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THE MATCHI 2022 僕たちは食べ物だけでは生きていけない。

6月19日、東京ドームへ行ってきた。

14時前に席に着いた時は3試合目をやっていた。15試合目の「天心ー武尊」は21時なのに、会場はもう8割の入り。僕は1階の前の方の自分の席からドーム内をぐるりと見まわしては「すごいなあ」と呟いた。年齢層が若いのにもびっくりした。
アリーナ席は5万円とか10万円。最前列300万円席の完売などは別次元だけど、物価高?不景気?最近の政治や経済のニュースからは想像できない異空間だった。
観客59000人、AbemaTVの有料視聴者は50万人だったらしい。スポンサー収入、グッズ収入など合わせると1日のイベントに数十億円、もしかしたら100億円に迫るのかもしれない。

20代の頃はボクシングや空手の試合へ行った。最初のK-1ブームの時も観に行った。
格闘技はまだ、後楽園ホールアングラ昭和感が似合っていたころが僕が熱くなっていた頃だった。
30年を経て、記憶とはまったく異質の「格闘技イベント」を体験した。

映像、照明と音楽

複数の大型ビジョンと照明と音楽を駆使した興奮創出装置。試合前の煽り映像は15試合すべて同じように手の込んだ編集がされていた。
つまらない試合が皆無だったとは言えないけど、ほとんどの選手や試合自体のクオリティーは想像以上。観客とオンラインで繋いだ数十万人が「天心ー武尊」に向けて半日がかりでじっくりと高ぶらされるように仕掛けられていた。
電子レンジでチンするより、鍋で半日ぐつぐつ煮込んだほうが美味しいのに似て、1試合、1試合ごとに盛り上がりメインディッシュに近づいた。
もちろん、開催発表から半年がかりで熟されたことが大きい。
インターネット内に渦巻く期待や応援、誹謗中傷すべてが「格闘技イベントマーケティング」と化して世紀の一戦の広告バリューを高めた。

15試合目の決着よりも…

僕は、「天心ー武尊」の決着の瞬間より、会場の期待が爆発したのは試合の開始直後だったということを書いておきたいと思った。
大型ビジョンが捉えた天心のパンチスピード、ヒットされてニヤリ顔の武尊。前座試合との圧倒的な格の違いを目の当たりにした。
観客全員が「これを待っていたんだ!」と感じた。少なくとも僕は試合開始直後が最高潮で、書いている今でもあの時の興奮が思い返される。

2000年前、ローマ帝国の為政者は「パンとサーカスを」と言った。
そういえば最近「不要不急」という言葉を忘れていた。
僕たちは食べ物だけでは生きていけない。

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