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スタートアップで8年働いたけど、そこで踏んだ地雷を紹介してみる

こんにちは、株式会社ナナメウエでマーケティングとPRの責任者をしている井上と申します。
EVeMの紺野さんから光栄にもマネジメント Advent Calendar 2021にお誘いいただきまして、こちらの記事を寄稿させて頂いております。

割と序盤の5日目ですが、日曜日なのでちょっと箸休め的に読んでいただければと思います。(と思ったら5000字くらいになりましたすみません)

最初にかんたんに私自身の今までの経歴をご紹介させていただきますと
2006年大学卒
→新卒で大手商社系SIerに入社、エンタープライズ向けのソリューションセールスを担当(7.5年)
→日本初のDSPを開発した企業で営業、広告運用、事業開発、アライアンスなどを担当(約2年)
→女性向けメディアアプリ企業で広告営業1人目として入社、営業、商品開発、部長としてマネジメントも担当(約2年)
→転職アプリ開発企業にてアライアンスセールス責任者、採用責任者、BtoBマーケティング、カスタマーサクセスの立ち上げなどを担当(約2年)
→株式会社ナナメウエで採用、マーケティング、PRの責任者を兼務→直近は採用を外れてマーケティングとPRの責任者を兼務(現職|約1年)
という感じです。

社会人の半分はいわゆるスタートアップ企業に在籍しており、エンジニアリングやデザイン以外の諸々を幅広く担当してきました。

社会人歴も長く、職歴も多い私なので、当然様々な失敗経験があります。
案外、派手に転んだ経験というのは他人に言いたいものでもないと思うのでなかなか収集しづらい情報だったりすると思います。(最近はしくじり先生なる自虐コンテンツもありますが笑)
なので、ここは恥を忍んで私自身がスタートアップで8年近く働いてきた中で踏み抜いてきたマネジメント地雷について皆さんに共有させていただければと思います!
個人的には事業づくりと組織づくりは両輪だと思っており、今回は組織づくりに関連する僕が踏み抜いてきた地雷を紹介したいと思います。

マネジメント地雷|採用編

マネージャーとなる人達が必ず向き合うこと、そうです。採用です。
多くのスタートアップでは、採用活動を積極的にしていくことが初めてであるケースが多いです。
加えて、組織づくりも創業メンバーや初期のメンバーが経験がないケースが多いです。(最近は採用や組織づくりのノウハウがだいぶ広がってきているので、昔ほど手探りですすめないといけない感はないかもしれません)
一方で、採用や組織づくりの大きな意思決定は往々にしてone way doorであるケースが多いです。(one way doorというのは一方通行であとで修正したり、もとに戻すことができないものを指しています)

https://www.stevenvanbelleghem.com/blog/customer-experience-innovation-with-the-one-way-and-two-way-door-rule/

つまり一度意思決定を大きく失敗すると、リカバリーすることが難しいまたはとてもコストが高いのです。
ですが、多くのスタートアップではミスマッチの採用が頻発します。個人的な経験からは、以下の要因が根本にあると思っています。

  • 中途採用の新規ポジションに対する期待値が異常に高い。

  • 過去の実績、役職などを過度に評価してしまう。

  • スケジュールの観点で、多少候補者に対して違和感があっても見なかったことにして採用を進めてしまう。

中途採用の新規ポジションに対する期待値が異常に高い。

多くのスタートアップが大きく採用を踏み出すときに、先にシニアなメンバーを採用するケースが多いと思います。これは正しいと思うのですが、その人に対しての期待値が異常に高いケースが散見されます。(例えば、過去大手媒体の営業部長をしていたのだから、新しい会社でも当たり前のようにタイアップ広告の売上を圧倒的に伸ばしてくれるはずだのような先入観)当たり前なのですが、誰でも、全く何もない状態から誰からの支援もなく百発百中で成果を残すことはかなり難しいと思います。
過去に成果を出してきた過程においても、環境だったり、周りの仲間だったり、取引先の状況だったりの変動要因がたくさんあるはずです。
そのあたりを踏まえて、適切に求人票を作ること、選考における期待値を設定することが非常に重要です。
もちろん、後述するオンボーディングなどもです。

過去の実績、役職などを過度に評価してしまう。

先程の話と近いのですが、「元大手上場企業の部長経験者」みたいな肩書がある方を我々は過度に評価してしまう傾向があります。
もちろん、その方は実際何かを達成したことでその役割を担っていたはずなので、それ自体はすごいことですが

  • 本人自身の成果よりも周りのチームメンバーに恵まれていたため、その役割を担うことができていたケース

  • 商品力が非常に高く、競合優位性が高かったため、比較的かんたんに成果が出しやすい環境にあった

みたいなケースもあったりしますし、逆に実績や役職がなかった方でも

  • チームメンバーや上司に恵まれていなかったために、思うような成果が出なかった

  • 販売しなければならない商品そのものの価値が市場で相対的に低く、なかなか成果が出しづらい環境にあった

みたいな方で、実は実力がとてもある、みたいなケースもあると思います。
実際、過去に私が採用に携わらせて頂いた方で、ご実績や肩書からすると、なかなか思うように成果を出してもらえず、早期に離職されてしまったというケースも有りました。(これは採用以外にオンボーディングやマネジメント面でうまくできなかった部分もあります)
先程の項目と重複しますが、適切に求人票を作ること、そして極力選考フローを変えたりしないこと(肩書がある方の場合、アトラクトを兼ねて見極めに十分なプロセスを経ていないケースが多いです)、選考通過基準を関係者感で極力明確にしておくこと、などが重要です。
このポイントは、この地雷を認識している僕自身よく例外を作りそうになってしまうので、これでもか、というくらい意識しましょう。

スケジュールの観点で、多少候補者に対して違和感があっても見なかったことにして採用を進めてしまう。

スタートアップの経営に於いて重要なことは、何よりもスピードです。
大手企業が意思決定に構造上時間がかかってしまうからこそ、スタートアップでは、素早い意思決定と実行で短期で成果を出すことで出し抜くことができます。
これは採用においても同様で、多くのスタートアップでかなりチャレンジングな採用計画が引かれます。(売上と営業の数が相関しやすいBtoB SaaSのビジネスなんかはより顕著ですね)
一方、スタートアップにおける新入社員のインパクトは、みなさんが考えるより大きいです。当たり前ですが、10000人の会社で1名新入社員が入っても0.01%のインパクトですが、10人の会社に1名新入社員が入った場合、およそ10%のインパクトになります。会社全体に与える影響がそのくらい大きいです。
だからこそ、誰を船に乗せるべきで、乗せないべきなのか、というのはスタートアップにおいては非常に重要なのです。
例えばこういう候補者がいたとします。

  • スキルセット的には非常にマッチ度が高い

  • 事業に対する共感が高く、同じ未来を目指せそう

  • ただ、利己性が高いと見られることが面談の中で複数回あり、今の会社カルチャーとあまりマッチしない

そして、今月あと5営業日で、2名採用しなければいけないところ、まだ採用決定が出ていない、残りは一次選考に乗っている人が1名のみのような状況だった場合、あなたはこの候補者に内定を出すでしょうか、出さないでしょうか。

個人的には「選考に携わる人が一人でもなにか違和感を感じたら見送る」べきだと思います。
採用はone way doorと言いましたが、新しい人がミスマッチだった場合の、既存社員への影響もスタートアップにおいてはとても大きいです。
仮にミスマッチが露呈して双方折り合いがつく形で退職してもらう形になる場合も、既存社員は疲弊しますし、かなりモチベーションが下がります。
当たり前ですが、違和感はしっかり明確にし、関係者で合意をとって納得のいく選考フローをつくるというのがとても重要です。
よりマッチ精度を立体的に計測するために、リファレンスチェックや適性検査などを取り入れてもいいかもしれません。
私の所属している会社では、以下のサービスを利用しています。

Jobgram(適性検査)

Backcheck(リファレンスチェック)

これ以外にも、採用に関する地雷はいくつかありますが、長くなりすぎるのでもっと聞きたい人は直接話しましょう笑
次は組織づくり編です。

マネジメント地雷|組織づくり編

組織づくりというのは深堀り始めるときりがない領域ではありますが、その中でもいくつか典型的な事例をあげると

  • 実績ある人、勝手に働いて勝手に成果残すだろう幻想をもってて成果が出ない

  • 誰が何を知っているかわからないから、コミュニケーションが全然足りなく、生産性があがらない

  • ルールなさすぎてお見合いが起こりまくる

  • 暗黙知がめちゃくちゃ多く、人数が増えたのに生産性が全然上がらない

  • 権限移譲が全然うまく行かない

と、思いつきで書いてもこのくらい出てきます。
上の課題をざっくりまとめると

  • 新入社員のオンボーディングの仕組みを作る

  • ルール、権限設計を決めて、ドキュメントに残し、運用をする

という2つをすることでだいたい解決されます。もう少し詳しくお話します。

新入社員のオンボーディングの仕組みを作る

どんなスキルの高い人が新しく入ってきたとしても、やはり会社としてのオンボーディングの仕組みがあるだけで、成果が出るまでのスピードが全然変わります。新入社員が往々にして困ると思うのが、

  • 周りからの信頼貯金が無いから、周りに助けを求めづらい

  • (マネージャー候補とかだとなおのこと)外で実績があると思われているから、周りの人からの期待値がやたらと高い

みたいな面です。
この点は、受け入れ側のマネージャーのアサインがめちゃくちゃ重要で初期の成果を狙って上げるような仕事のアサインをすると、上の2つの課題が解消されます。

ベンチャーマネージャーのマニュアルから引用

組織においても、初期の成果はめちゃくちゃ重要ですが、新しい人のオンボーディングにおいても、同じことが言えると思います。

ルール、権限設計を決めて、ドキュメントに残し、運用をする

スタートアップあるあるなのですが、多くのスタートアップでは、大企業とは異なり何か行動をしようと考えたときに参照されるルールが未整備です。
「ルールが無いから、自由に行動して結果だけ出せば良い」みたいな考え方もありますが、人数が増えてきたり、部署が複数になってきたりする過程の中でルールが無いことによる弊害はどんどん大きくなっていきます。
詳しくは、長村さんの書いたベンチャーマネージャーのマニュアルの⑥チーム体制構築パートを見ていただければと思うのですが、適切な権限とルールを作って、ちゃんと運用していくことでチームのメンバーが日々小さな意思決定をする過程において悩んだり迷ったりする機会が減り、結果的な生産性が爆発的に上がると思います。(この点はまだまだ自分もやりきれていないのでがんばります。。。)

これ以外にも、組織づくりにおいては、評価制度をどうするか、ヒューマンマネジメントどうするか、みたいな重要項目がたくさんありますが、その部分もEmoのプログラムで体系的に学ぶことが可能なので、課題がある方はぜひ参加してみてください。(急に宣伝します笑※お金はもらっていません)

ちょうど三期生を募集しているらしいです!(21年12月15日締め切り)

長々と色々書きましたが、スタートアップで働く上で、ベンチャーマネジメントのスキルは万人に活きると思いますし、型があるだけで再現性高く組織づくりをすることができるようになると思います。(もっと早く知りたかったです(T_T))

僕自身は、まだまだこの型を1%くらいしか使いこなせていないので、2022年で自分のマネジメントスキルをぐぐっと上げて、事業成長に一番貢献できるマネージャーになりたいと思います。

最後に、ツイッターやってるので、よかったらお話しましょう。
@tomoyasu_inoue

今僕がマーケティングをしているサービスYay!です、めちゃ伸びてます。

仲間もめっちゃ募集してます!
求人一覧は↓


あと単純に他社のマネージャーさんとお話できるのってめっちゃいいですよ。このコミュニティ盛り上げていきたいなぁ。

ではでは、長文失礼しました。
お互いマネジメント頑張ってまいりましょう!


サポートいただくと、読書が更に進み、アウトプットの質が上がるかもしれませんし、そうじゃないかもしれません。いずれにしても感謝の気持ちで溢れています。