Anycaから学ぶ「コミュニティマーケティング」のポイント
本日のマーケティングトレースは、Anyca(エニカ)を実施します!
トレースのテーマ
Anycaのトレーステーマは、「シェアリングエコノミー時代のマーケティング戦略を読み解く」でいきます!
Anycaはコミュニティマーケティング戦略が非常に優れているのが特徴的です。
分析のキーワード
=ローカルマーケティング+コミュニティマーケティング
コミュニティをマーケティングに活かすという視点でAnycaのマーケティング戦略を分析すると、これからの時代に必要なマーケティングのヒントを抽出できるはず。
早速マーケティングトレース はじめていきます!
(記載してある内容や仮説は、ネット上の情報から推測したものであり、正確性に関しては保証できるものではございませんのでご了承ください)
まずはビジネスやマーケティング戦略の概要を整理していきます。
ビジネス概要
Anycaの概要に関しては、下記のSlideshareにわかりやすくまとまっています。
ビジネスモデルはP9ページを見ていただくとわかります。
DeNAは、裏側の仕組み含めて、マーケティング戦略を公開してくださっているので感謝です。
ここからは、マーケティングのフレームワークを活用して整理していきます。
まずはマクロ環境から分析していきます。
カーシェアリング関連業界がどのような状況になっているのかを読み解いていきます。
PEST分析(マクロ環境分析)
P=政治
経済産業省はシェアリングエコノミーを推進する取り組みを実施
※地域経済の課題をシェアリングエコノミーの考え方により解決する動き
E=経済
レンタカー・カーシェアリングサービスへの支出数は年々増加傾向。
下記はカーシェアリングサービスの利用者数の推移です。
総務省のシェアリングエコノミーに関するレポートも参考になります。
S=社会
若者の車離れ、価値観は所有→共有にシフト
Wikipediaでもページが作られています。
T=技術
データをもとにしたマッチング技術が進化。
※DeNAは、ゲーム事業で培ってきUI設計やデータ解析などの技術があるため、カーシェアリング業界に参入する上でも優位性を保つことができる。
PEST分析のまとめ
カーシェアリング業界は全体として急激に拡大していることは、統計データからも読み解くことができます。
Anycaは時代にマッチしたサービスであることは明確ですね。
次に、STP分析から、サービスのユーザー像を明確にしていきます。
STP分析
S=セグメンテーション
ドライバー:広くは車を利用する20代〜30代の若者
オーナー:ドライバー層+30代〜50代まで広く
T=ターゲティング
車好きな人
※会員数:17万人(2019年9月)
P=ポジショニング
価値観軸=所有⇆共有、車趣味⇆車機能
ポジショニングマップを整理すると、下記のようなイメージです。
Anycaは車が好きな人のコミュニティであると考えています。
▼その他参考データ
※車登録数:6,000台以上(700車種以上)
※利用ユーザー性別:男性90%、女性10%
上記のデータは、Anycaホームページに載っているインフォグラフィックスから引用しています。
4P分析
続いて、4P分析からサービス、マーケティング戦略の基本構造を整理します。
Product=プロダクト/サービス
CtoCのカーシェアリングサービス
Price=価格
平均価格=約5,000円〜12,000円(24時間)
Place=流通・販売
基本的にはスマホアプリ上でサービス利用→決済
※スマホファースト(オンリー)のサービス
Promotion=広告・広報
地域ごとにコミュニティ構築→イベント開催
※撮影会や試乗会などを行っている
↑
ここからは、プロモーションにコミュニティを組み込んでいるAnycaの特徴的な戦略を重点的に分析します!
プロモーション部分を深掘り
まず、ユーザーの態度変容モデルを図解してみました。
Anycaは、ユーザーにとっては新しいジャンルのサービスであるため、不安→安心に変えるためのコミュニケーション設計が鍵になるはずです。
不安=どうやって借りるのか・・・トラブルにならないか・・・など
だからこそ、Face to Faceのコミュニケーションが大切になる。
不安を解消して、安心感を得て、コミュニティに参加するという導線づくりがポイントになってくるわけですね。
地域特性に合わせてコミュニティをつくり、コミュニティ内でFace to Faceのコミュニケーションを大切にしている点が、Anycaのマーケティング成功ポイントだと仮説を立てることができます。
仮説
CtoCのシェアリングサービスでは、
地域特性に合わせたコミュニティマネジメント
がカギになる。
Anycaのマーケティング戦略のポイントを整理すると、下記の通りとなります。
①地域別にコミュニティを構築
↓
②地域内での利用ユーザー数が増(LTV向上)
↓
③ネットワーク効果でサービス価値が上がる・・
さらにコミュニティマーケティングをキーワードに掘り下げていきます。
コミュニティマーケティング戦略を読み解く
具体的にどのようにユーザーコミュニティをつくっているのでしょうか?
下記の記事が参考になります。
参考:「いまマーケターが価値を出せるのはコミュニティマーケティングだ」Anyca宮本が理論と実践でたどりついたブランド戦略
↓
この記事は、コミュニティマーケティングに悩んでいる人にとって必見です!
記事内で紹介されている、「コミュニティを育てる」ための方程式×4
①戦略から立てない。まずはお客さまと一緒に飲みに行く
②「お客さまがヒーローになれる機会」をつくる
③新規獲得“以外”の価値を重視する
④コミュニティは「種芋」。単体で成果を出すのではなく、他の施策と組み合わせる
※『Anyca』では、コミュニティマーケティング単体のKPIは設定していないです。
まずはお客様と飲みに行く!!
飲みに行く!!!!
態度変容モデルで書いた通りに、
不安→安心に変えるためのコミュニケーション設計
を確実に行っていることがわかります。
そして、コミュニティにKPIを設定はしていなく、短期的な売上や新規獲得に走っていない点が興味深いです。
下記の言葉は、シェアリングエコノミー時代にマーケターが持つべきマインドを示してくれています。
「お客さまと直接お会いして、コミュニティをマーケティングに活用することが、マーケターにとって必須になってくる」
ログミーの記事で紹介されている、コミュニティマーケティングのフレームワークは、他のビジネスでも活用できそうです。
ぜひ見てみてください!
参考フレームワーク@Pinterest
元記事はこちらです。
具体的なコミュニティイベントやプログラムをトレース
プログラム①Anycaプロモータープログラム
プログラム②Anyca公認アンバサダー
イベント①試乗会
イベント②撮影会
上記のようなイベントが、地域コミュニティ別に行われています。
コミュニティ内の関係性を、リアルイベントで情勢する工夫がなされています。
ユーザーの顔が見えるコミュニティコンテンツ
Anyca STORIESは、ネット上えコミュニティを見える化する取り組み
TwitterやInstagramでは、ハッシュタグ #エニカで乗ってみた というキャンペーンによりUGCを発生させています。
リアル⇆オンラインを往復しながらコミュニティをつくる仕掛けが充実しています。
Anycaのマーケティングトレース まとめ
Anycaのマーケティング戦略の優れている点を要約すると下記3点です。
①お客様と実際に会う→関係性を築くが基本(ここが一番大切!)
②口コミ・紹介が発生する仕掛け=イベントやプログラムの打ち手を増やす
③リアルとWebを繋いでコミュニティを可視化→ユーザーの安心感を醸成
このポイント=コミュニティマーケティングのポイントだと考えています。
コミュニティを軸にマーケティングを考える視点は、これからのマーケターに求められてくると思います。
Anycaのコミュニティマーケティング戦略は、シェアリングエコノミー時代のマーケティングのヒントが多く隠されているので、オウンドメディアやSNSなど注目して見てみることオススメです!!
もし自分がAnycaのマーケティング担当だったら?
アイデア①他CtoCサービスとの連携
考えやすいのが、Airbnbとの連携です。
民泊して、そこのオーナーの車も借りて・・・という導線ができたらユーザーとしては便利であり、AirbnbユーザーがAnycaを使うことでサービス利用者を拡大することができると考えています。
アイデア②カーディーラーやカーメーカーとの提携
車を購入する時に、Anycaオーナーになり、貸し出しをすること前提に購入する文化をつくれると面白いのではないかと考えています。
そのために、カーディーラーとAnycaが提携して、購入時にアドバイスを受けることができる導線をつくるイメージです。
CtoCサービスが普及すれば、1億総商人時代になると表現されています。
濃いコミュニティをつくることができれば、他サービスやコミュニティとのコラボレーションが起きやすくなると考えています。
Anycaはコミュニティ構築を非常に上手に行っているため、今後の展開は深さと広さを持ちやすいだろうと考えています。
以上、Anycaのマーケティングトレースでした!
最後にオススメ本をご紹介。
個人的には、コミュニティを考える時に読み直すのが、糸井さんの「インターネット的」です。
古い本だけど、この思想は今でも、これからも大切にしたいと思わせてくれます。