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ふやふや ~詩 2022/09/29~

ふやふやとした感覚は

ちょっと目を離した瞬間に

私の体から離れて

夜に奪われてしまいました

おやすみ 

おやすみ

夜は私のそれを胸に抱き

そう面倒くさそうに言いました

私のふやふやは

昨日の晩も一昨日の晩も

1日を終えた私に必ず現れて

私と夜を過ごすのです

ふやふやと話す話は止めどもなく

付き合って迎えた朝は辛くなります

けれど  毎晩現れるから

私には大事なものであると―

そう説明してふやふやを返して欲しいと頼むと

ふやふやを抱いた夜は

その腕に力を込めて

ぱんっと

ふやふやを消してしまいました

途方に暮れた私に夜は

おやすみ

おやすみ

ただ、おやすみ

と言いました

どうしようもなかったので

私は目を閉じました

その瞼に夜は軽くキスをして

おやすみ

おやすみ

何も無いよ

そう耳元で呟いたのを確かに私は聞いて

閉め忘れたカーテンから差す陽の光で目が覚めました

久しぶりに眠りました

けれどふやふやは

昼間生活していると

必ずくっついてくるので

夜が今晩も来てくれないかな

とおかしな事を考えるのです

待たなくても夜は来るのに

眠れないのは どうしたものか―

また新たなふやふやが私の周りに出来ました

ただ ふやふやが何なのか

少しだけわかった気がします





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