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夢破れたのではなく、ただ自分が甘いだけだった【上京のはなし】

さて、今回は、「#上京のはなし with TOKYO<β>」さんのお題企画へのエッセイとなります。
社会人になりたてで一人暮らしを始めた自分の話を、恥ずかしさを抑えて、正直に伝えられたらと思います。願わくば、わたしと同じような失敗をしないように、少しでも参考になればうれしいです。

温室から出て


ぬくぬくと育ったわたし

進学校の公立高校、いわゆる六大学の私大を卒業したわたしは、一人っ子ということと、父親が割に高給取りだったこともあり、そのこと自体を誰と比較することもなく、のびのびと育てもらいました。
今、自分も親となり、いかに恵まれた環境だったか噛み締めています。

しかし、社会人になりたてのわたしは、親の苦労や恵まれた環境に想いを馳せるようなことは一切なく、ただ根拠のない自信とずさんな企業調査によって、かなり過酷な社会人生活が幕を開けようとしていました。

今回の話は、約20年前、普段あまりサッカーを見ないわたしでさえも、日韓ワールドカップに熱狂し、サッカーのゲームでひたすら対戦している、そんな時代の話です。

一人暮らし 0日目

その日のことは、今でもときどき思い出しますが、ディティールはだいぶ飛んでいます。それだけ目まぐるしく動いた日で、それだけ忘れたい日でもあったのだと思います。

その日、わたしは会社が借り上げてくれた池袋のマンションの鍵を受け取り、はやる気持ちを抑えきれずに、その足でマンションに行っていました。当時付き合っていた恋人も一緒で、同棲に近い住み方ができればなんてこともフワッと考えていましたが、きっとフワッとしすぎていたのでしょう。今思い出しても、時々遊びに来ては言い争い、相手が家を飛び出していく記憶ばかり残っています。

ともかく、ドキドキしながら扉を開けた光景は、とにかく何もない部屋。
引っ越し経験者としては当たり前なのですが、当時のわたしにはそれさえも衝撃的でした。しかも、なぜか親も迎えに来ようとしてすったもんだがあった記憶がおぼろげにあり、相当テンパっていたのだと思います。

すべてにおいて「(自分なら)何とかなるだろ」というスタンスを持ち、自分に都合がいい展開ばかりを考えていた。これに尽きると思います。
ちなみに、この後引っ越し屋さんが搬入しに来てくれているはずなのですが、そもそも、荷造りした記憶も搬入した記憶も、なんなら当時の部屋についての記憶もありません。*純粋に住んでいた短かったせいもありますが。

これは、シンプルに仕事が予想の100倍以上は厳しかったためですが、これも就活をちゃんとやっていれば回避できた話で、これまた自分の甘さからでした。
そう考えると、考えがメチャメチャ甘かった自分が、一般的な会社よりだいぶハードな環境に行くことで、大失敗しながらも考え方を大幅に改めるきっかけになったということもできるかもしれません。


「憧れは砕け散り、周りの人は冷たい。」わけではない

同じ「上京のはなし」の記事でもありましたが、都会の人でも周りに優しい人もいます。他方で、そういた優しい人ばかりでもありません。
ただそれは、冷静に考えると、「都会だから / 田舎だから」という理由ではないですよね。

同様に、「上京してビッグになるんだ」という方で、途中から腐ってしまう方は、厳しい言い方ですが、事前準備や考え方が甘かったに過ぎなかったのではないかと思います。これはわたし自身が個人事業主として独立した際の失敗や、令和の虎などに出てくる志願者の方などからも見えてきたことです。

仕事とお金

当時わたしが入った会社は、ゴリゴリの営業会社。朝から晩まで中小企業の社長宛にテレアポを行い、アポイントが入ったらその日のうちに行って、その日のうちに契約書をもらってくるというストロングスタイルの会社です。

学歴を自ら手放すように実力主義のところに飛び込み、わかったことは、自分には向いていないということ。そして、もう一つは、本気で転職しようと思ったときにはじめて仕事に本気に向き合えたということでした。

仕事や社会人というものを舐め腐っていた自分ですが、同様にお金の使い方も散々でした。ここも、このときの借金の経験があるからこそ、お金のリテラシーを上げざるを得なかったということだとは思いますが、もっとやりようがあったのではと思います。とは言え、後悔ばかりしていもしょうがないですね。


お金のキモとなる、住むところのハナシ

お金のことを考えるときに真っ先に考えるのは、家賃ではないでしょうか。固定費のなかでも割合の多い家賃。特に都内は相対的に高くつきやすいので、念入りに調べておく必要があります。

恐らく、最初に挙げた会社借り上げの駅近マンションも強制的に入居する形ではなかったはずで、「会社に近くなるならそれでいい」くらいの感覚で手配をお願いしたのだと思います。
額面で20万円強くらいの給料に対して、家賃の自己負担は7万円程度。会社から少し遠くなっても、毎月のお金を回すための選択肢は他にもあったと、今なら確信を持って言えます。

さらに、「社会人になったんだから」と大学の後輩たちに自ら進んで奢ったり、分不相応に高いスーツや数万円の時計を買ったりと、とにかく見栄を張って、デタラメばかりしていました。

お金のことを考えていくときは、まずは家賃、そして、光熱費や水道代などかかり続けるインフラ費用のことから真っ先に考えたいですね。
「毎月無理なくお金を回せる状態」というのは、当たり前のことなのですが、まったくスタートラインにも立てていなかった自分が恥ずかしい限りです。


東京のいいところ

感性を高める施設が多い!

さて、時代を今に戻して、改めて東京のいいところに触れたいと思います。
わたしが感じたのは、近年アートに傾倒していったなかで、圧倒的に美術館や博物館、純喫茶や古本屋さんなど、自分が好きな空間を探すのに苦労しないということです。

もちろん、「あんまり美術館とか行かないかな」という方もいらっしゃると思うので、ここは”その方の趣味”という形でも、言い換えることが出来ると思います。
また、アウトドアやスポーツによっては、都内でアクティビティを行うのが難しい場合もあるかと思いますが、そうした方が集まるコミュニティを探すのは東京のほうがより見つけやすいのではないでしょうか。

今回の話は、自分でも記憶の奥底に封印していたのだなと思う内容ばかりで、思い出すのに苦労したり、よく考えるとあれってどうしたんだろうと思うことが多かったのですが、途中でも書いてきたように、だからこそ今があり、今の感性や考え方を大切にしていきたいと思います。
みなさんの東京での暮らしに、少しでも参考になれば幸いです。

就職やお金の失敗や、逆にこういうのがよかったというのがあったら、ぜひコメントで教えてくださいね!

#上京のはなし

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