好き嫌い(食事)のない子に育てる

#好き嫌いをなくす   #偏食指導 #子どもの食の発達 #先生の資質・能力

 食べ物を好き嫌いなく食べる子どもに育てるのは簡単である。というより、世の中はどうしてこんな簡単なことを悩むのだろうと思ってしまう。

 私が現役の頃、実習に出る学生に以下のアドバイスをする。毎年ではなかった。ある意味タイミングでである。私自身、授業の流れを切ることはあまり好まないので、実習に出る前にこの講義ができるかは流れ次第。実習前にできなかったときは、実習から学生が戻ってきたときに、流れがあえば卒業までに講義する。なぜならば、私にとってこの内容はメインではなく、おまけ的な講義だから。

 真面目に実習や就職して取り組んだ学生は、大体が成功している。

 ある年、実習から戻ってきた学生が興奮して話しに来てくれた。それはそうであろう、子どもが嫌いな食べ物をニコニコして食べることができるようになり、それが評価され、その実習園に就職が決まってしまったから。

 園としては、30数年のベテランの園長でさえもお手上げだったことを、実習生が3週間で成し遂げてしまったのだ。(私の短大の幼稚園実習は1ヶ月連続)

 前置きはそれくらいにして、話をテーマにそったものにしよう。

 この方法が可能になるには、前提として、「子どもがその大人を大好きである」ということである。これなくして成り立たない。

 先生という仕事は、コミュニケーション能力が非常に優れていることが必要であり、そのための手法の一部を前回記述している。この学生がそのことを丁寧に実戦していた学生であるので、子どもとはすぐ仲良くなっていた。(私の短大の学生は、実習園で子どもと仲良くなる時間が早い者が多い。)

 さて、答えである。

 子どもと一緒に食事をするときに、子どもは嫌いなものを食べない。嫌いなものをなくすることを始める、第1回目の場面をドラマ風に再現する。(○は大人。△は子ども。子どもはAちゃんとする。嫌いなものはピーマンとする。)

(○)「Aちゃん、ピーマン食べないの?」

(△)「うん。」

(○)「どうして?」

(△)「だって、嫌いだもん。」

(○)「あー、そうなんだ。おいしいのに。」

(△)「いらなーい。」

(○)「えー、それなら、先生食べていい?先生大好きだから。」(先生がピーマン嫌いでもここは無理をする)

(△)「えー、せんせいすきなの?」

(○)「うん、大好きだよ。食べていい。」

(△)「いいよ。」

(○)「やったー!もらうね。いたただきまーす。」(おいしそうに食べる)

(○)「おいしかったー。お弁当にまたピーマンがあったらちょうだいね!」

(△)「うん、いいよ。」

(○)「よっしゃー。」(喜ぶ)

 と、まあ、このような感じのやりとりを1~2週間すれば、大体子どもは嫌いなものも食べるようになる。いつまでも食べないときは、先生をそれほど好きではないのである。このことは、確信を持って書いておく。

 私の場合は、大体2回くらいの対応で子どもは食べるようになった。

 それから、一言、重要なことを下記に。

 子どもが、嫌いなものを口にしたときに、大事なことは、「食べられるようになったんだー」と、絶対に言わないこと。言うべきことは、「ね!おいしいでしょ。」という言葉を使うことである。そして、残念がること。だって、先生の好きなピーマンがこれから食べれなくなるから。好きなものが食べられなくなるときはふつう残念がるはずだから。

 さて、なぜ、これが有効化という理屈づけが必要であるが、これは次回以降に。それまで、この文章を読まれた方は、自分で考えてみてください。

 ということで、ここまで書いて、体力の限界が来ました。


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