EBM(エビデンス・ベースド・メディシン)の3原則と5つのステップ ~PSPシリーズ~
PSPについて
私はPSP(Patient Support Program)に今後の医療の可能性を見出している。患者にとってもより良い医療を受けることができ、医療従事者の負担も減らせるからだ。さらには医療経済的にもメリットがあると考えている。私がかかわってきたPSPについてはこちら。(所属していたIQVIAは退職してるが、今もPSPの講演やコンサルティングを行っている)
PSPシリーズとして、PSPにまつわる情報をシリーズとして発信していきたい。
EBMについて
EBMと言われてから久しい。Evidence Based Medicine(以下,EBM)を提唱したのはカナダの Guyatt らである。
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(16)31592-6/fulltext
自らの限られた経験や先入観にしばられた判断ではなく,可能な限り最良の科学的エビデンスに基づいて 判断するという EBM は,21 世紀医療の大前提であり,診療ガイドラインに沿った診療をすすめることは社会に対する 責任でもある。医療の質を構成する 6 要素(安全性,適時性,有効性,効率性,公正性,患者中心志向)の中で,「有効性」 と「患者中心志向」の 2 つは EBM に関わるものでありる。医療の質・安全と EBM は切り離すことができない。
3原則
EBM には次の 3 つの基本原則がある
最適な臨床決断には,利用可能な最良のエビデンス,理想的にはそれら の系統的(システマティック)レビューを理解することが必要である
EBM は診断検査や治療選択がどの程度, 確信できるかの指針を提供する
エビデンスだけでは臨床決断を下すことはできず,利益,リスク,負担,コスト を比較し,患者の価値観や選好(preference)を考慮する必要がある。
EBM を提唱した Sackett は,「EBM は個々の 患者のケアに関する決定を下すときに,最善のエビデンスを良心的,明示的,思慮深く用いることである.EBM は臨床的経験,患者の価値観,利用可能な最良の研究情報を統合する.臨床上の意思決定に質の高い臨床研究を用いる社会 運動である.」と定義した 。
5つのステップ
EBMの5つのステップ
患者の臨床問題や疑問点の抽出と定式化(PICOの設定)
PICOに基づいた患者の臨床問題や疑問点に関する情報の検索
得られた情報の批判的吟味(critical appraisal)
得られた情報の患者への適用の検討
適用結果の評価
まとめ
製薬業界もPatient Centrisityをうたっている。医療の質を構成する 6 要素(安全性,適時性,有効性,効率性,公正性,患者中心志向)の中で、「患者中心志向」を大切にしたい。
そして、エビデンスだけでは臨床決断を下すことはできず,利益,リスク,負担,コスト を比較し,患者の価値観や選好(preference)を考慮する必要がある。
さらには、得られた情報の患者への適用の検討が必要である。
2024年から医師の働き方改革も始まる。その中で、患者のことを考え実現していくかがヘルスケア領域全体で求められる。
その解の一つがPSPであろう。
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