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モロッコの赤い絨毯に魅せられて(フェズ編)

モロッコのお土産と言えば、バブーシュやアルガンオイルなど人気で、バブーシュが買えたらいいやと思っていた。モロッコの暮らしに映える赤い絨毯は見ている分には素敵だけど、あまりにも勉強不足だし、定価が存在しないモロッコで絨毯を買うのはとてつもなくハードルが高い。時間も限られているし、それが目的でもないし。

それがこの旅で2枚の絨毯を買うことになるとは、夢にも思わなかった…。

出会いは突然訪れた。古都フェズの迷路のような細道が続くマーケットを散策している時のこと、ハンドメイドの陶器やランプが並ぶモロッコの雑貨があるエリアを歩いていると、なんとも雰囲気のあるこじんまりした絨毯のお店が目にとまった。

「ちょっと見ていいですか」と迷子にならないよう、同行者に伝えて店に入った。少し目をならそうくらいな感覚で立ち寄ったので、長くいるつもりはなかった。モロッコ絨毯のお店のすごいところは、実は裏側とか奥にちょっとしたスペースが広がっていて、物凄い数の絨毯が積み重なっている。ふらっと入ったにも関わらず、そこはなんとも味わい深いのビンテジー絨毯の宝の山だった。せっかくなので、玄関マットサイズの物であれば買いやすいだろうと思い、3〜5枚広げてもらった。

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「すぐに欲しい物なんて見つかる訳ががない。しかも1軒目」と高をくくっていた私。その中に、惹かれるものが1枚あった。値段を聞くと8万円。旅のお小遣いが最初の1軒目でなくなってしまう金額だ。モロッコでは交渉が当たり前、2万円くらいにならないかとダメもとで聞いてみた。案の定、「これはハンドメイドでビンテージだから、値段はそんなに下げられないよ。7万円でどうか?」と。そんなこんなのやり取りで、4万円くらいまでに値段が下がった。同行者の人たちは、すごく安いし日本だとこの値段では買えないよと。実のところ、とっても気に入ったので4万円出してもいい気がしていた。だけど、まだ1軒目、もしかしたらもっと素敵で手頃な物があるかもしれないという欲張りな思いから、交渉しておいて「初めてなので、ちょっと考えさせてほしい」と伝えた。「戻ってきたら3万円にするよ」、名刺を渡されて店をあとにした。関西出身の私は、このような交渉に遠慮はしない。

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フェズのマーケットは、1000年以上の歴史を持ち迷路のように道が入り組んでいることから、ガイド付きで歩くことを推奨されている。ガイド付きとはいえ、また戻りたいと思っても、気軽に戻れる場所ではない。私の絨毯選びにみんなの時間を費やすわけにも行かず、諦めた。なぜなら、買い物するなら、旅の後半に訪れるマラケシュが品質が良いと聞いていたからだ。

次に行こう!そう思いつつも、店をあとにして他の目的地へと向かう道中も、気に入った赤いビンテージの絨毯が頭から離れなかった。きっとまた別の出会いがあるさと自分に言い聞かせていた。でも心のどこかでは、こういうのは一期一会であることも薄々と感じていた。

マラケシュ編に続く

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