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人生賛歌を抱きしめて夢をみている

立っていられないくらい眠たくて眠りにつく

泥のように眠って夢をみる、夢をみている


昼間の星は絵に描いたみたいなぽっくりとした雲に見え隠れして 今はまだ手が届きそうにもない

星までのぼっていかなくちゃいけない、そこでしかみられない景色がある
なのに星があまりにも多くて 迷子になって雲から宙ぶらりんだ、ゆらゆら揺れてちぎれそうだ

空ばかりみて足下の花を見すごしていないかたしかめる、小さく揺れる花もぜんぶ摘んでから星を掴みたいから

夜になったら月をみる
友だちをもとめて、月をみあげて泣いている
友だちは家からでられずに泣いている 涙も流さずにうなだれている
かわりにわたしが涙を流す


夢から覚めないまま、きょうも生きている

知らないでいる勇気ももてずに、花を捜しつづける


空をみあげれば太陽の眩しさに目をつむり、大地に目を凝らせば目眩がする日々、

目を覆って足を止めたくないから歩く

日差しの眩しくない日影道 目を凝らさなくとも側に花の咲く、そこそこ綺麗な道だ



夜風の抜ける渋谷、

きのう聴いた生活の空はいつにも増してすごくすごく素敵だった。

目に浮かんでくる各駅の電車からの風景はやっぱり、立川行きの南武線からみえる山々や河川敷で、
あんなに拒んでいたのに、きっとあのつまらない車窓から眺める飾らない田舎風景がすきだった。
人のゆくえを聴きながら揺られていた、昼間の怠惰な時間。

なにかを考えていたのか、あるいはなにも考えていなかったのか、ことさらに思い出すこともないような時間がきらきらしてみえる

それでも戻ることはないし、それを願うこともないと知っていて、きょうもきょうを生きている。



彼らが最後にナイトトレインをはじめたとき、無性の安心感をのせた風がふわりと吹いて まるで人生賛歌のようだとおもった

わたしが声高に歌わなくともあなたがそばでさけんでる、ただそれだけで心が膨らんでいく 満たされてゆく 高く舞いあがって風が遠くへ運ぶ 星の瞬く夜空を旅する



思ったことを、思いつきを、ぜんぶ言葉にしなくてもいい 言葉をきかなくてもいい

言葉にしないのなら 言葉に惑わされたくないのなら 歩みを信じればいい、


だから歩みをとめないでね