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5歳になる息子にサプライズプレゼントをしたら大泣きされた、トホホで素敵な物語。

「息子が5歳になる」という前日に起こった事件のことを書こうと思う。


明日は父方のおばあちゃんちに泊まりに行くので、お祝いしてもらえるだろう。その次の週には母方のおばあちゃんちに行くので、そこでもお祝いしてもらえるだろう。ホールケーキを囲んで、ハッピーバースデーの歌を歌ってもらって。プレゼントやらお金やらを"たんまり"もらって。

だから毎年、特に私から個別に誕生日プレゼントを渡すことはなかった。

息子がほしいと言っているものを、おばあちゃんたちからもらったお金で買う、という感じだったのだ。



それでよかったのに。



「私のポケットマネーで、息子にサプライズプレゼントをしたい!」


誕生日前日に、なぜかそんなことを思いついてしまったのだ。


たまたま仕事が休みだったので、息子への"小さなプレゼント"を選ぼうと、エキスポシティという大きなショッピングモールに行くことにした。台風が近づいていたので、雨がふり、風が強めの日だった。原付きに乗るのは危ない気がしたので、バスとモノレールを乗り継いでいかなければいけない。私にとってはちょっぴり遠出だ。

でも、息子への小さなサプライズ計画をしながらショッピングモールに向かう道のりは、なんだか楽しかった。



予算は1500円ほど。

大きなおもちゃはおじいちゃんおばあちゃんに買ってもらえるので、あくまでも「ポケットマネーで気楽に買える、小さなサプライズプレゼント」なのだ。お金をたくさん出せば、おもしろいものはいくらだって買える。でも「もらったらすごくうれしいけれど、誕生日プレゼントには選ばないであろう小さなもの」は案外母の腕が試される。

日々息子を観察している私は、息子が喜ぶプレゼントを選ぶ自信があった。




ショッピングモールに向かう道中「何がいいかな?」と頭の中でグルグル考えながら歩いた。そして、1番最初に思いついたのは「敵キャラの人形」だった。


戦いごっこに夢中な息子。家で1人あそびをしているときは、レゴで作った基地などを使って、ヒーローの人形を片手に「トォッ!」とか「ヤァッ!」とか「ウリャー!」とか言いながら、戦いの世界を自分で作って遊んでいる。でも"敵の人形"を持っていないので、なんだかやりにくそうだな、といつも思っていた。敵はときにはショベルカーやトミカの車だったり、ときにはブロックをつなげたものだったり、ときには自分の手だったり。別にそれで楽しそうに遊んでいたけれど、「敵の人形があれば、もっと盛り上がるんじゃないか?」と思ったのだ。


おもちゃ売り場をウロウロしていると、ウルトラマンたちとウルトラマンの敵キャラたちがズラリと並んでいるのを見つけた。息子はアマゾンプライムでいろんなヒーローのテレビを見ていて、あまりこだわりがない。かっこよく戦ってさえいればなんでもいいようだった。ウルトラマンの怪獣は、いかにも敵っぽくていいんじゃない?と思い、ウルトラマンの怪獣の中から「敵の人形」を選ぶことにした。


でも私は、ウルトラマンをほとんど見たことがない。どの怪獣がいいだろうか。


「ウルトラマン怪獣 人気」とスマホで検索してみると、1位がゼットン、2位がバルタン星人、3位がゴモラだった。どうしてもゼットンの顔が好きになれなかったので、バルタン星人とゴモラを買うことにした。



「わー!怪獣だー!怪獣ほしかったの!母ちゃんありがとう〜!」


そう言って大喜びして、すぐに戦いごっこをはじめる息子が頭に浮かんだ。

ニヤニヤしながら、右手にバルタン星人、左手にゴモラを持ってレジに向かう私は、誰がみても「小さい男の子にプレゼントを買うお母さん」に見えただろう。



「プレゼント包装おねがいします。」


そう言いながら、バルタン星人とゴモラを手渡した。ニコニコした店員のお姉さんは、彼らを丁寧に黄色い包装紙に包んで、青いリボンのシールをペタッと貼ってくれた。


息子へのサプライズプレゼントをリュックにそっとしまい、家に帰る。

背中をいつもよりもちょっぴりかばいながら、鼻歌を歌いたくなるくらい上機嫌で。



******


息子を幼稚園に迎えにいって家に帰ると、プレゼントを渡したくて渡したくて仕方がなくなってしまった。

1日早いけれど、「誕生日前夜祭」ということで"小さなプレゼント"を渡してしまおうか、と思った。



「あのね、母ちゃんからささやかなプレゼントがあるんだ。」

そう言うと、息子はキラキラと輝かせた目を私に向けた。そうそう、この顔が見たかったのだ。

「プレゼント!?やったー!なんやろう?なんやろう?」


ハッピーバースデーの歌を歌いながら、リュックからプレゼントを取り出して、息子に手渡した。息子がガサゴソと黄色い包装紙をむいていく。そしてついに、バルタン星人とゴモラがあらわれた。私は得意げに「ジャジャーン!」と効果音をつけた。


ジャジャーン!


ジャジャジャジャーン!!!

ジャジャーン??



私のテンションとは正反対に、息子の顔がみるみる曇っていく。


「こんなプレゼント、嫌だよー!!!」


はじめは唇をぷるぷるさせて泣くのをこらえていたけれど、次第に目から大粒の涙がボロボロとこぼれはじめて、ついには「うわーん!」と大泣きしてしまった。


何が起こっているのか。息子はどうして泣いているんだろう。

私はしばらく呆然と立ち尽くしていたけれど、ハッ!と我に返って息子をフォローしはじめる。


「戦いごっこするときに敵がいたら楽しいかなって思ったんだけど、嫌だった?」

コクンとうなづく息子。

「これさ、本当のプレゼントじゃないで。オマケやで?りんりんの本当にほしいものは明日買ってもらったらいいねんで?母ちゃんはさ、ポケットマネーでりんりんにただプレゼントしたかっただけやねん。驚かせたかっただけやねん。」


「ポケットマネーってなに?(泣)」


「ポケットマネー!?母ちゃんのお金のことやけど?」

「母ちゃんのお金でこんなの買ってほしくなかったー!うわーん!(泣)」



もうどうしていいかわからなかった。そしてだんだん悲しくなってきた。そしてだんだん悲しいを通りこして「喜んでもらえなくて逆ギレ」みたいな気持ちになってきてしまった。


「母ちゃんだってさ、りんりんに喜んでほしくて買ってきたのに。もういいよ。見なかったことにして。なかったことにして。だからもう泣かないで。」


ヒックヒックと泣きやもうとする息子と、スネ始める私。

どんよりと重たい空気が家の中を漂う。あーあ。こんなはずじゃなかったのに。



どんよりしながらお風呂を沸かし、どんよりしながら洗濯物をとりこんだ。そしてどんよりしながら自分の体を洗い、まだションボリしている息子の体も洗った。

そしてどんよりした私と、ションボリした息子が、横に並んでお風呂につかる。シャワーから垂れるしずくの音が聞こえそうなくらいに静かだった。



・・・・・。


・・・・・。


・・・・・。

あれ?こんなにどんよりする必要はある?こんなにションボリする必要はある?明日は誕生日だよ?

お風呂の温かいお湯に癒やされたのか、急に我に返った。

我に返って冷静に考えてみると、この沈黙が、この状況が、この展開が、なんだかだんだんおもしろくなってきてしまった。でも急に笑い出すわけにもいかず、お腹の底からこみ上げてくるものを必死に押し殺していたのだけれど、ついにブハッ!と吹き出してしまった。


そこから笑いが止まらなくなってしまってゲラゲラ笑っていると、息子もつられたのかケラケラ笑い始めて、お風呂が私と息子の笑い声でいっぱいになった。


ひとしきり笑ってから、息子にあやまった。


「あーあ。母ちゃん、りんりんに喜んでもらえなくて悲しかったな。うれしくないプレゼント選んじゃってごめんね。誕生日の前日にションボリさせちゃってごめんね。」


「僕も喜べなくてごめんね。プレゼントが怪獣だったから悲しくなっちゃった。」


「喜べなかったんやもん。それはしょうがないよ。でもさ、もらえるものはもらっといたら?戦いごっこするときに、敵として使ったら?」


「僕、あの怪獣は嫌だったの。戦えなさそう。」


「そうなんや。母ちゃんもゼットンっていう怪獣の顔、嫌いだったな。」


「ゼットン?」


「うん。ゼットン。めっちゃ嫌な顔やったわ。じゃあさ、バルタン星人とゴモラ、だれかにあげてもいい?」


「うん。いいよ。」




そんなこんなで。

誕生日前夜の「サプライズプレゼント大泣き事件」は幕を下ろした。これが誕生日当日じゃなくてよかった。誕生日前夜に渡そうと思った私、グッジョブ。




夜、息子とお布団に入った。泣きつかれたのか、いつもよりすぐに寝落ちした。息子の寝顔を見ながら、今日の事件のことをふと思い出す。お腹の底からフツフツとおもしろさがこみ上げてくる。


プレゼントを断るなんて、なんて正直なんだろう。プレゼントが嫌すぎて大泣きするなんて、なんて可愛いいんだろう。

もう少しお兄ちゃんになったらきっと、プレゼントを買ってきた私に気を使って、喜ぶフリをしたりするんだろう。



また1つ、思い出すとクスッと笑える息子との物語ができた。


今日の私はなんだかトホホだったけれど、

「お母さんが子供を喜ばそうとして、サプライズプレゼントを選びに行きました。ウルトラマンの怪獣を選びました。プレゼントを渡すと、息子がめちゃくちゃ喜んでくれました。すごくうれしかったです。」

みたいなシンプルすぎる当たり前すぎる物語には、面白みがないものだ。



幼い子供との毎日は、予想外のことの連続だ。だからこそ、イラッとすることもあるし、心の動く振れ幅が大きくてしんどいこともあるけれど。


予想通りにいかないからこそ最高におもしろい物語を、毎日毎日刻んで。


そしてそんな物語たちが、きっと人生を彩ってくれている。


だから今日のトホホな事件だって、これはこれでハナマルなんだって思うのだ。


なにはともあれ、5歳の誕生日おめでとう。

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