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AIドリブンでのDX成功のカギは「逆流発想」

こんにちは。Insight Techの伊藤です。「声が届く世の中を創る」の実現に向け、主に「VoC(Voice of Customer)」データの活用価値向上を通じたビジネス競争力強化を支援しています。

高まる「AIドリブンDX」への期待

最近、「自社に蓄積されたデータを活用して今まで人がやっていた作業を自動化したい」というご相談が増えています。
私たちへのご相談ではRPAで対応できるような「単純な作業」ではなく、「高次な意志決定」を伴う作業の自動化を期待されることが大半です。

つまり、「高次な意志決定」をAIで再現し、データ×AIによってこれまで人が担っていたような作業・業務を「自動化」したい、というご要望です。

今どきの言葉で言えば「AIドリブンでのDX」

多くの企業でDXをすすめるためにデータサイエンティストの採用・育成が進められているのも、この「AIドリブンでのDX」を進めたいという狙いがあるからではないでしょうか。

この「AIドリブンDX」をプロジェクトとして進める中で、私自身が成功のカギと感じていること(肝に銘じていること)をお話しします。

AIもDXも手段、は当たり前。でも実際は・・・

AIによる高次な意志決定の再現を通じたDXである「AIドリブンDX」。
AIも手段。DXも手段です。そのことを否定する人は誰もいないはず。

でも、実際の現場ではそんな当たり前のコトが忘れ去られたような悲劇的な事象が起こっています。例えば以下のような場面です。

AIドリブンDXの典型的な失敗シーン
  • 「手元にたくさんデータがあるからこれで出来ることを探そう!」とINPUTのデータ起点で発想する場面。

  • 「なんか話題のディープラーニングの新しい手法を使ってなんかやってみようよ!」とMODELING起点で発想する場面。

  • 「このAIモデル、性能は抜群なのになんで使われないの?」とOUTPUT起点で嘆く場面。

  • 上記のような発想で作られたAIモデルが「で、これ、何に使えるんだっけ?」と放置される場面。

冗談のように聞こえるかもしれませんが、AI推進、DX推進、というキーワードで進められる戦略的なプロジェクトの方がむしろこんな場面に直面する可能性があるのではないでしょうか。

「PoC(価値検証、トライアル)をやったけどうまくいかなかったんだよねー」というトラウマの大半は上記の場面に直面したと言っても過言ではないのではと思うほどです。

成功のカギ=「逆流発想」

上記のようにデータやAIが目的化してしまう場面を打破するためには、実際にデータを触る、あるいは分析・モデリングする前のAIデザインが大事だと思います。AIデザインとは「何のためにどんなAIが必要なのか」を設計することです。

そのAIデザインをシンプルに且つ最適に進めるうえで、私は「逆流発想」が重要だと考えます。これこそ「AIドリブンDX」の成功のカギと考えます。

逆流発想:
どの意志決定を自動化したいのか、そのためにどんな判断基準が必要かを原点に、そのために必要なAIや必要なデータをデザインするアプローチ

逆流発想が成功のカギ

「どの意志決定を自動化したいのか」、「そのためにどんな判断基準が必要か」を原点にすることが出来れば、そのアウトプットを出すために最適なMODELINGが検討できます。そして、そのためにどんなデータのINPUTが必要かの設計も最適化するはずです。

当たり前の話ではあるのですが、この発想が共有されているプロジェクトは必ず前向きに進むと考えますし、意外にこの発想が職種を横断してメンバー全員で共有されているケースは少ない実感があります。

当たり前すぎて見落とされている大事なコト、だと思うのです。
これを言語化して共有することが大事なのかもしれないな、と思い、「逆流発想」と名付けてみました。

「逆流発想」が見落とされてしまう背景にはAIドリブンDXプロジェクトに関わる職種の多様さがあると思います。
プロジェクト全体で「逆流発想」が共有されていないと、どうしても、各職種(ビジネスマネージャー、ビジネス担当者、データサイエンティスト、データエンジニア・・・)が自分としてやりたいこと、できること、やるべきと思うことが主語になってしまう。

誰も悪気はなくプロジェクトを成功させたい想いは同じはずですが、「逆流発想」が共有されていないと、歯車がかみ合わないのです。

「逆流発想」が共有されていれば、結果として業務実装が実現できなくとも「もうAIはやだ!」というトラウマにはならないはずです。失敗が課題として蓄積され次への前向きな力を生み出すはずなのです。

「逆流発想」。
私自身多くのプロジェクトに関わらせて頂く中でこれからも肝に銘じていきたいと思います。



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