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デザイナーの僕が40歳からメンズコスメのD2C事業を始める話② 〜プロダクト編〜

はじめに

こんにちは佐々木です。2020年夏より、新規事業としてメンズコスメのD2Cブランドを立ち上げるまでの道のりをnoteに綴っています。

前回は事業立ち上げの理由やコンセプト、想いについて話しました。2回目である今回は、僕が感じていた課題とコンセプトを元にどのようにプロダクトをつくることにしたかを話していきたいと思います。

前回のnoteはこちらをご覧ください
デザイナーの僕が40歳からメンズコスメのD2C事業を始める話①

同じような世代・境遇の人や、これから事業を始めたい人に少しでも役立ったり励みになったりすれば幸いです。

“ワークツール”としてのスキンケアを追い求める

今回のプロダクトは「“ワークツール”としてのスキンケア」がコンセプト。
僕が課した条件としては、以下の3つです。

①わずわしさから解放し、可処分時間を少しでも増やす。
②お作法やコツなどいらず、毎日続けられる簡単さ。
③必要最低限のミニマルなケアの提供。
=結果、ビジネスのパフォーマンスを上げる。

ではどうすればその条件に到達できるのか、プロダクトの観点から研究する日々が始まりました。研究といっても、白衣を着て研究室でブクブクしているフラスコの液体を混ぜる訳ではなく(当たり前ですが笑)、商品をひたすら使い、製造元のOEMメーカーに伝えるイメージのヒントを探すことです。その日から連日、百貨店、バラエティショップ、ドラッグストア、ECサイト...。時間にして数ヶ月、高級品、ヒット商品から、気になる新商品まで取り寄せて、男性女性用関係なく、トータル100点以上の商品を試しました。

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研究を重ねるなかで、たどり着いた答えは、洗顔を泡にすること、そして、化粧水をミストにすることでした。そうすることで時間が短くなり、使用自体もとてもラクになります。しかし、それ自体はメンズスキンケアでもすでいくつものブランドが出しているので特別なものではありません。ただ、多くの泡状洗顔とミスト状化粧水は、実際使ってみて、物足りなさを感じることがありました。

まず、泡状洗顔ですが、多くのブランドが採用しているポンプ式は確かに便利ですが、出したらすぐに泡がへたってしまい、満足感のある使用感が得られませんでした。そしてミスト状化粧水も、押し加減によって水滴がダマになったり、顔にまんべんなくかけるのが難しかったりします。

その不満を解消するために、洗い心地がよい「もっちり泡」とシャワーのように「浴びれるミスト」を目指すことにしました。実は、それができる方法がひとつだけあります。ガスの力を借りること、エアゾールタイプにすることです。整髪料でいうムースとヘアスプレーを想像してもらえば分かりやすいと思います。じゃあなんで、そんなに多く存在ないのか?それは、物流で空輸できなかったり(つまり海外に輸出できない)、製造に時間がかかったり、なにより原価が高いというデメリットがあります。グローバル展開を狙うブランドや利益を最大化したいブランドはおそらく避けるでしょう。ですが、僕のようなベンチャーにはあまり関係ないですし、なにより”ワークツール”にすることが一番のゴールです。そのためには一番合理的な手段だと考え、迷うことなくエアゾールタイプに決めました。

最短・必要最低限のミニマルケアを確立させる

”ワークツール”にするためには、さきほど述べたようなミニマルなケアにすつ必要があると考えています。実際、メンズスキンケアブランドの多くは、丁寧にしっかりケアをすることを提唱しています。王道としては、

①洗顔→②化粧水→③乳液
※さらに+美容液やクリームを推しているブランドもある 

この3ステップを毎日しっかりやり続けることが、充分な肌のケアだと言われています。僕が問題意識としているのは、その煩わしさ。特に、日々ハードに仕事しているひとが夜遅くに家に帰ってきてから、また、翌朝にしっかり時間を手間をかけてやり続けるのはかなりハードルが高いと感じます。そうしてもう1点、男性特有の生理的な感覚として、ベトベトするものをつけることへの抵抗が少なからずあると思います。

なるべく上記のパフォーマンスに近づけながら、プロセスをショートカットする。その方針で、商品づくりを進めました。そこで僕が目指したのは以下のプロセスです。

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男性は女性に比べて約3倍の皮脂量、約3分の1の水分量と言われています。毛穴につまった皮脂や角質をしっかり取り除き、しっかり保湿をする毎日のケア、それを続けることがなによりも大事であることには変わりません。王道のケアに負けないバランスのよい処方で、ラクして続けられるプロダクト、それが僕が提唱するミニマルケアです。

追記(5/31):上記の図で30秒との表記がありましたが、使い慣れていない人で検証したところ、10〜20秒多くかかるため、60秒に訂正しました。

1滴1滴調合を重ねてたどり着いた香り

最後に香りの話をします。メンズスキンケアに限らず、整髪料やシャンプー、制汗剤や汗拭きシートの多くが、みな同じような香りだと感じるのは僕だけでしょうか?正直、僕が中学生の頃からあまり変わっていない気がします。一方で、最近は男性でもAesopやロクシタンなどのハンドクリームやハンドソープを好んで使う人が増えています。それら精油系は香りの良さだけでなく、リラックスできたり頭がスッキリしたりもします。匂いばっかりは好みの個人差が大きいので断言できませんが、恐らく、ただ知らないひとが多いと感じます。なぜならさきほど述べたように今まで限れた選択肢しかなかったからです。

今回のプロダクトは、日々忙しく働くひとたち向けなので、1日のストレスがすこしでもほぐれるような香りを目指しました。また、僕自身も男なので、男性が拒絶しない系統の香りであることにはかなり神経を使いました。
最初は、香水だったり、精油系のコスメでベンチマークを探ったり、専門家にも相談しましたが、ドンピシャで合うものが見つからず、結果、自分自身で精油を調合してつくりました。1滴1滴をビーカーにいれガラス棒でかき混ぜる日々、それこそ実験みたいで楽しかったです。

いくつかの候補からモニターを実施し、最終的に決定したのは、ベルガモットにシダーウッドとセージを加えた香り。とても気持ちが落ち着く匂いに仕上がったので、ユーザーの皆さんに気に入ってもらえると嬉しいです。

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サンプルの改良に改良を重ね、ついに完成。

仕様・処方・香りのターゲットが決まったらいよいよサンプルができあがります。そのあとは、使用感だったり、香料の賦香率(香りの強さ)をOEMメーカーさんと相談してチューニングしていきます。実際サンプルになってみると、いきなりイメージ通りにいかないもので、こういった感じのサンプルができては使用してみて、何度も改良を重ねていきます。最終決定する時はほんとドキドキして、数日間自問自答したり、周りの人に再度聞いたりしました。まさに今ごろ工場で製造してることかと思います。もう後戻りできません!

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今回はここまで。次回はいよいよ完結編、僕の本職でもある世界観やデザインについて話していきます。最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。
引き続き、PARK発のメンズスキンケアブランドにご期待ください!

【次回へ続く】





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