小説 永遠に0(第四回)



  実を言えば、今までと違って刑務所には『ゼロ銭』では行っていない。作業には作業報奨金が出るからだ。拘置所で一週間働いて得た金は50円足らず、日給7.7円だ。ただし報奨金は半分しか使えないと決められている。25円では切手一枚すら買えない。舎場でならチロルチョコかうまい棒を買えるかもしれないが。
  借り物のパンツの上に、私服を着て、靴を履いて、腰縄と手錠をされて、車で刑務所へと向かった。
  民間刑務所、社会復帰促進センターとはいかなる場所かというと、塀がない。それだけだ。あとは同衆に聞いたところでは、「普通の刑務所と変わらない」とのことだ。最早何が普通なのか分からない。
  朝は6時40分音楽が流れて起床、朝の点検、朝食。
  主食は米麦飯で、おかずはふりかけや味噌と味噌汁。「しまった、味噌が被ってしまった」とゴローなら言いそうだ。納豆が好きな俺は二日に一回出るパック納豆は楽しみだが、甘いきな粉ははじめ何なのか分からなかった。ご飯にまぶして食べるのだそうだ。マカロニきな粉なるものも夕食に出る。また生卵が衛生面から出せないからなのか、たまごソースなるものが出る。刑務所では定番なのだそうだ。味噌汁は高血圧に配慮されていて薄かった。
  その後工場へ行進して出役、作業、運動の時間もある。昼になったら食堂で昼食。その後少し作業をしてから浴場へ。風呂は週三回、15分でヒゲを手早く剃って体を洗わなければならない。居室へ戻り、夕方の点検。毎回、番号を馬鹿みたいにでかい声で言う奴がいて失笑。夕食後、テレビを見て21時に就寝。以上が一日の流れだ。土日祝は休みだ。土曜の午前に映画を観ることができる。

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