読書感想文と倉橋由美子との出会い
倉橋由美子の作品を読んだのは、中二の時。
夏休みの読書感想文を書くために、それに相応しい本を探していた。
夏なので当然外は暑く、図書館に行くのもなんだか面倒。
家の本棚にあった本からいくつかセレクトしてみた。
長い夏休みと暑さでぼんやりしていた私は、ヘンテコな本を候補にしてしまった。
(しかも、結構夏休みの最後らへんである。
なんとか宿題をやっつけてしまわねばいけない)
それは、倉橋由美子の蠍たちという本である。
個人的に名作ではあるのだが、ヤベェ本ではあった。
真っ赤な表紙が毒々しい。インパクトもある。
これは短編集になっていた。その中の「宇宙人」という作品で感想文を書いてしまった。
内容はこんな感じ。
ある所に、仲の良い姉弟がいた。
お互いを恋愛的な意味で愛してるが、口には出さない。
ある時、姉が道端に落ちていた宇宙人を拾ってくる。宇宙人といっても、人形のようなマネキン人形のようなもので意思疎通は出来ない。
そのかわり暴れたりもしない、不思議な生き物。
姉は着せ替え人形にしたりして遊んだりしている。それを見た弟は嫉妬し、怒ったりする。
ある時、姉はお見合いかなんかで結婚してしまう。しかも、相手はパッとしないおじさん。お金持ちという事だけがポイントのような。
最後らへんはその宇宙人と姉と弟で3Pしたりせんかったり。
そして、最後は姉は嫁ぎ先から逃げてきて、宇宙人を切り裂いてその中に入る。「まるで、生まれてきた時と逆ね」と言いながら。
という話。
オカルト?狂気?いや、ある意味純愛です。
凄く説明が難しい話だった。
でも、弟は姉のことを愛しており、姉は弟のことを愛しており、純愛ではないかと思ったりもする。
もちろん、読んだ人によって感じ方、受け取り方は違うと思う。
14歳で読んだ時のものと、30歳で読んだ時の感想は違う。
受け取り方、意味合い、感動。
それから、自身の経験や喜怒哀楽と読んだ内容がミルフィーユのように重なる。
倉橋由美子の作品のテーマのひとつに「母殺し」がある。
(この記事消されないかな…💦)
実際、物理的に殺したいと思ったのかもしれないし、精神的距離的に離れたいという意味合いかもしれない。
そのへんはわからないのだが、表題「蠍たち」を読むと心底憎んでいたのだなと分かる。
話は少しだけ逸れるが、初期エヴァンゲリオンはエディプスコンプレックスというテーマが色濃く出ていると言われている。
エディプス、つまり父親を殺して母親を盗る。
そんな比喩である。
これはこれで怖いテーマなのだが、もう一つの意味は「父親を越えて成長する」という意味合いも込められている。
(この辺は私の知識が浅く、不十分である面もあることを謝罪したい)
倉橋由美子の作品にはインシストがアクセサリーのように散りばめられており、まるで夜空の星座のようだ(そうか?)。
倉橋由美子とエヴァンゲリオンはそういう所が似ているなと思う。
怖いテーマだが、倉橋由美子の作品作りの大きなモチベーションや情熱になっているなと思う。
そして、それから。
30歳を越えて娘が二歳になった時、やっと本が読めるようになった。
これは私にとっては感動的な事で、赤ちゃんを産んですぐは本も文章も読めなかった。
読んでも二、三行しか進まず、何を書いてあるのかわからない!
育児による睡眠不足で脳が動いていなかったのだ。
クーラーのきいた涼しい部屋で、娘は布団で寝ていた。
その横で私は倉橋由美子の「桂子さんシリーズ」を読んだ。死後の世界の悪女と話をするというやつだ。
毒で毒を煮込んだような悪夢のスープ。
というのは言い過ぎだが、濃厚で面白い作品だなと感じた。
10代20代の時には感じられなかった味わいだった。
恐らく、恋愛、結婚、出産などを経て感じたことや思ったことが上手くミルフィーユ状になったのかもしれない。
私はたまに小説を書いている。
もっと、毒みたいな柘榴を媚薬に混ぜるみたいな濃厚な作品が書けたらなあと思う。
どんな作品だよ😩こわっ、と言われてしまいそうだが、これは概念というかニュアンスである。
厨二病みたいになってしまった。
なんせ、私今年で42歳なので。
こちらもあわせてどうぞ。読書感想文にセレクトすると「親が呼び出しくらう本一覧」アンサイちゃんより。
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