なにごとも続かなかった私が「やめられない」子育てと向き合って。
真っ白の新しい手帳が大好きだった。
表紙を開いて、折り目をつけて、文字を書きはじめる。
その瞬間は、まるで自分の人生を1からやり直しているような気持ちになる。
迷走していた大学生1年生のとき、スケジュール帳を1年間で4回新しくした。
1年の間に4回、「人生をリセットしたい」と思ったんだと思う。
私には「リセット癖」のようなものがあって、物事をスパーン!と切り捨ててしまうことが多かった。アルバイトも会社も趣味も、急に嫌になってしまったり、急に興味がなくなってしまったりして、そう感じるとすぐに「やめる」という選択をしてきた。
そんな私がママになって。
「子育て」がはじまって。
あたりまえのことだけれど
子育ては、やめられない。
アルバイトも仕事も趣味も、自分の決断次第ですぐにリセットできてしまうけれど、「子育て」はどうやってもやめることができないのだ。
「子育て、もう疲れた・・・もう逃げ出したい・・・」
どんなママもそう感じることが多かれ少なかれあると思うけれど、だからって子供を捨てる、子供を施設に入れる、みたいな選択をするママはほとんどいないだろう。
リセット癖のあった私は、息子が産まれた喜びだけでハイになってがんばれていた時期を過ぎて疲れが出始めた頃、「子育てはやめられないんだ」と急に怖くなったことがある。
急に自由をうばわれたような、視界が狭くなってしまったような、何かに縛られてしまったような、そんな感覚を感じた。
逃げ出したい。
でも逃げることはできない。
そんなことは、もしかしたら私の人生の中ではじめてなのかもしれなかった。
息子のことが愛おしい。
でももし、もう1度独身に戻れたら。
そんなことを何度思ったとしても
もう引き返すことはできない。
息子は私のお腹から生まれたのだ。
腹を決めるしかない。
だんだんジタバタするのをやめて、どうせやめられないのなら、子育てに対して真剣に向き合おう、という気持ちが湧いてきた。
子供と過ごす中で、毎日いろんなことがある。
その一つ一つと向き合って乗り越えてきた
この4年間。
いや、逃げられないのなら、向き合った方が楽なのだ。
今まで私に足りなかったのは「腹を決める」ということだったんだ。どんなに好きなことや楽しいことだって、やり続けていると必ず「壁」のようなものがやってくる。その「壁」と向き合うことから逃げていたんだ。「壁」があらわれた瞬間にリセットして、「私はなにごとも続かない」と言い訳をして。
私は、続けられる人だったんだ。
ただ、続ける勇気を今まで持とうとしなかっただけなんだ。
ふと、そう感じた。
「やめられない」子育てのおかげで、
息子のおかげで、
「壁」と向き合った先の景色を
今見ているような気がする。
それは「壁」と向き合った人だけが見ることのできる景色なんだと思う。
その景色はきっと、
これから本当に自分がやりたいと思ったことを続ける「勇気」の源になる。
子育てはママを強くする。
子供はママを成長させてくれる。
それは子育ての「やめられない」という部分がミソのような気がしている。
真っ白な新しい手帳も大好きだけれど
いろんなことをたくさん書きすぎて字で埋めつくされていて、いつも持ち歩いてボロボロになっている手帳の味わい。
そっちに魅力を感じるようになっている私が、今ここにいる。