Tomonkey

お話を書こうかな。 ねこがすきな和歌山のひと。

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最近の記事

テトテト

 ポロニャマ市の中心部から、車で1時間くらい離れたところにあるチャミヤミ森、その奥深くの小さな村、ムッチャラ村にハラビスのピーリオの家がありました。ピーリオは仲間のハラビスたちと共に、たくさんのシューンを育てており、収穫したシューンをつかってテトテトを作って暮らしています。ピーリオの家には、家族がずっと昔から大切にしている、大きなオッタンダがあるので、そのオッタンダを使って、とても上手にテトテトを作ることができました。  ハラビスは仲間の誕生日を盛大に祝います。ピーリオの兄

    • ひどい耳鳴りが1週間も続いています

      「ミミナリさん、さすがにもう消えたらどうですか。」 「いやいや、あなたがぜんぜん休まないからでしょう。はたらいてばっかで、プライベートの時間でさえ、仕事のことばっかじゃないですか。バッカみたいですね。あはは。仕事ばっかで、仕事バカなんですね、あなたって。ふふふ。あれれ、聞いてますか。あのね、ふつうに、ゆっくりお風呂にはいったり、気が済むまで眠ったりして、からだがリフレッシュしたら自然と消えるもんですよ、私たち耳鳴りは。あぁ、あとお酒の飲みすぎもよくないですね。お酒を飲むこと

      • 次の走馬灯は週末までにね

         「これはあんたのための作品じゃない。あくまで仕事ってことを忘れないで。」担当編集のカワタはいつもとおなじ仏頂面で映像データを受け取り、少し傷んだ長い髪をヘアゴムでまとめながら、いつものように小言を残して会社へ戻っていきました。「今、季節の変わり目で発注が立て込んでるんだから、ちゃんと納期を意識してよね。」  スズモトは人生の最後に見る映像、いわゆる『走馬灯』を制作する会社にクリエイターとして所属しています。会社には各地の死神から、余命わずかな人びとの走馬灯の発注がひっきりな

        • おんせん通信

           入浴中のカピバラは、全国各地で入浴中のカピバラと、頭の中で直接メッセージを送受信することができます。理屈はわかりませんが、うまくやりとりを行うためには温泉でしっかり体を温めることが重要です。今日も夕方の5時ちょうどから定例通信が始まっています。 「こちら埼玉ズーのカピさん。早速ではあるが、コードKについて情報共有を求める。どうぞ。」 「こちら豊橋ズーのカピオ。本日、若い男女ペアの人間を確認。とくに男の方はうわのそら。ふわふわしていて隙が多く、征服は容易かと。以上。」

        テトテト

          ランナーズ・ハイ

           トランジションエリアでは、他の選手と衝突しないよう慎重に、なるべくスピーディーに進みました。ロードバイクをバイクラックに停めた後は、流れるようにヘルメットを外して、ランニングシューズを履きました。関東の大学生、キクチ君はトライアスロンの学生選手権大会に出場しています。スイムが終わった時点での順位は50位、バイクが終わった時点で順位を35位まであげました。そして現在、トップ集団がある程度まとまった団子状態で、ランに移ろうとしています。最後の10㎞のランコースで、かなりの順位変

          ランナーズ・ハイ

          ちょうくんとたんぽぽちゃん

           ちょうくんとたんぽぽちゃんはとてもなかよしです。ちょうくんは「たんぽぽちゃんはきれいでいいなぁ」と思っていました。たんぽぽちゃんは「ちょうくんのようにかっこよくとんでみたいなぁ」と思っていました。ある日、ようせいがあらわれて、「きみたちの望みをかなえよう」と、おたがいのすがたを入れかえてしまいました。たんぽぽになったちょうくんは美しくなったすがたを喜んでいましたが、そのうち、じっとしているのがたいくつになりました。ちょうになったたんぽぽちゃんは楽しく空をとんでいましたが、つ

          ちょうくんとたんぽぽちゃん

          子鹿は森で生きていく

           子鹿のムリッチェリンは山鳩のホルンシェルと、たわいない話をするのが好きでした。ホルンシェルはかなり年をとっているので、最近は具合が優れない日も増え、ゆっくり会って話をする機会はだんだん少なくなりました。そして今年の冬からは、すみかをでることもできなくなりました。それはムリッチェリンにとって寂しいことでした。  晩秋、あたたかな昼時に、遠くの森から来たというカッコウがムリッチェリンのもとに現れました。「あなたはムリッチェリンですね。山鳩のホルンシェルのすみかを知っているでしょ

          子鹿は森で生きていく

          イッペイクンがこっぴどく怒った話

          小雨が降ってはやんで、降ってはやんで、また降りやみました。 『あぁ鬱陶しい、やめたやめた。』 カエルの小座衛門は大きなあくびをしました。 『滝みたいに一息に降り注ぐか、いっそ降らないでほしいものだ。』 周りのカエルたちは雨が降る度に歓声を上げて舞い踊り、雨がやむ度にひどく残念がっています。それを見て、小座衛門はまた大きなあくびをしました。 『なぁカエルどもよ、その喜びや悲しみは心からの感情なのか、あるいは本能か。周りにただただ同調しているだけのカエルも一定数いるので

          イッペイクンがこっぴどく怒った話

          ハクハツ・クルミ・リレー

           じろう君はハンバーグの次に、走ることが好きで、学校から帰ってきてから、毎晩ジョギングをすることを日課としています。あと数日で満月になるであろう半端な月がかすむ11月の夜、じろう君が川沿いの道を走っていると、後ろのほうから、ダッダッダッダ、ザッザッザッザ、とだれかの駆ける足音が近づいてきます。いつもほかに走っている人はいないのにめずらしいな。はて、それにしても大きな足音だ。振り返ると、クルミのような顔の老人が、白髪をなびかせて、めまぐるしいスピードで走ってくるではありませんか

          ハクハツ・クルミ・リレー