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最終巻「海が見える家 旅立ち」はらだみずき

こんばんは、となカエです。

とうとうシリーズの最終巻です。
前回のラストが気になり、すぐにKindleで購入しました。

でも、読み終わりたくなくて、先延ばし先延ばしにしてましたが、とうとう読み終わってしまいました…

前回の記事はこちら↓↓




作品内容

ベストセラーシリーズ、堂々完結。

 父が遺してくれた海が見える家が台風により被災後、追い打ちをかけるようにコロナが蔓延してしまう。
思うように日常生活をとりもどせない文哉は、農業の師である幸吉がビワ畑で倒れていたあの日に思いを馳せる日々を送っていた。
心配する和海のすすめもあり、文哉は旅に出ることにした。
向かったのは、幸吉の親友、イノシシの罠猟の達人である市蔵の暮らす集落。
山に入り自然薯を掘ったり、斧で薪を割ったり、自然に抱かれて過ごすうちに、文哉は求めていた自分なりの答えを見いだしていく。
そして、新たな決意を胸に抱く!

Amazonより


感想★ネタバレあり★

コロナウイルスの話がでてくるあたり、最近の作品なんだなと思ってしまった。
これから他の小説を読むにあたって、それで著作・出版時期がわかってしまうくらい、歴史に刻まれたなコロナ。

幸吉さんが亡くなり、所謂『うつ状態』になってしまう主人公。
幸吉さんと最後の言葉をかわしたことを、誰にも言えないくらい、幸吉さんの死を受け止め切れていない。
直接的に『うつ状態』とは書かれていませんが、
生活の変化で「主人公、やばいな」と感じます。

そんな状態であるとき、前に出てきた猟師さんのところへお邪魔しにいきます。

その猟師さんがまたいい人。
何も聞かずに、主人公を滞在させます。
その時に獲って作って食べるイノシシの干し肉が、なんとも美味しそう。
特に自然薯が食べたくなる。
いいなー。
といっても、「じゃあ私も山に行こう」
と言えるほどアクティブではないので、羨むだけにとどまります。

暫く滞在して、自分の家に帰った主人公。
「自分の土地をもて」という、遺言を反芻しながら、幸吉さんの土地を買おうか悩んでたある夜。

幸吉さんの土地が火事になった。
消防車も通れないような山なので、緩衝地帯を作るためにビワの木も切ることに。

自分で、幸吉さんと一緒にしようと思ってたビワ栽培を、ビワの木を切る。幸吉さんの死に囚われていた主人公は、この出来事でなにか吹っ切れます。

凪子と過ごす日々が増えて、そこで凪子の事も色々判明した。
主人公の中で、「実は凪子とは異母兄妹ではないのか」という疑いが晴れます。
てか、そんな疑いがあったの?!
私はそっちにビックリよ。

その流れで、《なぜ父親が海の見える家を買ったのか》もわかりました。
凪子の母:夕子との約束、
「いつまでも友達でいよう」を守るためでした。
困った時に助けるのが本当の友達。
自分が死んだ後も、約束を守ってくれる友達。
純粋でまっすぐな思いを持てる人に私もなりたい。

最後、海の見えない家を、理想の土地を目指して
凪子と2人で出発し、本書は終わりを迎えます。

凪子も母を亡くした海に囚われて、ずっと動けないでいたけど、ようやく動けるようになった。よかった…。

自分の土地、
自分の魂の拠り所とする場所、
感覚で「ここだ」と言える土地に、
主人公と凪子がたどり着けることを信じています。


まとめ

この本を読むと、都会から離れた生活に思いを馳せてしまいます。
でも、現実問題、私は虫が苦手なのでこのまま都会で暮らします。

個人的に『田舎暮らし』は、夢見るだけに留まらせておく。
自然への触れ合いは、運動公園やハーブ園程度がちょうどいい。

兄弟、親戚、田舎ならではの距離感など、人との距離感ややりとりがとにかくリアルでした。
「あー、いる。こゆー人いるよ、身内に」って本当に思いました。
それでガッツリ嫌なこととか、トラブルが起こるわけではないからこそ、本当にどこかの誰かの話をそのまま書いたのかなって感じてしまいます。

《海の見える家》で過ごした主人公の数年が書かれた全4冊にわたる作品ですが、人生において大切なことが記されてます。
直接的な言葉ではないので、人それぞれ感じ方は異なると思います。
都会の生活に息苦しさを感じでいる方、このままで良いのか悩んでいる方、ぜひ読んで欲しい。
そうでない方にも、もちろんオススメです。


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ぜひとも、麦ごはんで食べたい。

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