子どもたちの「書く機会」、激減している?
「言葉が浮かばない、書けない」
って娘によく頼られるのですれど、聞いてみればちゃんと考えていることはあるし、こうしたいなってイメージも持っているんだけど、それを書こうとするとつまる、言葉が出てこない。(よーしゃべるのに)
つまり、「書き言葉」のバリエーションがなさすぎるんでしょうね。
作文用紙に書くということもそうだし、読書量が少なければなおさら、「書く」にどう向き合えばいいかわからない、
ということなのでしょう。
話したり、思い浮かべたりはできるんだけど、書くってどうやるの? みたいなことなのでは。
あくまでも我が子中1のケースではありますが、ただ、最近の中学生さんと接していると確かに、考えていることもあるし、伝えたいことも見えているのに、ペンを持つと固まる……という子が多いような気もします。
それはなぜなんだろう?
そもそも、考えることが苦手だったり、表現するのが恥ずかしかったり、というのはあるとして。
もう一つの背景に、書く機会が激減している、のだろうなあと昨日の娘からの頼られっぷりに気付かされました。
みんな携帯を持っているし、そうなるとコミュニケーションはほとんどラインのスタンプとか、音声メッセージ、Tiktokの動画視聴。
手紙もメールも絶滅しそうだし、言葉なんてほとんど、いらないんですよね。子どもたちの暮らしの中で、書き言葉を使うこと自体、減っているんだなあと。学校という場所の、貴重さよ。
原稿用紙の前で固まる子たちの共通項としては、「ニュアンス」みたいなものの表現が、ものすごく乏しいんですよね。
一つ一つが紋切り型で、文章としてはなんら問題はないんだけど、どこかパキパキとした印象の残る、「言外の意味はございません!」と言っているような文章が多い。
例えば、
「団結力が高まった」
ことを表現するのに、ただ「団結力が高まりました」としか書けない。汗。
でも、団結力ってすぐに高まるものでもないし、一人でできることでもないではないですか。
団結力が高まる以前にあったプロセスや、そこで得た経験や、さまざまな道のり、時間、感情を表現するときに、「団結力が高まりました」では、なんだか人生そのものが貧相になってくるではありませんか。
団結力が高まったと思います
団結力がだんだん高まっていきました
団結力を高めることができたと思います
団結力をようやくつけることができました
・・・
一番言いたい言葉がどこにあるのか、どうすればあなた自身の「団結力が高まった」に近くなるのか、考えてみる必要がある。
”それが面倒なんだよ”、と呟いている中高生、多そうですけれどね。
大事なのは、自分の気持ちに一番近いところで書く、ということだと思うのです。ほんのちょっと、語尾に変化つけるだけでも、自分の気持ちに近づけながら表現できるものなのに、あまりそこに発想が至らないのは、
子どもたちにとって、「書き言葉」自体の価値が「古典」になりつつあるということなのかもしれない・・・と思ったりします。
じゃあどうやってどの語彙を増やすのだ、といわれても、これはもう、書くしかない。書く機会を増やすしかありません。
ただ書くだけではなくて、自分の表現したいところに一番近い言葉を手探りでも探していく。それをアウトプットできる場所、人がいれば、もっと伸びると思います。
家族がそう在れたらいいのですが、ついダメ出ししてしまうこともあるでしょう。そういうときは他人にお願いするのが一番だと思います。私ならいつでも!
https://writingclass.thebase.in/items/36680754
読書を増やすのも手段の一つです。そもそも書かれているものだから、書き言葉で書かれた文章を読むことは、そのまま表現のバリエーションを作る栄養になります。
それでも「うーん」ていう場合は、「しゃべるように書く」。これが一番早いと思います。
ただ、相手もいないのに「しゃべるように」は難しい。だから、その文章の内容を、誰に伝えたいのか、その人の顔を思い浮かべ、その人に向けてしゃべるように書く。最初はそれでいいと思います。「せんせい、あのね」スタイルで、全然いいんだよ。
そういう基本のきに立ち返ってでも、「書く」ということは、本当に蔑ろにしたくないと思っています。だって、話すよりも、何よりも、やっぱり書くことによる言葉の波及力は、とんでもないものだと思うからです。
書くと、残ります。残ったものは、誰かに届きます。今生きている人に届くのはもちろんのこと、後世にだって伝わるという可能性すら含んでいる。書くということは、空間や時間を超えて、永遠に続く言葉の波動になって、多分、残る。それだけ、責任の伴う行為だということでもあるが。
と、なんか私はそんなふうに感じているから、書き言葉はものすごく大事にしたいんですよね。できるだけ自分の味方にして欲しいなあって、特にこどもたちには本当に、そう思うんです。
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