情報収集の基本は「野菜の値段を知ること」 #路上文藝 013
とある「お好み焼き」屋さんの看板。
「定休日 毎週火曜日と用事のある時とキャベツ高い時!」
下町庶民の味覚の代表のように受け取られている、お好み焼き。
でも、ですよ。
よく考えたら、価格の乱高下が激しい野菜ナンバーワンの「キャベツ」をメインにしながら定額で食べられるって、すごくないですか?
しかも、それほどの高額ではなく。
きっと材料費が料金をうわまわる赤字の日も少なくないでしょう。
「キャベツ高い時!」に休む店主さんの気持ち、よくわかります。
お好み焼き、実は超贅沢なグルメですよね。
スーパーマーケットで買い物をするたびに、目ん玉ひっくり返ります。
キャベツをはじめ葉物野菜の価格急騰&急落ぶりに。
まるで「なんとかホールディングスの株価かよ」と見まがうほど激しい価格変動です(←あんまり詳しくないもので例えようとしてボロが出ました汗)。
さて、僕の仕事のメインは「情報収集」です。
週単位で納品する仕事を3つ、やっております。
ゆえに週に最低3つ、得た情報をもとに成果物をクライアントにおさめなければなりません。
毎週火曜日の午前中に「情報をセリにかける」オンラインミーティングがあるんです。
これに、いつも絞首刑台にのぼる気持ちで参加しています。
大げさではなく「クビ」、ありえますから。
「もう、クライアントに提案できる情報がどこにもない!」
そうやって朝までのたうち回り、会議のわずか1時間前に偶然、見つかる。
必死のパッチでレジュメに書き換え、ギリギリセーフで間に合う。
そんな奇跡の朝を、これまで何十回と迎えたでしょう。
キャベツの葉をがむしゃらに、むしって、むしって、むしって、むしっているうちに、真ん中からインゴッドが出てくる。そんなキセキが毎週3つたまたま起きているから、僕は今日まで生き永らえているわけです。
運が頼りの僕ですが、情報収集の基礎力をたかめるためにやっている鉄板の習慣があります。
それは「スーパーマーケットへ行くたびに、野菜の値段をひととおり見て知っておく」ルーティーン。
スーパーマーケットへ行けばいつも、自分が買うぶんだけではなく、陳列してある野菜の値段をぜーんぶ見るんです。
そうすると、いろいろ驚かされます。
「トマト一個の値段がこんなに高いんだ」と目を見張り、いつもは束で売られているセロリが突然一葉ずつ個別に包装されていて、静かなる「恐慌」を感じるなどなど、野菜の値段には情報がたくさんあります。
昨年はチンゲン菜の売り場面積が爆発的に広がっていて「巣ごもり家庭中華」の需要拡大を目の当たりにましたし。
「ああ、世の中はいま、こうなっているんだろうな」と、巷の空気をなんとなく把握する標準器/基準器が「野菜の値段」ではないかなと思うんです。
野菜の値段という情報からさらに想像を膨らませていくと「キャベツ高い時!」に休む店主さんの姿や人生の背景も頭に浮かんできて、原稿を書く際のペルソナ設定にも役に立つのではないかな。
いや、わかんないですけど。
*「 #路上文藝 」とは「街のいい文章を見つけ、味わい、名も知らぬ文学者たちをリスペクトする運動」を意味します。
#路上文藝 012 誰も入れない「これより先 侵入禁止」な部屋を心のなかに設けること
*画像は「縦」「アップ」「引き」などでも撮影しています。
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