家族をつなぐ「手」〜好きだから手をつなぐのか。手をつなぐから好きになるのか。〜
久しぶりに旦那さんと手をつないだ。
息子が幼稚園の日に代休をとった旦那さんと、久しぶりに2人きりでランチに出かけた。ちょっぴりリッチにしゃぶしゃぶを食べにいったのだけれど、その帰りに。
たまに代休がとれて2人でランチした帰り道、旦那さんは決まって手をつなごうとする。
「近所のママさんに見られたら恥ずかしいから」
そう言って、いつもやんわり手を繋がなかったけれど、その日は雨が降っていた。
傘をさしているから顔は見えないだろうし、お腹はホカホカしていて気持ちがいいし、旦那さんと久しぶりにゆっくりしゃべった満足感で満たされていたしで、繋いでくれた手をそのまま繋いでおきたい気分だった。
久しぶりに手をつなぐとなんだかソワソワしたけれど、すぐに馴染んだ。2人きりだった時期は当たり前のように繋いでいたその手の感覚を思い出して、「ママの私」から「ただの私」に戻っていくような気がした。
息子の小さくて、やわらかくて、ツルツルした手を握ってばかりいたから、この小さな手を守るために強く在らなければいけないんだと「ママモード」になっていたけれど、男の人特有の固くてゴツゴツした手を感じると「ママモード」がゆるむ。
「あ!私は一人で子育てしているんじゃなかった。この頼れる手をしている人が側にいるんだった。」
そんな当たり前のことを思い出して、両肩に重くのしかかっている「何か」が少しだけ軽くなったような気がした。
家族3人で歩くときは、いつもは私と旦那さんの真ん中には息子がいる。
3人で歩く時間はとても幸せだけれど
息子の右手と、旦那さんの左手が
つながれて、
息子の左手と、私の右手が
つながれていて、
旦那さんの右手と、私の左手は
いつも空いている。
空いている時間が長くなればなるほど、お互いの手の感覚を忘れてしまって、本当はつながっているのにつながっていないような気がしてしまうのかもしれない。
つながっていることの証が、今自分たちの真ん中にいる息子であることは頭でわかっているはずなのに、なぜかお互いがさみしさを感じたり心細くなってしまうことがあるのかもしれない。
気持ち的には、その空いている手同士をつないで、3人で円になって歩けたらいいのになと思ったから、頭の中で想像してみた。でもそれはまっすぐ歩くにはなかなか難しいフォーメーションなので、却下せざるをえない。
それならば、定期的に2人で手をつなぐ時間は、すごくすごく大切だなって思う。
好きだからただ手をつないでいた2人きりの時期が、私たちを支えている。
そして2人から3人になった数年、まだまだ手のかかる息子を真ん中にはさんで歩くことで、お互いの気持ちがわからなくなったりすれ違ったりしてしまうことが今まで何度もあった。
家族の形が変わっていく過程で「揺れ」のようなものが起こるのは自然のことだと思うけれど、話し合いだけでその歪を埋めるのには限界があるのかもしない。
好きなのか、もうよくわからない。
そんな時。
手をつなぐだけで
「好き」を思い出すことがある。
「嫌い」になりかけていたのに「好き」になることだってあるのかもしれない。
「手をつなぐ」ということには、
それくらいのパワーがあるような気がした。
「手は全身の縮図」と言われているから、もしかしたら手をつなぐことは、全身でギュッとハグをすることと同じようなことなのかもしれない。
旦那さんも、そして私自身も
1秒1秒絶えず変化していて
1ヶ月、1年なんて経つと
すごくすごく変化しているんだと思う。
もしかしたら別人のようになっていることだってあるのかもしれない。
その2人がお互いを好きなまま、ずっと過ごしていくことなんて不可能なんじゃないか?奇跡に近いんじゃないのか?と正直思っていた。ずっと一緒にいたいと思うから、言葉には出さないようにしていたけれど。
でも、もしかしたらできるのかもしれない。
「手」はそう思わせてくれる。
お互い、身なりが変わっていっても
お互い、好みが変わっていっても
お互い、考え方が変わっていっても
その手をつないだときの「温かさ」とか
お互いの根っこに感じる「何か」は
きっとずっと変わらないと思うのだ。
日々いろいろ起きる中で、頭だけで考えてしまうと見えなくなってしまうことがあるけれど
わからなくなってきたら
手をつないでみて
離れてしまいそうになったら
手をつないでみて
そのときに湧き上がってきた気持ちが
きっと「確かなもの」なんだと思う。
お互いが手をつなごうとする気持ちがあればきっと大丈夫。
手をつなごうとしてくれたら
その手を握り返そう。
心の距離を感じるときは
頭で考える前に
自分から手をつないでみよう。
きっと握り返してくれる。
せっかく家族になったこの3人で、長いようで短いであろうこの数十年をどうか手と手をつないで歩んでいけますように。
そう願うと、なんだか両手から力がみなぎってくるような気がした。
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