よいか悪いかわからないけれど、「言葉の危機意識」を持つことについて
『マスコミ用語担当者がつくった 使える! 用字用語辞典』(三省堂/2020年)を買いました。
この本は、用字用語の辞典なのですが、
「文章を書いたり直したりするときに判断に悩むであろう事例を中心に、新聞や放送の表記ルールを可能な限り示した」
という特徴があります。
例えば、「制作/製作」どちらが良いのかなと迷ったときにひくと、
制作〔主に芸術的なもの〕「絵画・工芸品の制作」
製作〔主に実用的なもの〕「機械・器具の製作」
とあり、さらに、
放送番組は「制作」、映画は「製作」が一般的だが、演劇・CD・DVDなどでは「制作・製作」が混用されている。
などと書かれています。
で、本の編集作業に関わった場合の「せいさく」はどちらなんだろうと迷いますが、混用されていると明記してあるので、まあ好き好きだからそんなに迷わなくてもよいなと安心する効果を持ちます。
そんな感じで、
「執筆・編集・校閲を担う方々に、実践の場で対応できる用字・用語辞典を目指した」
この本を、仕事で活用していこうと思っています。
ところで、この本で自分が最も反応した部分は、用語説明の合間に入るコラム、その中で最も長く書かれている「読み手・聞き手を不快にさせない表現」です。
「直接相手を侮蔑する語句だけでなく、安易な比喩や、固定観念に基づく表現にも注意しなくてはならない」
とあり、例としては
・社会のがん
・貴様
別コラム掲載で
・帰宅難民
・障害/障碍表記(漢字変更ではなく「要支援者」などへの言い換え提案)
などを挙げています。
さらに、「子育て・家事に協力する」といった使われ方による問題なども取り上げています。
コラムを読み、この「言葉の危機意識」を持ち続けることを私はすごく気にしているのだと自覚させられました。
無自覚な自分の言葉が、誰かを何かを傷つけているのかもしれない。私はそう過剰に意識しながら文章を書くことが多いようです。
Twitterの閲覧でも、TL上に現れる言葉や表現の使い方に関する主張を特に気にしてしまいます。
ああ、この使い方はこういう懸念があるのかという学びを得るとともに、これをRTすると別な指摘がなされて事態が変わってしまうのではないか、という恐れを持ち、favに留まることも多いです。
言葉について、悩みすぎですかね。。
単に自分の言葉、発信に自信がないからなのかもしれません。
私の姿勢がよいのか悪いのかわかりませんが、「言葉の危機意識」を持つことは社会をどうにか生き延びる1つの術かなと思うので、これからも続けていきたいと感じています。
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