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大きな愛と小さな勇気

皆さん、お久しぶりです。
最近の記事は必ずと言っていいほどこの言葉から始めてしまう。前回投稿した日はおそらく10月半ばくらいだったはずだ。そこからあっという間に季節は風のように通り過ぎて、私が住んでいる台北にもいよいよ秋がやってきた。待ち焦がれたようにニットへ袖を通し、台北の冷たく湿った空気に「さむい」なんて口にできることが幸せでたまらない。ハロウィンなんていうものはもう知らぬ間に過ぎ去っていて、街の中心部にもクリスマス特有の、何だか胸が締め付けられそうなほどに煌びやかな装飾が立ち並び始める。そんな光景を横目にして、これまたなぜだか分からない焦燥感に包まれる。しかし、同時に新しく住み始めたこの国にも少しずつ馴染んできてるような気がして、台湾特有の少し古びた景色や朝ごはん屋さんで大声を上げながら働くおばちゃんたちの姿に安心感すら覚えてしまうことが不思議だ。授業中隣に座っている台湾人のクラスメイト、私のことを妹のように接してくれる部活の先輩やルームメイトのお姉さん、少し嫌な顔をしながらも助けてくれる経済学のTA、それから辛いときも楽しいときもにいつもそばにいてくれるあの子。彼らはこれまで台湾という場所で何を見て、何を感じながら大人になったのだろうか。そんなことを想いながら過ごす台北の夜は少し寂しい。

眠れない期中考

嵐のように駆け抜けてきたこの期間、最大の敵だったのはやはり期中考(中間テスト)だろう。ただでさえ中国語で受ける授業の内容分かっていないのに、そこから何度も授業の録音を聞き返しては翻訳をして。テスト期間中は毎日のように夜中まで図書館にこもって勉強をしていた。ここまで必死になって勉強をしたのは一体いつぶりだろう。頑張るということが当たり前の台湾人に囲まれて生活をしていると、とてつもない焦りすら感じてしまう。ふと我に返った瞬間、私がかつて思い描いていた大学生活からは程遠い毎日を送っているようで悲しくなるが、これでこそ海外の大学生なんだと自分に言い聞かせて大変な日々を何とか乗り越えた。しかし、第三外国語で勉強しているという高い壁があるほかに、優秀すぎる同級生たちについていくのにも一苦労。テストの結果を改めて見返してみると、自分の足りない部分がはっきりと浮かび上がってくる。ハロウィンを返上してまで本気で向き合った大学初めてのテスト週間は、きっと4年生になっても忘れられないことだろう。

大きな愛と小さな勇気

期中考が終わるとすぐに怒涛のイベントラッシュが始まった。学生生活で何をしたいのか自分自身で決める必要があるのは、どこの国の大学生も変わらない。しかし、台湾の大学はどちらかといえば日本の高校らしい雰囲気も残っていて、時々自分の年齢にバグを起こしそうになる。そんな私が今学期参加したのは大学オープンキャンパスの係や学科対抗の合唱祭、バスケットボールの新入生カップ、各種言語交換サークルに部活動など。とにかく毎日のように忙しくしているなんて高校生ぶりだ。しかし、台湾人のローカルコミュニティに入っていく初めの一歩。言語の壁とか馴染めるかどうか、小さなことに囚われて毎度怯えてしまう。国や言葉は異なるが、大学も海外に留学して改めて人間関係の難しさを感じる毎日だ。しかし、高校留学をしていた15歳の自分と比べて成長したなと思える部分、例えば孤独を恐れなくなったことや相手と言葉ではなくて心を通わせることに心地よさを感じられるようになったこと。小さな勇気を振り絞ることは怖くない。その先には案外楽しいことで溢れているかもしれない。

一方で、大学というコミュニティの中で深く関わるような人たちも増えてきた。まずは台湾の家族とも言える、私のルームメイトや苦楽を共に分かち合い続ける留学生仲間たち。日々数えきれないほどたくさんの壁にぶち当たっているが、彼らと一緒に支え合いながら何とか乗り越えている。外国籍の学生として台湾に来ている留学生のバックグラウンドは本当に多種多様で、そんな彼らと同じ寮で、時には同じ教室で学ぶことができるのが幸せだ。それから、中国語にまだまだ自信がない私のそばで最後まで私が話すことを聞いてくれる子。心が折れそうだったテスト週間に、毎日深夜2時まで一緒に図書館で勉強してくれた子。そんな彼らに伝えきれない愛がまだたくさんある。苦しいときに何も言わず私をそっと抱きしめてくれるあたたかさとか、バイクに二人乗りをしたときに伝わってくるぬくもりのような。自分に愛を、そして周りにも大きな愛を持って。

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