牧野共明

牧野共明

最近の記事

人間は依存しつつ自立する(人間の発達の基礎)

ー 教育の質的転換を求めて(3)ー  アドルフ・ポルトマンは人間の誕生について次のように述べている。「人間は生後1歳になって、真の哺乳類が生まれた時に実現している発育状態に、やっとたどりつく。そうだとすると、この人間がほかのほんとうの哺乳類なみに発達するには、われわれ人間の妊娠期間が現在よりもおよそ一ヵ年のばされて、約21ヶ月になるはずだろう。」(アドルフ・ポルトマン著 高木正孝訳『人間はどこまで動物か』岩波新書 1961年 61頁)そして、さらに「この人間の誕生時の状態が

    • 子どもと大人の安心を基礎とした信頼関係を創る  ー 教育の質的転換を求めて(3)ー

      子どもと大人の安心をベースにした信頼関係を創る。 これが、今日の「先生」という社会的存在を創り出していくときに、もっとも忘れ去られている内容である。  子どもが幼稚園、保育所、幼保連携型認定こども園(以下、園)に入ったとき、初めて「先生」という「人種」に出会う。  この「初めての先生」の出会いが、ある意味、その後の人生で出会う「先生」との対応に影響してくる。  「良い先生」に出会えば、その後の先生との関係は最初から好調で、様々なものを吸収していく可能性が膨らむ。しかし、

      • 教育の質的転換を求めて(2)

        😊 育ちのベースとなる概念  また少し間が開いてしまった。元となる文章はあるのだが(過去私が授業をしていたときの講義ノート)なんとなく、日々過ごしていたら、今日になってしまった。と、書くと、日々何かしているようだが、単に無精なだけ。今日は雨。で、久しぶりに書くことにした。  今回は、具体的なことを記述する前に、その具体的な内容のベースとなることを記述していくつもり。  人の育ちはどのようになされていくのであろうか。それを考えるのは簡単なようでいて難しい。人の育ちと改めて

        • 教育の質的転換を求めて(1)

           2ヶ月に近い間を開けての投稿。つまり久しぶりの投稿。この間、「ツイッター」を始めて、それを楽しんでいた。しかし、ご存じのようにツイッターは字数制限があるので、続けていると欲求不満によるストレスがたまる。それに、自分の専門性から世の中に何か言いたくなってきた。  そこで、再びここに戻ってきた。  ということで、テーマにもあるように、「教育の質的転換」を促すために、自分の考えをまとめていきたい。  「質的転換」を「促す」ということは、現在の教育やそれに携わる「先生」に満足

        人間は依存しつつ自立する(人間の発達の基礎)

          人は産まれてからどのように育つか?

          1 「快」と「不快」  人の育ちの最初のベースは、「快」、「不快」である。  生まれてからは「不快」が多い。それをいかに少なくするか。  「快」に出会えば、前に進もうとする。「不快」に出会えば、「守り」に入り、動きは止まる。つまり、発達が止まる。動かなければ発達しないのである。  食べ物の好き嫌いも、ある意味この「快」、「不快」と関係してくる。  どちらかというと、「甘い物」は「快」につながり、「苦い」・「からい」などは「不快」につながる。なぜならば、「甘い味」は人

          人は産まれてからどのように育つか?

          好き嫌い(食事)のない子に育てる

           #好き嫌いをなくす  #偏食指導 #子どもの食の発達 #先生の資質・能力  食べ物を好き嫌いなく食べる子どもに育てるのは簡単である。というより、世の中はどうしてこんな簡単なことを悩むのだろうと思ってしまう。  私が現役の頃、実習に出る学生に以下のアドバイスをする。毎年ではなかった。ある意味タイミングでである。私自身、授業の流れを切ることはあまり好まないので、実習に出る前にこの講義ができるかは流れ次第。実習前にできなかったときは、実習から学生が戻ってきたときに、流れがあえ

          好き嫌い(食事)のない子に育てる

          保育・教育の専門家としての資質・能力

           保育・教育の専門家の資質・能力は、日本の中では深まり、向上しているのだろうか、と長年思っている。私の結論は、あまり深まっていないし、向上していないと考えている。  世の中、医学、科学、化学、芸術、音楽、スポーツ、エンターテイメント、等々それぞれの分野はすごい発展している。しかし、保育・教育の世界では、いまだに、保育・教育がうまくいかなければ、「保護者のせい」にする先生がなんと多いこと。自分の目の前で生じたことは、自分の責任であるのに。  今日から、気が向けば、私が身につ

          保育・教育の専門家としての資質・能力