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想像力は組織を繁栄に導くか 醸造#7

戦争が起きたとき、見ず知らずの人たちを同じ国に住む仲間(国民)として、仲間のために命がけで戦う。
記憶に新しいワールド・ベースボール・クラシックを含め、ビックイベントでは、選手と面識がない沢山の人が、その選手の一挙手一投足を見守り応援する。

こういった事象について、『考える方法 中学生からの大学講義2』では、「こういったことが起きるのは、国民が同じ仲間だという想像力(イマジネーション)でつながっているからだといえます。国民国家という枠組みの中に、国民同士のかかわりやつながりが想像力を仲立ちとして存在します。」と語られている。
上記の点は、国民国家という組織を形成するためには、構成員である国民の想像力が必要である、と言い換えることができるだろう。

(本書のレビューについては、下記をご参照)

この箇所を読んで感じたのが、現代において、多くの社会人が関係する「会社」という組織を含め、あらゆる組織にも同じことが当てはまるのではないか、ということである。
つまり、組織のつながりを強くするのは、想像力であるということだ。

そして、ここで浮かぶ問題意識が、現代人は想像力を他者に依存し、想像力が以前に比べて乏しくなっており、その結果、組織のつながりを強くするための想像力もまた、乏しくなっているのではないか、ということである。
さらにいうと、組織の構成員の想像力が乏しくなる結果、その組織は衰退するのではないか、ということだ。

まず、「現代人は想像力を他者に依存し」という部分は、次のような問題意識だ。
日々新しいコンテンツが量産され、消費される現代社会においては、自ら想像しなくとも、想像をかき立てられるコンテンツで溢れかえっている。
娯楽という文脈のみならず、生活の中で感じる感情の「モヤモヤ」も、誰かがSNSやブログ等で言語化してくれているし、他人の言語化が目に触れる機会も多い。
他者の想像の中でも十分に生きていけるため、想像を膨らませる意識を常日頃から持っていないと、自らの想像力がどんどんやせ細るのではないかということである。

「組織のつながりを強くするための想像力もまた、乏しくなっているのではないか」という部分は、「組織のつながりは一定程度の強さが必要であり、そのつながりが組織の繁栄にとって必要だ」という考えを前提としている。

また、組織の構成員の各々の想像力そのものが欠如することが、組織に関する想像力の減少に繋がり得る、という考えも前提としている。

組織が繁栄するためには組織の構成員による想像力が必要で、その想像力が乏しくなる結果、組織は衰退するのではないかという問題意識である。

問題意識というとネガティブな響きになってしまうが、組織の構成員の想像力と、組織の総体としての強さ・繁栄との間に因果関係があるとするなれば、組織の構成員の想像力を鍛えることが、組織の繁栄につながるという仮説にもなる。

浅学のため、このような問題意識・仮説に基づく論稿・文献等に触れていないのだが、本ブログのトピックとして、念頭においておきたいと思う次第である。

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