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学部首席を取るまでのはなし#7

#7 「大学3・4年生編」

 大学入学から3度目の春が訪れた。3年生になると、教養科目の単位は大方取り終え、いよいよ専門性を深めるために一人の教授に師事するゼミナールに所属することになった。専門科目は、自分の力だけではなく、チームとして評価される試験も課される。教員の指示であてがわれたメンバーと協力して課題をこなすために、時には授業外に集まり、打合せをすることもあった。コミュニケーション能力が高く、優秀で意欲的なチームメイトに恵まれ、各々が持つ才能に感服し、助けてもらいながらも自分自身とても良い刺激を受けた。3年生にもなると、履修している授業のコマ数は減り、時間の余裕が少し出てきた。就職なども意識し始めて、資格試験の勉強も並行して進めていた。
 そんなとき、大学から1通の通知をもらった。自分が学業成績優秀者として選抜されたとのことだった。そういえば、そのような制度もあったことを今更ながら思い出した。1年越しに、目標を達成することができたのだ。その勢いで、次の3年次の成績でも連続で賞をもらおうと目論見た。4年次の成績では、表彰時には卒業しているため、「在学中のもの」という要件を満たさない。賞をもらうのは、3年次の成績がラストチャンスだと思った。特段対策はとらず、今までどおりにするだけで良いと思っていた。
 ところが、4年次に進級して、待てど暮らせど大学から成績優秀者の通知は来なかった。成績には自信があったつもりだが、やはり自分より優秀な学生がいたのだ、と納得した。後から知ったことだが、成績優秀者の選抜には、前年度において学年に応じた一定の修得単位数を満たす必要があった。自分は3年次に必要最低限しか履修登録をしていなかったので、その必要修得単位数に1コマほど満たず、選考対象外となっていたのだった。そもそも選考の土俵にすら上がれていなかったことに、残念な気持ちになったが、リサーチ不足の自分のせいであるので、気持ちを切り替えた。
 大学生活の4年間をとおして、人生で初めての留学や海外旅行も経験し、異文化を知るとともに自国を新鮮な目線から見つめなおすきっかけをもらえた。興味のあった資格もいくつか取得でき、学業とアルバイトも両立することができた。高校卒業直前に、悔いのない大学生活を送ろうと決心したとおりに、充実した日々が送れたと思う。卒業認定で自分の大学卒業が確定するとともに、最後の成績通知表の開示がなされた。
 それから、まもなくして大学から1本の電話が入った。
 

→#8「大学卒業編」へ続く


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