岡本太郎の世界
とある平日にぽっかりと空いた休日。私は用事を済ませるために、名古屋の中心部にある栄に訪れていた。今日は早く帰ろうと心に決めて足早に用事を片付けたところで、岡本太郎展のポスターを偶然発見した。少し前まで東京都美術館で開催されていた展覧会で、大好きなパンサーの向井さんもラジオで取り上げていた記憶がある。テンションが一気に上がった私は、急遽予定を変更して美術館に行くことにした。今日は、そんな岡本太郎展で感じたことを文章として残していく。
岡本太郎って誰?
岡本太郎の絵画
主に印象派の絵画が大好きな私にとって、展覧会の会場に足を踏み入れた時は少し圧倒された。岡本太郎さんの絵はどれも個性的で、何より抽象度がとにかく高い。そして鮮やかな色彩感にも強いインパクトを感じる。これが岡本太郎スタイルであると思い知らされた。シンプルなタイトル名に抽象的な絵画がどう結びつくのか、その時代の背景や社会問題は何だったのか。色んなことを考えながら見て回った。これだけ色彩感が強い絵画は、作者の感情も大いに伝わってくる。私も途中で絵に感情を揺さぶられながら、思う存分岡本太郎の世界に浸った。
岡本太郎の立体
今回の展示会で、私が1番楽しみにしていたものは『午後の日』という立体作品。その理由は単純。向井さんがラジオでこの作品について熱弁していたからだ。絵画に囲まれた空間に設置されていた立体は、にっこり顔をしてこちらを向く。しかし、顔面は2つに割れていて、両手でそれらを繋ぎ合わせるようなポーズをしている。これは一体どういうことか。人間は誰もが裏と表を持ち合わせていて、その両面を持ち合わせて笑顔を作っているという意味だろうと私は推測した。
この作品以外にも、一見真顔な人間がさまざまな感情を持ち合わせながら生きていることを見事に表現した立体にも心奪われた。岡本太郎さんの立体こそ、調和を打ち壊してしまうような対極主義の力が強く込められているように思える。
岡本太郎の言葉
私は岡本太郎さんが生きていた時代を知らない。展示会をさらに奥へと進むと、壁にとてもキャッチーな言葉たちが書いてあった。どれも岡本太郎さんが残した言葉で、私がこの展示会で何よりも圧倒されたものだった。展覧会ポスターの中央に書かれていた『本職?人間だ。』から連想できるくらい、彼は強烈な魂を持った芸術家(というよりも、人間)だなと思った。
ネタバレ防止のため、ここでは具体的な言葉を紹介するのは避けるが、私自身、初めて美術展で文庫本を買って帰ったほど。本を全て読み終わったあとには、岡本太郎さんの奥底をさらに理解できた。いつもなら文庫本をすぐにメルカリに出してしまうが、この日に買った本はこの先もずっと大切にしたいと思う。芸術と言葉が一致した瞬間、また新たな美が生まれた気がした。
総評・まとめ
平日の昼間にも関わらず、展示会では多くの若者を見かけた。岡本太郎さんの作品が、現代の若者に対しても大きく惹きつけていることがよく分かる。展示作品もかなり充実していて見応え抜群。言葉や思想までもが芸術の破片だった。機会があればもう1度足を運びたい。
追記
その日は天気が最高によくて、何気ない栄の風景をnote用に数枚撮ってみた。最後にみなさんに少しだけシェアする。ちなみに、愛知県美術館の上にある展望台の景色も好き。そして、青空が映えていい感じ。
明日からやってくる今季最大寒波、みなさんもお体には気をつけてお過ごしください。
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