに呼んでください、と言われてやっと夫と二人きりになった。

少し経つと何となく胸(気管支の辺り)が痛いような気がしてきた。
何となく息苦しさも感じたが、点滴の緊張からかもしれないしとしばらく様子を見ることにした。それでも少しづつ胸の痛みが増してきたような感じがして、これは薬剤アレルギーかもしれないと、様子を見にきた看護師さんに「少し胸が痛い」と相談し医師を呼んでもらった。
これまで何度かなったことのある気管支炎の痛さを少し軽くしたような感じと説明すると、点滴を中止してくれた。(夫は気管支炎がわからなかったので「寒い冬の日にマラソンをした時に胸の真ん中のあたりが痛くなる感じ」と説明すると納得してくれた。)
サチュレーションに問題はなく、点滴も8割終わっていたので、このまま中止して問題ないことになった。

胸の痛みは続いたままだったが、どうしてもトイレに行きたくなって点滴台を引き摺りながら再びトイレへ。
点滴のせいでどうしてもトイレが近くなってしまうと看護師さんもフォローしてくれたが、白湯を無理して飲んだのが間違いだったと後悔した。
トイレが近いのに喉はすでに乾いていて、緊張によるものなのかどうかもわからない状態だった。


◆いざ手術室へ

前の患者さんの処置が終わり次第呼びます、と言われて時間の目安のつかないまま部屋で待っていた。
夫は平静を装っているのか、それとも本当に暇なのか、自宅から持って来た新聞をゆっくり読んでいた。
オロオロされるよりはどっしり構えてくれている方が気は楽だが、少しは私をかまってくれてもいいんじゃないかい……?と思ったりしたが、変に慰められたり余計なことを言われるよりはいいかと、私も持参したSwitchであつ森を起動してみたり、Twitterやインスタをぼんやり眺めたり落ち着かないなりに時間をつぶした。


いざ呼ばれると、自分で点滴を引いて歩いて手術室まで向かう。同じフロアなのでそう離れてはいなかったが長い道のりに感じた。







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