運動指導者に贈る「文章」指導書(野田部下による業務報告書)
運動指導者に送る「文章」指導書
-「トレーナー講師のだぱいの下で働いてみた」レポート-
著者プロフィール
比嘉基樹。21歳パーソナルトレーナー。沖縄県読谷村出身。SOLA沖縄学園SOLA沖縄保健医療工学院スポーツ科学CSトレーナー学科卒。
〈取得資格〉NSCA-CPT、健康運動実践指導者、JATI-ATI、キネシオテーピング、幼児体育検定、ACCAスポーツ栄養スペシャリスト。
要約
このレポートは、筆者(比嘉基樹)が、トレーナー講師の野田貴志(京都大学大学院所属。合同会社日本総研代表。以下「野田さん」)の下で働き、業務研修を受ける中で学んだエッセンスを、広く同業者にも分かち合うために執筆した教材である。
今回、食事指導を受けるクライアントへの指導文(健康指導コラム)の作成を通じて、基本的な文章の作り方について学びを得ることができたので、それをレポートする。
総じて健康指導コラムを作成する上では、一般の顧客目線で平易な解説を行うこと、情報の質とカジュアルさのバランスに気を遣うこと、誤字脱字のない読みやすい文章を心がけることが肝要である。筆者が実際に作成した文章例と、それに対する野田さんのフィードバックなど、実例を交えて解説する。
目次
一章 野田さんに叩かれてみた - 比嘉草稿、野田添削、野田修正案-
「ニンニクは凄い」を例に
「牛乳って体にいいの?」を例に
「蕎麦に豊富なルチンの効果」を例に
二章 野田さんになりきってみた - 比嘉草稿、比嘉添削、比嘉修正案 -
「ミントってすごっ」を例に
「ケルセチンの効果」を例に
「睡眠の質を上げる方法」を例に
三章 独り立ちしてみた - 比嘉の総力戦 -
「大豆は、ダイエットにも健康にも効果的?」を例に
「加齢とともに減ってくる、ビフィズス菌」を例に
「チョコレートは身体にいいの?」を例に
四章 まとめ
五章 野田の総括
一章 野田さんに叩かれてみた
- 比嘉草稿、野田添削、野田修正案-
叩かれたと言っても、体罰というわけではない。実際、私は野田さんよりも筋肉隆々であり、よほどのことがない限り、剣では負けそうにもない(ペンでは負ける)。
この章ではまず手始めに、いくつかの野田さんの健康指導コラムを読んで学んだ上で、とりあえず筆者が自力で作成してみた健康指導コラムと、それに対して野田さんからいただいたフィードバックおよび野田さんなりの修正例を示す。
このように並べてみることで、初心者が書いた文章にどのような欠点がありうるのか、そして、どのような観点からそれを修正していくべきかを考察することができる。もちろん野田さんも文章のプロではなくあくまで素人なので、プロのライターからすればちゃんちゃらレベルが低いと思われることもあるだろうが、我々口下手なトレーナーからすれば十分に意義深いものと考える。
1.「ニンニクは凄い」を例に
「ニンニクの栄養価をアピールする」健康指導コラムをテーマにした実際の文章例とその添削例を以下に示す。縦2段の構成となっており、左側は筆者が作成した草稿、右側は野田さんの修正例である。構造上わかりづらく、また文字も小さくて読みづらいことはご容赦ねがいたい。
左側の筆者の草稿に関しては、
野田さんからのフィードバックが赤字
で示されているので、その点に注目して観察していただきたい。
また、このフィードバックと修正文を受け取った上で、
筆者が野田さんの修正例に対して考察を入れたものが青字
の書き込みである。
上の図1-1の左側に示すのが、筆者が初めて作成したコラムであり、右側は野田さんの修正例だ。
みなさんは左側の初稿と右側の修正稿を見比べてみて、どう感じただろうか。
両者を比較してみて、気づくことが3つある。
一つ目は、「構造化されているかどうか」である。これは真っ先に気づいた方も多いだろう。メインタイトル、サブタイトルが分けられ、三段落で構成されている。
二つ目は、デザイナーフーズピラミッドを取り入れることにより、ニンニクが抗がん作用のある食材のトップであることを知ることができる。また、ニンニクだけではなく、他の抗がん作用のある食材も記載されているので、その他の食材も知ることができる。専門用語は、文章中に簡単な説明が入っている。
おすすめの食べ方、食べる際の注意点が記載され、お客様目線に修正されている。
最後に、読点が適切に入り読みやすくなっていることだ。
左の筆者が作成したコラムでは、読点がなくとても不自然なコラムになっていることは、一目瞭然だろう。右の野田さんのコラムは、段落構成がしっかりし、適切な場所に読点が入り読みやすい。三段落目のおすすめの食べ方では、ニンニクの注意点や、なぜすりつぶして食べると効果的かが記載されている。筆者は、加熱して食べた方がいいと言っているが、具体的にどのくらい加熱した方がいいかまでは記載されていないため、お客様はどのくらいの加熱がいいかわからなくなる。野田さんは弱火で数分加熱した棒がいいとしっかり述べているためお客様に親切である。
2.「牛乳って身体にいいの?」を例に
ここから先は
¥ 500
共感度に応じてサポート頂けますと嬉しいです! ・「面白かった!」→ 100円 ・「また次も読みたい!」→ 500円 ・「感動した!ありがとう」→ 1000円 ・「自分の学びになった!」→ 1500円 ・「人生変わりました」→ 5000円 ・「宝くじ当たった!」→ 10000円