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オンラインコンテストで「参加感」をどう演出するか? -コンテストをUXから考える-

はじめに

2006年から続いており、2020年12月に15回目の大会を終えたばかりの老舗の開発コンテスト「ヒーローズリーグ」の運営に参加しております。
 ※ヒーローズリーグについてはこちらで概要ご確認下さい。
今回はコロナウィルス感染症の影響で、完全にオンライン化が進んだ開発コンテスト「ヒーローズリーグ」における、UX(参加者体験)の設計の試行錯誤についてお話したいと思います。
※はげみになりますのでよろしければ「いいね」をお願いします!

ヒーローズリーグのUX

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まず、ヒーローズリーグ大切にしている 体験 について説明いたします。
ヒーローズリーグで大切にしている 体験 は、、
作品を通じて「共感」が生まれ、次のチャレンジにつながる ことです。
※この共感が生まれる瞬間を私達は「Wow」と表現しております。

「これ、つくったから見てよ (Make Wow)」(作品を気軽に見せる)
「おおっ、これ、すごいっ!! (Feel Wow)」(誰かの作品に共感する)

理想的なUXとしてこのようなシーンを掲げて全体の設計をしており、以下のようなメインアクティビティと機会を用意しておりました。

  メインアクティビティ          提供する機会  
 ①発表する/   作品を観る      -->    多種多様なプレゼン機会
 ②作品を通じて話せる          -->     作品を媒介にして話す機会
 ③共感を伝えられる        -->  「Wow」を伝えられる環境

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オンライン化へのチャレンジ(UXの移植)

オンライン化にあたって最も危ぶまれたのは、「共感」が生まれる「作品接触機会」の大幅な減少でした。

コロナ以前は1チームあたり、平均25〜30件程度の作品に触れる機会(予選会で他作品のプレゼンを聞くなど)があり、それが「共感」が生まれる土壌となっておりました。
いくつかのオンラインイベントの実践と検証(失敗例として後述)により、オフラインの「How」を単純にオンライン化しても、得られる体験が全く違う事はわかっていたので、様々な試行錯誤を持ち込むことにしました。

今回は実施した試行錯誤より、代表的な事例を共有したいと思います。

事例:BINGOで「推し作品」を見つけ、共感を伝えよう!

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ヒーローズ・ビンゴ」という施策を実施しました。
普通のビンゴゲームは、選ばれた数字が縦、横、斜めにそろったらビンゴになりますが、ヒーローズ・ビンゴは自分が選んだ作品が受賞するかどうかが対象となるビンゴゲームです。(ビンゴが成立したら賞品がもらえます)

■BINGOに込めた願いと仮説
 1. BINGOに載せる作品を選ぶ過程で多くの作品に触れて欲しい
 2. 自分の「推し作品」に共感して欲しい
 3. 自分の「推し作品」への共感を、共有して欲しい

BINGOというゲーム性が、オンライン化で希薄になってしまう様々な作品との「接点」と「共感」を満たしてくれると仮説立てて準備しました。

■ 予選会で仮説を検証!
実は、初めての取り組みなので当初は自信ありませんでした。
BINGOをみんな選んでくれるのか、選んだとしてもそれを楽しめるか、共感を生む事につながるか、共感が生まれた事を作者に伝わるか、、、
心配ごとが多かったので、本番の前に行われる「予選会」にてまずは試してみました。

予選会参加作品の中から、決勝進出審査上位3作品を発表者が相互に当て合う簡易BINGOを実施。
参加者の方にも手元で「紙とペン」を用意してもらうという、スーパーアナログなカタチでした。

   ▼実際のアナログビンゴの様子

   ▼BINGOに選ばれる喜びも伝わった


BINGOで選んだ作品をTwitterなどで共有いただく事により、BINGOで選んだ作品をTwitterなどで共有すると、「●●さんが俺の作品をBINGOで選んでくれた!」という作品への「共感」も伝わり、仮説としていた点の一定の検証ができました。
これによって、本番運用が見えてきました。


■ 約80のBINGO登録!
コンテストの中でもメインとなる決勝イベントでは、約40作品の紹介をテレビ番組風に行うことで、作品を選ぶ時間・作品を知る機会がなかなか確保できない方向けへのケアも実施しました。
※2020年のヒーローズリーグは148作品応募をいただき、ビンゴではそこから9作品を選出する必要がありました。

蓋を開けてみると、、

本番では約80のBINGO登録をいただきました!
888888888!!
(平均20作品程度の接触)

また、自分のBINGOを共有したり、イチオシ作品を共有したり、、と。想定していた行動が次々とうまれるのを目の当たりにしました。

    ▼BINGOに選んだ(イチオシ)作品を共有の例

BINGOというゲーム性が、オンライン化で希薄になってしまう「作品との接点」と「共感」を満たしてくれるとした仮説も、ある程度実現することができました。


HOWではなく「体験価値」の移植が大事!

取り上げた例は比較的上手くいった例ですが、当然最初からうまくいったわけではありません。

例えば、、、いくつかの試行錯誤で以下のような出来事もありました。

■オフラインでの出来事
オフラインではプレゼン大会の後に懇親会を行い、参加者同士のコミュニケーションが盛り上がった。

                
■懇親会をそのままオンラインに移植
プレゼン大会後の懇親会を、自由度の高いコミュニケーションツールであるSpatialChat / Remo.coなどを使用してオンライン実施。

                
■結果はあまり盛り上がらなかった。。
知っている人同士でのコミュニケーションが多くなり、作品への「共感」を媒介としたコミュニケーションが、あまり発生しなかった。
また、1人の参加者の方や、知人が少ない方が離脱してしまった。

今振り返ると当然と言えば当然の結果でしたが、、オフラインでやっていたことをそのままオンラインに移植してもだめだということを、改めて実感をしました。

オフラインの手法(HOW)をそのままオンライン化するのではなく、オフラインで提供していた体験価値を再整理し、オンラインでも同様な体験を生むべく移植することが重要だと、今後の自分への戒めとともにここに記しておきます。

改めてオンライン化におけるヒーローズリーグのUXと、メインアクティビティを整理すると以下の通りとなります。
一部まだ、オンライン上での価値提供の方法が見つかっていないものもありますが、今回のような試行錯誤をしながら見つけていきたいと思います。

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蛇足:オンラインイベントでの「視聴者生電話」は鉄板だった!

最後に蛇足的になりますが、、BINGOの当選発表は、テレビでよくあるフォーマット「視聴者に生電話」方式を採用しました。
※BINGOが揃った順ではなく、BINGOが埋まった量順に賞品がもらえるようにしておりました。
これがめちゃくちゃ盛り上がったので、その時のTwitterとyoutubeLiveを載せておきます。

▼当選者に電話をかける場面(開始位置指定しているので、以下URLから御覧ください)

運営している側も、参加いただいている側も、臨場感あふれる体験でとても楽しませていただきました。
いやぁ、生電話・・鉄板だなぁ。。またやりたい。

ちょっとだけ宣伝:オンラインコンテストの運営サポートしてます

最後にちょっとだけ宣伝です。
私が所属している一般社団法人MAでは、ハッカソンの運営や開発コンテストの運営をサポートしております。
もし、ご興味をお持ちいただけたら以下フォームからお気軽にお問い合わせいただけると嬉しいです!
特にコロナ禍における、オンラインコンテストの企画設計などに頭を悩まされている方がいらっしゃったらお気軽にご相談ください。

また、オンライン説明会を2021/ 2/5(金)14:00-14:30、2/12(金)14:00-14:30の2回にわけて行います。
30分程度のカジュアルな説明会となりますので、ご興味をお持ちいただきましたらお申込みください。







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