流産しました @備忘録(4/7)

備忘録3の続き
※流産手術と術中に麻酔が切れた内容が書かれています。
閲覧にはご注意ください。(これから手術を受ける方にはお薦めしません)

◆手術

手術室には何人もの医師と看護師がいた。手術台は医療ドラマとかでよく見る手術台と産婦人科でよく見る診察台(足が開くやつ)がくっついたような作りで、靴を脱いで上がって寝るように言われた。
パンツも靴下も履いたままだったけれど、後からパンツだけ担当の看護師さんにズリズリと脱がされた。(子宮が痛かったので腰を少し上げるのがつらかった)
酸素マスクのような機械が口の上に伸びてきて、「麻酔入れていきますね」と男性の麻酔科医?に声をかけられる。よくあるマスクとは違い、顔の上にアームで固定されただけだった。
ドキドキしながら、でも意識はかなりはっきりしたままだったので、大丈夫なのかと考えていたら、次に気がついたら部屋の中が真っ暗だった。

あれ、もしかしたら麻酔で寝てた?
授業中に気がついたら寝ちゃっててびっくり、くらいの感覚だった。ウトウトもしなくて、スッと意識がなくなりスッと戻る、みたいな感覚だった。

部屋は暗くなっていて、足元から股にライトが当てられていて、ちょうど手術が終わったところなのだと思った。

しかし、手術は終わっていなかった。
機械が入る痛みと、吸入する大きな音と激痛、次に子宮の中を器具で掻き出すハッキリした感覚と激痛。
痛みで声も出なかった。
かろうじて、痛い、痛いとわずかに出した声に処置台のすぐ横にいた担当看護師が気がついたが、いくら訴えても「うん、うん」とうなずくだけでマスクをした顔は何を考えているのかわからない。
あまりの痛さに何度も痛い、痛いと言っていると、すぐ近くにいた他の看護師も気がついたようだったが、処置をしている医師には届いていないようだった。

そのままどれくらい耐えただろう。処置が終わったようなやり取りが聞こえ、担当看護師が「終わりましたよ」と声をかけてきた。
寝たままの体勢で預けてあったショーツを履かされ、処置台から部屋に戻るために横付けされたベッドに移るときには「そのままズリズリと動けますか?」と言われたので痛む子宮をかばいながらゆっくりベッドに移った。こういう時ってよくある「1、2、3!」で医師や看護師がシーツごと動かすんじゃないのかと、なんだかぞんざいに扱われているような気もした。

ベッドに移ると転落防止に柵が付けられ、担当看護師がベッドを押し始めた。男性(看護師か麻酔医かはわからない)2人が「いける?大丈夫?」と声をかけているのが聞こえ、「大丈夫です」と答えているのが聞こえたが、私は痛みをこらえるのに必死だった。

手術室を出た時、担当看護師が私が履いていた靴を忘れたのに気がついた。
靴を取りに戻りベッドを再び動かすのに看護師が手間取っている間、私が置かれた場所は分娩室の目の前だったらしい。
必死に息んでいる苦しそうな女性の声と息遣いがずっと聞こえていて、地獄だと思った。
何も言わず、感情も動かず、静かに荒い息遣いを聞きながら待ち、やっと元の個室まで運ばれた。

子供を流産して、その処置がこんなに痛いなんて。しかも、よそのお産の声まで聞かされて、これは一体、何の罰なんだろうと思った。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?